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外来管理加算、見直し論が再浮上、次期改定で

2011-10-14 | 医科歯科ニュース

厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が10月12日開催され、外来管理加算と地域医療貢献加算、明細書の無料発行義務化の3点について議論した(資料は厚労省のホームページに掲載)。

 外来管理加算は2008年度診療報酬改定で、“5分ルール”が導入され、2010年度改定では同ルールが撤廃された代わりに、“お薬受診”の場合は算定できないなどの見直しが行われた。健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、2008年度改定以前は、「外来管理加算は第二の再診料になっていた」と指摘、その上で、「2008年度改定以降は、適正な算定の傾向にあるが、外来管理加算の意味付けがよく分からない。医師によっても医学的管理の内容が異なる。従来から我々は主張しているが、患者に分かりやすい診療報酬という意味でも、外来管理加算の意味付けを明確化させるか、それが難しいのであれば整理統合していく必要がある」との見解を述べた。


森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授(左)と、厚労省保険局長の外口崇氏(右)。

 これに対し、京都府医師会副会長の安達秀樹氏は、「2010年度改定で、“お薬受診”の導入を議論した際、外来管理加算の算定回数が増えるかどうかが焦点だったが、私は一貫として増えないと主張していた。しかし、厚労省は増加するとの想定で、一定の財源措置がされた。その結果、限られた改定財源の中で、診療所の再診料の71点から69点への引き下げを受け入れざるを得なかった。しかし、実際には算定回数は増えていない。今後の議論において、重大な事実として受け止めておく」とコメント、再診料と併せて総合的に議論していくべきだとした。「社会医療診療行為別調査」によると、診療所での外来管理加算の算定回数は、2009年と2010年ともに約280万回(1カ月当たり)で不変。再診料における同加算の算定割合は2009年の43.76%から2010年には45.27%と微増したものの、再診料の算定回数が減少したためだ。

 森田会長も、「白川氏の指摘のように、この加算の意味付けについてクリアにすることが今後必要だろう」と総括。診療所の経営を大きく左右する再診料と外来管理加算のあり方が、前回改定と同様、今回改定でも大きな焦点になるのは必至だ。


中医協の事務局を務める厚労省保険局幹部。

 地域医療貢献加算の届出、県医師会長の号令で石川県が全国トップ

 地域医療貢献加算では、グループで対応する体制をどう評価するかが今後の焦点になる。同加算は2010年度改定で、休日・夜間に病院を受診する軽傷患者の減少、ひいては病院勤務医の負担軽減を目的に新設された。診療所が、休日・夜間等の問い合わせや受診に対応する体制を整えた場合の点数で、再診料に3点の加算が可能。

 全国平均では約22.5%の診療所が届け出ているが、都道府県による差が大きい。石川県では50%を超える一方、最も低い千葉県では10%強にとどまる。2010年度改定の検証調査では、病院側への調査で、「休日・夜間における患者からの問い合わせが減ったか」との質問に、「あまり変わらない」が80.1%、「減った」が7.6%、「増えた」が1.9%。地域医療貢献加算の届出が多い上位10県に限ると、「減った」が11.6%、「増えた」が2.1%。厚労省保険局医療課長の鈴木康裕氏は、これらのデータを踏まえ、地域医療貢献加算に一定の効果があったと説明。

 これに対し、「あまり変わらない」が約8割を占めることから、検証調査の評価はやや分かれたが、今後、より多くの診療所が算定できるように要件を見直す点では関係者の意見はほぼ一致。

 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、届出の地域差について、「石川県を除き、届出が多い他の県は、有床診療所が多い地域であり、それが原因ではないか」と指摘。さらに、「地域医療への貢献は夜間・休日での対応に限らない。時間外対応加算に名称を変えることも考えられる。また個人ではなくグループで対応する場合もあるので、要件の緩和も必要ではないか」と求めた。

 安達氏も、「石川県は、県医師会長が皆で地域医療を支えるということで、地域医療貢献加算の届出を促した経緯がある。また既にグループで対応している地域でも、届出をしていない」と説明。その上で、「地域で開業した以上、かかりつけの患者の急変に対応するのは当たり前のことだと思っていた。しかし、若い医師などに聞くと、やる気がないわけではないが、モンスター患者などもおり、一人で対応することへの警戒感がある。病院での“コンビニ受診”の是正という目的のために、届出が増える方法を議論していきたい」とした。中医協総会後、安達氏は、「“コンビニ受診”が一番問題になる小児科では届出が少ないなど、診療科別でも地域医療貢献加算の届出状況が異なる」と指摘し、小児科などで対応が可能な体制を構築していくべきだと語った。

 そのほか、日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会部会長代理の北村光一氏は、「届出の地域間格差があまりに多いので不安」とした上で、届出状況と救急搬送件数の推移との関連性を示すデータを求めた。


10月12日の中医協総会は午前9時半開始、予定の12時よりも、10分ほど早く終了。

 明細書、大病院での発行推進を求める

 明細書発行は、2010年度改定で原則無料発行が義務化された。しかし、(1)明細書発行機能が付与されていないレセコン使用の場合、(2)自動入金機の改修が必要な場合には、「正当な理由がある」と認められ、義務化は課されず、領収書を発行する場合に実費徴収も可能。

 今後の論点は、(1)「正当な理由」に該当するために、発行義務の対象となっていない医療機関の取り扱い、(2)不明確あるいは不適切な運用事例を明確化し、明細書の発行を促進――など。「正当な理由」の届出を行い、患者から明細書発行費用を徴収しているケースの最高額は5000円、最低額は10円であり、この価格の妥当性も論点。

 (1)で特に問題になったのが病院の扱い。レセプトの電子請求を行っている病院8532施設(2011年7月現在)のうち「正当な理由」があるとして届け出ているのは、8.9%。早稲田大学政治経済学術院教授の牛丸聡氏が、「特に大病院で、発行していないケースが多いように思う」と問題提起。明治学院大学法学部教授の西村万里子氏も、「義務化されていない施設では、患者から費用を徴収できる。これではシステム改修のインセンティブが働かない。逆のインセンティブを検討すべき」と続いた。

 財団法人日本対がん協会常務理事の関原健夫氏も、「大病院が発行しないのはおかしい。患者が明細書を希望しているのは、病院で入院した場合が圧倒的に多い。本当に知りたいところから出てこない。大病院については、期限を設けて義務化を進めることが必要ではないか」と提案した。これを受け、安達氏は、「確かに患者が知りたいのは、手術などを受けた場合だろう。次回改定で何らかの期限を設けることが必要だろう」と同意した。

 (2)の問題は、「一度、患者の希望を聞き、患者が不要とした場合に、その後、診療内容が変わっても、発行の有無を改めて聞くことなく発行しない」といったケースなど。日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏は、「2010年度改定では、患者の希望を聞かないで発行することがデフォルトになったのではないか」と確認。さらに公費医療で患者負担がない場合でも、自らの医療費への理解を深めるために明細書の発行が必要だとした。

 そのほか、北村氏は、「明細書の無償発行は、国民一人ひとりに医療費への理解を深めてもらうための第一歩。こうした視点からも、患者に明細書発行の意義を周知させていくことが必要」と求めた。

 明細書発行推進を求める意見の一方で、全日本病院協会会長の西澤寛俊氏は、次のように指摘した。「患者への情報提供は進めていきたいが、明細書は保険者に対する請求の一部であり、これを患者に渡すのはどうかと考えたこともある。患者は何を知りたいのか、それに併せた、もっといい書式があるのではないか」との考えを示した。

 以上の議論を踏まえ、森田会長は、「患者への情報提供については異論がないが、かなり費用を高い徴収をするなど、明細書発行のディスインセンティブが働いている。『正当な理由』の扱い、いったん患者が不要といった後の扱いなど、今の制度についてもう少し検討すべきではないかとの意見、さらに発行しないことを認めない方向性を検討すべきという意見があった」と総括した。

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