Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

「わたしを離さないで」第5話。

2016-02-13 00:49:50 | テレビ・ドラマ


今週もリアルタイムで「わたしを離さないで」を見ました。

第5話のメインは、恭子たちのコテージの仲間が、偶然街で美和の“ルーツ”とおぼしき人物を見かけたという話から、全員で会いに行くことになる、というものでした。“ルーツ”とは、恭子たちクローンを作るために細胞を提供した人のことだそうです。クローンを作る過程の話は詳しく出てこないのでよくわかりませんが、恭子いわくクローンにとって“ルーツ”は親のようなものだそうです。原作では“ポシブル”と呼んでいたので、“こうだったかもしれない自分”みたいな意味なのかと思って、なんとなく生き別れのきょうだいのようなものを想像していたのですが。

美和のルーツの話が出てくる前に、恭子が自分のルーツを探そうとアダルト雑誌をめくる場面がありましたが、とてもシリアスな場面のはずなのに、綾瀬はるかが自分に似た人のエッチな写真を探していると思うと、ちょっとおかしかったです。綾瀬はるかも昔は水着のグラビアとかやってたから。そんなにきわどいのじゃなかったと思うけど。

恭子がアダルト雑誌に自分のルーツが載ってるんじゃないかと思ったのは、「自分は性欲が強くて、相手が誰でもいいからどうしてもしたくなる時があるから」だと美和に告白していましたが、そうなってしまうのはいい子ちゃんぶりっこの反動なのでしょうか。それとも一番好きな人=友彦とできないのなら誰でもいいとやぶれかぶれになっているとか。どちらにしろ、浩介はちょっと気の毒かな。コテージにいる間、恭子を支えてくれてたのは浩介なのに。いずれ別れが来ることはわかっていても。

…なんて浩介に同情をしたのもつかの間、その気持ちもあっさり吹っ飛んでしまいました。それは…デカメロン伝説のせいです。
綾瀬はるかが体にぴったりはりつくタートルネックセーターなんて着てたら、誰でもついそこに目がいってしまうじゃないですか普通。そこに来てデカメロン伝説ですよあなた。峰岸さんってば例えがうまいんだからーもう。デカメロン伝説のおかげで浩介を気の毒に思う気持ちは霧散して、とにかくやたらうらやましいぜチクショーコノヤローになってしまいました。はい。いや、大きければいいってもんじゃないけどね!

話が変な方にイッてしまいましたが、美和のルーツに戻ります。同じコテージのあぐりは美和に「会いに行くべき」と勧めますが、美和は二の足を踏んでいる様子。怖いんでしょうね。そりゃ怖いわな。同じ細胞からできているのに、外の世界の人間であるルーツと、臓器を提供して死ぬしかないクローンの自分とのどうしようもない違いを、見せつけられることになるんだから。恭子や友彦の前では女王様のように強がっている分、余計に。ルーツに会いに行くまでの美和の緊張で張りつめた様子は、見ているこちらにもぴりぴり伝わってきて、脚本と演出と演じる水川あさみの演技に圧倒されました。ほんと、メインの3人の演技は毎回素晴らしいです。

美和が思い切って声をかけた女性が、本当に美和のルーツだったのかどうかはわかりませんでした。原作でもそうだったし、もし本当にルーツなら美和の顔を見たときに、恭子たちに会った時のマダムのような反応があっただろうから。でも、会いに行くまでの張りつめ方から想像するに、真実がどうであれきっと美和はその女性には赤の他人だと言い張ったでしょうけど。女性が左利きだったから、絶対自分のルーツじゃないというのは言い訳で。たとえ同じ細胞からできていたとしても、彼女と向き合えば、自分が何者なのか思い知ることになるから。

さて、ルーツに会いに行く前、恭子たちはファミレスであぐりと譲二から、「陽光学苑では、真に愛し合っていると認められた男女は提供まで猶予がもらえる」という噂があるが本当かと聞かれます。「聞いたことがない」と即決しようとする恭子を遮るように、「知ってる。聞いたことがある」と言い張る美和。うーん、言葉にすればそれが真実になると思っている、というか願っているんでしょうね。それくらいしか、願いを叶えるためにできることがないから。叶えられる願いがないから。悲しい。

でも、美和のでっちあげた「猶予」の話を、友彦は信じてしまったようで。間の悪いことに龍子先生からの手紙が後押しになって、友彦は「絵を描いてマダムに認められれば、猶予がもらえる」と解釈しちゃったようです。うん、陽光にいたとき、やたら絵を描かされたし展示会でマダムに作品を選んでもらえることが彼らにとって唯一のステータスだったから、そうなっちゃうよね。絵が上手でなかった友彦が、これでまた絵を描き始めるのかと思うと切ないです。その先に何があるのか…。

これだけでも切ないのに、友彦は恭子とのぞみが崎にいった帰りに、これまたこちらの胸が痛くなることを言ってくれました。「夢はかなわなくてもいいんじゃないか。夢は持ってることが幸せなんじゃないか」って。夢を叶えるために努力することのずっと手前の、夢を持つことまでしか許されない―彼らの幸せの定義がそれなのかと。

恭子と友彦がのぞみが崎のリサイクルショップであのCDを見つけるのは原作と同じでしたが、店でCDを買うのではなく、店主からBGM用のCDを譲ってもらうという流れになってました。店主は彼らがクローンだと気づいて(プリペイドカードのせい?)、ただで譲ってくれるのですが、クローンと市井の人がやりとりする場面は原作になかったので新鮮でした。そうか、こういう風に思われてるのかと。外の世界の人たちは、恭子たちクローンに対して多少のうしろめたさを持っているのかもしれない、と。もちろん、そういう人ばかりじゃないことも想像できますが。

第5話の冒頭で、恭子が「わたしは時々ひどいことをする」と言ってたので、ドラマを見ながらその「ひどいこと」とはなんだろうと想像していました。そしてのぞみが崎でCDを見つけた時、もしかすると「ひどいこと」というのは友彦からもう一度CDをもらったこと、そしてそれを美和には内緒にすることなのかなと思ったのですが、実際はもっとずっとわかりやすくひどいことでした。恭子は友彦のことが好きだけれど、美和とは今まで通りの仲でいるつもりなのだから。限られた時間、限られた人間関係の中で、穏やかに過ごすために。見ていて息が詰まりそうになったのは、これがドラマの中だけの話ではなく、現実でも同じような状況の人がいる、と想像できるからかもしれません。それはドラマ終盤に流れたニュース速報のテロップのせいだけじゃなくて。もっと身近にも。

予告によると第6話は、真実たちが反乱の運動を起こすみたいで、ドラマオリジナルの展開なのでどうなるのか想像できなくて気になります。いい方向に転がってほしい…と思っていたけど、ドラマの中盤でこの展開なら、あまり期待はできないのかなぁ。来週で第2部は終わるそうですが、第3部がどこから始まるのかもまったく予想できません。1週間後が待ち遠しい~でも見るのが怖い~。


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