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<複数婚トークイベントレポ!>その2【世の中にたくさんある事実上の複数婚的関係、法律ではどう扱われてるの?】

2019年12月24日 | 2019/12/07複数婚トークイベント
<トークイベント「同性婚応援してる弁護士さん、複数婚も応援してくれますか?~ポリアモリーと法律について考える~」当日レポ!>その2

【世の中にたくさんある事実上の複数婚的関係、法律ではどう扱われてるの?】
<みさえのギモン>
刑法や民法では重婚ダメってなってるけど、でも事実上の複数婚的関係は世の中たくさんあるよね?さかのぼってみれば、日本でも江戸時代あたりまでは、身分の高い男の人は側室がいて当たり前だったみたいだし、皇室も明治天皇までは側室いたし。今でも力のある男の人が家庭2つ持ってたり、そんな話は珍しくないよね。ほかにも例えば、「婚姻関係破綻してるけど相手が離婚届出すの拒んでて戸籍上は既婚のまま」状態の人が別の人と事実婚関係になるケースとかもよくある。そしてもちろん、ポリアモリー、自立した個人同士で、全員合意の上で対等な関係を築くという、そういう複数婚的関係もある。
そんなこんな、現実的にたくさん存在している複数婚的関係って、法律上どう扱われてるの?1対1の男女のカップルの事実婚だと、婚姻届出してなくても同じような権利がかなり認められてるし、 1対1の同性カップルも、まだ法律婚こそできないけど最近ではかなり婚姻カップルに準じた権利が認められるようになってきてるよね。事実上の複数婚関係もそういう保護ってあるものなの?それとも全部ダメってされちゃってるの?
あと、海外には複数婚が認められてる国もあるけど、そういう国で複数婚してる人たちが日本に来たらちゃんと夫婦として扱ってもらえるの?

<山下弁護士のお話>
日本の歴史を振り返れば、古くは「魏志倭人伝」にも一夫多妻の記載があるなど、一夫一婦制規範は必ずしも当たり前のものではなかった。しかしながら、重婚罪に象徴されるように、現代日本の婚姻制度は一夫一婦制を基本としており、事実上の複数婚的関係については、1対1の事実婚関係のようには保護されてはいないのが現実である。
ただし、法律上婚姻している者が他の者と事実婚関係にあるような場合(重婚的内縁関係)、法律婚が破綻し実態を失っているのであれば、遺族年金や労災保険など社会保障法上は事実婚配偶者の方が配偶者として扱われ、一方で遺産相続など民法上は法律婚配偶者の方が配偶者として扱われる、ということもある。法律婚配偶者が法制度上常に優先されるとは限らないので、注意が必要である。
また、複数婚/ポリアモリー的関係に関する判例としては、男1人女2人が性的関係を伴う共同生活を送っていたところ、生活費の分担等についてトラブルになり裁判になったケースがある(東京高判平12・11・30判タ1107号232頁)。この裁判では、この3人の共同生活が公序良俗に反するものとされ、生活費負担の合意も公序良俗違反として無効とされた。ポリアモリー的関係を否定する判決とも取れるが、公序良俗違反というのはあくまで個々の事例ごとに判断されるものであり(例えばこのケースの場合、3人の親族も巻き込んだトラブルになっていたなどさまざまな背景があった)、この判決によってポリアモリー的関係がすべて否定されたものとは一概には言えないと思われる。ポリアモリー的関係の法的扱いについては、判例もまだほとんどなく、明確になっていないところが多いのが現状といえる。また、「何が公序良俗違反か」というのは時代によって変わっていくものである。例えば、最近ではすっかり一般的になり、東京都渋谷区のパートナーシップ証明の要件にもなっている同性カップルの公正証書作成だが、20年ほど前には「同性ふたりで夫婦同然に生活するための公正証書など公序良俗に反するので作れない」などと公証役場で断られることもあった。複数婚/ポリアモリー的関係についても、時代とともに感覚が変化していく可能性はあるのではないかと思う。
なお、海外には一夫多妻制の国もあるが、例えば容認国の一夫多妻の夫婦が揃って来日した場合、全ての妻が妻として在留資格等認められるかというとそうではなく、妻は1人までしか認められないのが実状である。なお、同性婚の場合、同性間の法律婚が可能な国出身の外国人同性婚(法律婚)カップルであれば、一方が就労等で来日した場合、その配偶者も、配偶者としての在留資格は付与されないものの、「特定活動」という在留資格で日本で暮らすことができる。ただし、日本人と外国人の同性カップルの場合、同性婚可能国で法律婚していたとしても、外国人配偶者の在留資格は認められないのが現状であり、現在裁判で争われているところである。一方、私自身も訴訟等に関わった事例で、2019年3月、日本国内で日本人男性と長年結婚同様の共同生活を送ってきた台湾人男性に在留特別許可が付与されるという事例があった。外国籍の同性パートナーに在留資格が付与されたケースとしてはおそらく国内初と思われる、大きな意義のある事例である。同性国際カップルの在留資格については、このようなさまざまな動きから、今まさに変化が起きているところといえる。
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