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時代がよめる経済・ビジネス講座「金融危機の発生メカニズムと世界同時不況」

2009-06-05 11:02:40 | 講演・記事
5月30日(土)、小樽商科大学札幌サテライトにおいて、ビジネス講座「金融危機の発生メカニズムと世界同時不況」が開講されました。その内容について、講師を務められた齋藤一朗教授に報告していただきます。

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2007年夏に露呈したいわゆる「サブプライムローン」問題は、およそ1年を経て、リーマン・ブラザーズなど、名だたる金融機関を破綻へと追いやった。

 「次はどこだ!」

金融市場では瞬く間に疑心暗鬼が広がり、証券化技術によって膨張を続けてきた信用は、一転崩壊へと向かう。表面化する損失、加速する投資資金の引揚げ、安全資産への逃避…。急速な信用収縮は実体経済をも引きずり込み、いまやその影響は全世界に及んでいる。

 「金融危機はなぜ発生したのか?危機はどのように伝播していったのか?」

当日は、以下に掲げた小見出しの順番に沿って、世界同時不況の様相を呈している現在(いま)を、金融面から取り上げた。

I. サブプライムローン:概説

若年層やマイノリティ、低所得者層の持ち家促進政策を推し進める金融的な手段として生み出された「サブプライムローン」。まずは、ローン商品としての特徴と、そのスキームについて概説することから始めよう。

   サブプライムローンとは何か?
   サブプライムローンの推移
   サブプライムローンの証券化スキーム

II.危機の胚胎:サブプライムローンの膨張

折からの住宅用不動産価格の高騰は、最終的な借り手(サブプライム顧客)とサブプライムローンを取り扱う金融機関のリスク感覚を希薄化させる方向に作用した。他方、世界的な過剰流動性を背景とするサブプライムローン証券化商品への需要増は、サブプライムローンに対する供給圧力へと転化し、その結果、ローン残高の異常ともいえる膨張がもたらされた。

  サブプライムローン膨張の構図
  住宅バブル~住宅用不動産価格の高騰~
  証券化技術~リスク・プーリングと優先・劣後構造~



III.米国発金融危機の構図

サブプライムローンの膨張は、住宅バブルの崩壊を契機に終焉を迎える。最新の証券化技術を駆使し、格付け機関による格付けとモノラインによる保証によって創造されたトリプルAの神話は脆くも崩れ去り、金融機関には想定外の損失がもたらされた。「福袋」と信じていた証券化商品は、実は「闇鍋」だった。その刹那、銀行間市場には疑心暗鬼が生まれた。

  住宅バブルの崩壊とふたつの悪循環
  トリプルA神話の崩壊
  金融・資本市場における負の連鎖



IV.米国発金融危機の伝播

サブプライム・ショックに伴う疑心暗鬼は、米国内において銀行間市場から貸出市場、あるいは他の金融・資本市場へと広がり、金融システム全体を機能不全に陥れた。米国発の金融危機は自国の実体経済を引きずり込むとともに、国際的な資本移動を通して、欧州、そして日本へと、その影響を拡散させてきた。

  サブプライム問題の深化と拡散
  世界同時株安と日本経済の低迷
  サブプライム・ショックと北海道経済

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