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(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

片胸落

2025年03月28日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。


     ◆     ◆     ◆

片胸落は、旧・科目表では1級科目で最初に習得した羅漢拳(衣服取り)の法形です。その前の2級で出てきた羅漢拳の最初の技である片手上膊捕両手上膊捕は、羅漢拳と言っても腕を鷲掴みする攻撃でしたから、攻者が袖・襟をしっかり掴んでくる最初の法形になります。羅漢拳は攻者の腕っぷし・握力が強いと非常に難しいので、よく練習する必要があります。

攻撃は「上襟を握り拳を縦にして押し込んできた時」とされます。それに対しその拳を守者の両手で挟むように握り、我の胸に押し当てながら、両肘と身体の返しで攻者の握り拳の上下を返し、更にS字の形にして極めます。これは3級科目として既に修練してきている十字小手の動き(原理)を、我の胸前でやっている事になります。

羅漢拳では、攻者の襟・袖を握る力を無力化する為にS字を多く用います。
自分でやってみても分かりますが、S 字に手を返すともう全力で握る事は出来ません。逆小手-前指固にも通じますが、まず大拳頭を攻められると、もっと言えば手首を殺されるだけでも握力は激減します。そこに加えてS字の極めが手首に掛かる事で、攻者は完全に無力化される訳です。
しかしこの形に持っていく為には、攻者の拳の上下を逆さにしなければならず、それがこの系統の最大の要点になるのです。十字小手では攻者が我の手首を握ってくれているので、立てていた我の前腕を上下逆にするだけで、必然的に攻者の手首を返す事が出来ました。
羅漢拳を上達するコツの第一は「合掌する事の強さを認識」する事だと思います。SK拳士であれば日々お互いにしている合掌礼ですが、両肘を張って両手掌を押し付けると、そこに強い力が生まれます。合掌は我の身体から離れたところでやると力は出ません。我に近ければ近いほど強い圧着の力になります。その圧着の力を片胸落での手首の返しに用います。

鉤手守法を取りながらまず下の手をU字にして攻者の手首を握り(拇指と内拳頭で挟むような感覚の方がいい)、牽制の目打ち or手刀切りをした手で直ちに攻者の拇指から手甲を上から挟みます。この上下の挟み手が滑らないようにして下さい。この手が滑らなければ、我の張った両肘を回転させる事で、梃子の原理により俗に言う「万力で挟んで捻り上げるように」攻者の手首を返す事が出来ます。

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自分一人で片胸落の動きを確認し、攻者の掴み手の位置がどこにあれば一番自分の力が発揮出来るかを確認します。回転の中心は動かないのが一番なので、そこに「作り」を持っていくのです。
攻撃の「上襟を握り」とはこの片胸落の回転が出来る範囲で掴まれた時、という事を意味します。下襟では出来ないので別の技(腕巻/1級技)で対応します。高過ぎても出来ないのでその場合は送襟捕(四段技)になりますが、攻者が普通に前から襟元を握ろうとすれば、概ね対処出来る範囲になると思います。

ただ攻者が襟を握った後、引きつけてこようとした場合、最初は縦拳で握っても通常は回外するように捻じ引いてきますので、これは片胸落の回転と真逆になりますから攻者の力に勝てません。なので攻者が手掌を自分に向けるように握り引いてきた時には、別の技(巻落/二段技)が必要になります。
勿論、攻守の実力差次第では引こうとする攻撃でも握った刹那に片胸落も可能ですが、基本としては攻撃は「押し込んできた時」になります。肘関節を伸ばす動きは前腕の回内運動と協調するからです。

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とにかく攻者の握力や腕力が強いと難しい片胸落ですが、よく指導されるコツに「合掌する両手は少しズラして<棚(タナ)を作る>」「一旦押し付けた我の胸の反りも使って攻者の拇指を伸ばして無力化する」というものがありますが、これらはやはり道場で直接指導者に掛けてもらい修練するのが一番でしょうから、ここではこの程度で留めておきます。

片胸落 引胸落 両胸落Short Ver; 連続複数法形修練(金剛禅総本山少林寺公式Chより)

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