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(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

天秤固(裏)

2025年05月31日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。

     ◆     ◆     ◆

天秤固(裏)(裏天秤固とも言う)は旧・科目表では独立した項目の法形ではなく、巻小手(片手/諸手)(1級科目)の固め技として前天秤固と共に出てきた金剛拳の法形です。
諸手巻小手では攻者が前回転に投げられる事が多い為、守者が攻者の頭側に位置取る事になります。そうすると前指固を行なうにしろ、掛け手を持ち替えて裏固を行なうにしろ、自分が回り込むように移動する必要があります。勿論それでも構わないのですが、その位置から直ちに固めに入れるのが前天秤固と裏天秤固、という事になります。
片手巻小手は投げよりも巻き込んで倒す事が多いので、その場合裏返し投げから裏固に行った方が良いかも知れません。諸手巻小手であっても、肘への攻めが有効であれば、そのまま裏返し投-裏固が可能ですので、必ずしも裏天秤固をやる必要はありません。

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肘関節を曲げさせないように、掛け手ごと身体を一歩踏み出す事で腕を引っ張り出す訳ですが、その状態で固めて良しとしているひとが非常に多いです。(見た目に格好イイのか学生演武で好まれる傾向があります)
しかし(恐らく団体演武で揃える為なのだと思いますが)ただ引っ張る裏天秤固だと容易に逃げられるだけでなく蹴られる危険が大きいのです。
それに対する対策としては、膝を頸部に落とすのが早いですが危険でもあります。
なので最近は本部でも、きちんと腹這いにして肩を地面につけさせる裏天秤固を指導してくれています。ただ引っ張るだけでは肩は地面にはつきません。掛け手した手首を回内する方向に捻る事で、送小手の原理により腹這いにする訳です。
これは固める腕に対して、裏固とは頭尾逆で同じ操作している事になります。

最初に捌き手の丁字を天秤の急所に充てる迄は、一瞬手首は回外させて肘関節を伸ばしてますので、分解するとそれなりに複雑な動きをしている事になりますが、攻者の肩を地面に付ける迄を一つの流れとして繰り返し修練するべきでしょう。やはり手だけやるのではなく、我の腰・重心を使って固める意識が大切です。

腕逆捕 巻小手(諸手) 諸手十字小手 Short Ver: 連続複数法形修練 (金剛禅総本山少林寺公式Chより)
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前天秤固

2025年05月30日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。

     ◆     ◆     ◆

前天秤固は旧・科目表では独立した項目の法形ではなく、巻小手(片手/諸手)(1級科目)の固め技として天秤固(裏)と共に出てきた金剛拳の法形です。

「前天秤」という言葉は、旧・3級科目肘抜より前天秤でも出てくるので混乱しますが、こちらとは全く別の技法です。正直「別の名前にすればいいのに...」と思いますが、名前を決める際にもう一方の事を忘れていたんでしょうね。。

前天秤固と天秤固(裏)は「逆小手の掛け手」の儘で行なうので、逆小手系の各種法形から固める事が出来ます。その際、攻守の位置関係が重要になります。
諸手巻小手では攻者が前回転に投げられる事が多い為、守者が攻者の頭側に位置取る事になります。そうすると前指固を行なうにしろ、掛け手を持ち替えて裏固を行なうにしろ、自分が回り込むように移動する必要があります。勿論それでも構わないのですが、その位置から直ちに固めに入れるのが前天秤固と裏天秤固(天秤固(裏))なのです

前天秤固については、前指固の際に肘を曲げられそうになった場合(or肘がズッコケた時)の変化の一つとしても説明されます。こちらの場合も肘を強く曲げられた場合は押え指固に移行する必要がありますが、そこまで行かない場合には腕を(攻者の)頭方向に強く引っ張り上げながら丁字手で天秤の急所を攻める事により、再び肘を伸ばさせる事が可能です。

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関節技はどんな技でも、掛けられる側(攻者)の柔軟性や関節の強さで成功するかどうかが変わります。十字固は比較的誰でも同じように極まりますが、送り固などは全く効かない人も沢山います。
この前天秤固に関しては、攻者の肩関節の可動域によって効きが全く変わる法形でしょう。私のように肩関節が硬い者に掛ければ、腕を挙上した段階で肩が簡単に極まってしまい、腰が浮いて抵抗出来なくなります。腰が浮くかどうかで肩が極まったかどうかが一目瞭然な訳です。
肩が極まらなかった場合でも、前指固同様に天秤の急所(or肘関節)と手首(〜示指)を極められれば、制圧する事が可能です。但し肩も極まっている場合より制圧は弱くなりますので、蹴り反撃などに注意して早急に次の行動に移るべきでしょう。
何れにしても攻めている側の肩を地面に固定する意識を持つと、攻者が暴れにくく(攻者に逃げられにくく)なります。

手首を捻る方向で肘関節の向きが変わります。上から腕を伸ばし押さえるのに手首を回外させるのは丁度良い訳ですが、そうすると肘関節も上を向くので天秤を攻め易くなる訳です。
腕を挙上させて肩関節を極め、手首を捻り天秤を極めて肘を完全に伸ばさせます。そこから手首を逆回転(回内)させ大拳頭を頭方向に攻めると指固も加える事が出来ます。

これら①肩 ②肘 ③手首(〜指)への攻めを、攻者の関節の柔軟性や強さを見ながら調節するのがこの法形のキモになります。②肘関節は折るように攻める事も可能ですが、仲間を壊さないように注意して下さい。
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十字固

2025年05月26日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
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SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。


     ◆     ◆     ◆

十字固は旧・科目表では独立した項目の法形ではなく、片手十字小手の固め技として3級科目に出てきた金剛拳の法形で、S字系に分類される固めになります。
片手送小手が完遂した状態は既に送り固の形であったのと同様に、片手十字小手を行なうとその完遂時の状態が既に十字固となっています。それに対し、逆小手からの前指固では独自の操作(ひと手間)が必要になります。送り固や前指固は金剛拳としては制圧力がやや弱かったのに対し、この十字固は正しく行なうと逃げるのは難しいです。

しかし同じS字系の中の別系統である切小手(旧・2級科目)の固めに関しては、特に金剛拳の名称は与えられていません。切小手自体が固めである、という事に余り違和感もないのですが、そうするとこの十字固がわざわざ金剛拳の一項目として独立している事に整合性が取れなくなります。
羅漢拳に於ける制圧時の状態にも、特に金剛拳の法形名は与えられていません(袖捕・袖巻・片胸落・襟十字...)

十字小手は「送小手の掛け手」なので、送小手系の各種法形から連絡移行が可能であるとかの汎用性があればまだ良いのですが、基本の十字固は掛け手と反対の手(前腕外腕刀)が攻者の内手首を押さえている形なので、送小手系統からわざわざこの形になる事はありません。
なので十字固になり得るのは、片手十字小手・両手十字小手・諸手十字小手以外だと、襟十字袖十字だけという事になります。教範の襟十字と袖十字の項には「十字小手の要領で捕る」とあるので、固めは十字固と言っても良いと思いますが、科目表には特に十字固である旨は書かれておりません。襟十字は、相棒の片胸落に金剛拳(名)がありませんから、その所為なのでしょうか。因みにS字系には十字小手系と切小手系がありますが、十字小手系(広義)には片胸落や袖巻なども入りますから、十字小手系でもまさに「十字」の名を冠するもののみが十字固を行なう事になります。。

実はSKには科目表に記載のない、謂わば「変化」ともいうべき固めが幾つか存在します。代表的なものが俗に「S字固」と呼ばれる送肘攻の形の固めで、これは送小手の掛け手からの汎用性が高く、羅漢拳だけでなく色々な場面で使用されます。大会演武でも頻用されますので、教範未掲載技(開祖非認知技?)としては最も一般的と言ってもいいでしょう。
他にも閂系統の投げ技の後に使用される固め(「天秤固」と呼ばれる事もある)も、金剛拳には収録されてません。
この辺りも開祖の教範の中途半端なところ …解読が難しいところです。。。

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送り固

2025年05月25日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものではありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。


     ◆     ◆     ◆

送り固は旧・科目表では独立した項目の法形ではなく、片手送小手の固め技として4級科目に出てきた金剛拳の法形です。
前指固の項でも述べましたが、金剛拳は掛け手が重要であり、同じ掛け手をする技では金剛拳は共通して用いる事が出来る、という認識が必要です。「送小手の掛け手」は実は広く様々な法形で用いられる掛け手なので、例えば十字小手からでも理論的には送り固は移行可能です(通常は十字固になります)。

片手送小手は攻者の肩を送って下に落とす技術ですが、落とす際には作りの部分で袈裟斬りをして、我の後ろの鼠径部に固定するようにします。それが既に送り固の形ですから、送り固の形になるように送小手をする訳です。
送小手では攻者掴み手の拇指-示指の股に我の「鶴の首」の手が充たっていますから、必要に応じてその儘攻者の拇指を折るように攻める事も可能です。それでも不足であれば指捕りに移行します。指捕りに連絡して連行すれば、現行法でいう送指捕になる訳です。

両手送小手(旧・2級科目)でも送小手完遂時の体勢は同じですから、送り固でも何ら問題はない訳ですが、科目表ではここで送指捕が指定されています。科目表の両手送小手は2項立てになっており、もう一つは横天秤より裏固に移行する事になっています。これらは送小手の掛け手からであれば、連絡-移行可能という事です。

送捕(旧・2級科目 )の後の制圧も送り固と呼んでいいとは思いますが、捌き手の位置は異なります。送捕では鶴の首ではなく丁字手を内手首に充てていますが、制圧が不充分であればこちらも拇指を握り直して送指捕に移行可能です。

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もう少し送り固そのものについて考えると、基本的には手刀側に指を掛け手掌で拇指側から大拳頭を攻めているのですが、効かないからと無理に大拳頭攻めを頑張ると引きつける力が弱くなり攻者の肘が折れてしまう事があります。
これは肩への効かせが無くなり送小手失敗の時と同じになりますから、すぐに天秤を押さえないと攻者が起きてきてしまいます。
なので先生によっては大拳頭ではなく、小拳頭側に効かせて閂を掛けていく先生もいます。ただ閂固とは掛け手が上下逆ですから、閂を掛けるのも難しいかも知れません。

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そもそも護身術であるSKの金剛拳は、自身が立った状態で暴漢を制圧しようとするものが多いですから、柔道の抑え込みのように相手が全く動けなくするのは難しいのです。
送り固は金剛拳の中でも制圧力が弱い固めです。なので前指固同様、利くひとには或る程度利くけれども、全く利かないひともかなりおり、長時間の制圧は不可能です。圧法などを併用する場合もありますが、常に相手をよく観察し、相手が起き上がって来そうであれば、変化したりすぐさま急所に当身を入れたりして、自身は逃げられるような心積もりが必要です。

【宗門の行としての少林寺拳法】龍華拳 片手送小手 金剛禅総本山少林寺 公式YouTubeチャンネルより
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前指固

2025年05月24日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものではありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。

     ◆     ◆     ◆

旧科目表では前指固は独立した項目の法形ではなく、逆小手の固め技として5級科目に出てきた金剛拳です。金剛拳とは、相手を動けなくして制圧する固め技を集めた拳系ですので、龍華拳などの投げ技、羅漢拳などの衣服捕りでは、最終的には金剛拳で動けなくして制圧する流れになっています。

金剛拳としては、旧・6級科目腕十字固がありました。
しかし腕十字は仕掛けの捕技・連行技であるので、龍華拳・羅漢拳から連絡しての固め技としては、前指固が初であった訳です。
SKの固め技は、掛け手をずらす事なくその儘固めに移行する事が、その特長となっています。SKには代表的な掛け手に「逆小手の掛け手」と「送小手の掛け手」がありますが、前指固は逆小手の掛け手を用いて、逆小手の大拳頭攻めの流れの儘に固めを行ないます。正しい掛け手をしなければ逆小手も出来ませんが、その後の前指固にも関わりますので、やはり正しい掛け手が重要です。

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前指固も、先生方によりやり方に多少の違いがあります。
共通する基本項目としては、①まず脚刀を倒した攻者の上腕に充て、肘関節を伸ばす(曲げさせないようにする)、②元々攻者に握られていた方の手(捌き手)の手掌で攻者の大拳頭を押圧し更に攻める、③伸びた攻者の指を攻めて攻者の手首〜指を極める、という順序です。

逆小手によって倒された攻者は腕を縮めようとする場合があるので、基本としては本当はまず三枚へ当て身(打ち蹴)を入れる事になっています。これは一般道院などでは結構省略して修練する事も多いのですが、学生拳士たちは大会演武でしっかりやるように訓練されているようです。。(反省💦)
そこからすかさず脚刀を肘関節頭側の急所(天秤)に充て、肘関節を引上げて開きます。先生によってはこの時、脚刀攻めの力で攻者の腕を顔面に押し付け、呼吸が出来ないように攻める方もいます。但しこれを前天秤固のように腕が傾くまでやり過ぎると、指固めが出来なくなってしまいます。

②まず大拳頭を攻めて→そこで③伸びた指を攻める、という順番が重要です。逆にして先に指を攻めてしまうと、結局指が極まりません(効きません)。
また②→③の攻めよりも攻者の手首を回外するように捻る事を強調して指導するひともいますが、これも効果はあるのですが余り捻り過ぎると、守者が外を向く形になってしまい②→③の拳頭攻めを行なう軸を失ないますし、捻りの際に脚刀で極めていた肘が外れて攻者に逃げられるリスクが大きいので、私はお勧めしません。
軍隊格闘術などで捻りで極めているのを見ますが、そちらではそもそも前段階の体勢が異なるようです。

③の指攻めは、私は最初は拳頭を攻めた手掌を滑らせてその儘攻めるように習いましたが、本部で新井先生は指を握り込むように攻めていました。その方が極まりますしズレないので、私も現在はそうしています。(但し②→③の順序は守る事)

拳頭-指攻めが前指固の要点なので、それをしないと前指固になりません。攻める方向は攻者の肩〜頭に向けてです。
その為にも①の天秤への攻めで腕を直線化し、一本の棒になった腕を立合掌固と同様に地面に突き刺すようにして、攻者の肩(の背面)を地面に固定した方が良いと思いますが、肩が浮いた状態でもすかさず②→③で極めてしまう先生もいます。前指固は肘関節を曲げさせない為の引き上げと、拳頭-指攻めの押し下げを同時に行なう固めなので、更に肩を地面に押しつけるのは難しいところもあるのです。何れにしても前指固は長い間は制圧しづらい固めなので、指固めを優先されているのかも知れませんね。

【宗門の行としての少林寺拳法】龍華拳 逆小手 金剛禅総本山少林寺 公式YouTubeチャンネルより 永安先生はここでは肩を地面に固定していないですね。
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