”スローライフ滋賀” 

限りなくチーズに近い滋賀特産「ふなずし」 家庭で作る静かなブーム(産経新聞より)

 平安時代の法令集「延喜式(えんぎしき)」に記され、約1200年の歴史がある滋賀県の特産品ふなずし」は、正月やハレの日に食べることが多い。

「ふなずし」と聞いてちょっと顔をしかめる人もいるが、専門店の逸品は格別な味わいがある。そんなふなずしだが、琵琶湖の固有種で原料ニゴロブナの漁獲量回復に伴って、再び家庭で作るという静かなブームがやってきているという。



 元県職員の福井高島市長がふなずし作りに初めて挑戦したのは、農政水産部長に就任した平成21年だった。それまで、まったく経験のなかった部署で、「勉強の手始めとしてやってみようと考えた」。滋賀県水産試験場(彦根市)の職員から作り方の講習を受け、ニゴロブナ5kg(10数匹)を漬けた。

まるでチーズ
「おいしかった。衝撃的だった。限りなくチーズに近い味の深み。香りがいつまでも口に残る。友人からは、『大阪に専門店を作るから、ふなずしを作ってほしい』とまでいわれた。ふなずし作りにはまった」
 その後はニゴロブナの量を増やし、毎年、作っている。完成品は暮れから正月にかけて、親戚や友人にも贈っている。只、令和2、3年と2年連続で失敗しているという。
「夏場の温度管理が重要で、暑すぎると身が溶けてしまう。猛暑だったのもあり、身がボロボロになって、原形をとどめていなかった。簡単ではない」

人気の講習会

 ふなずしは、滋賀県内では、多くの家庭で作られていた。しかし、外来魚や水質悪化の影響で、原料ニゴロブナの漁獲量が1980年代以降、年々減少。入手しにくくなり、作る家庭は次第に少なくなった。
 ところが、ここ最近、大規模なニゴロブナの稚魚放流や繁殖地のヨシ帯の造成、外来魚駆除によって次第に漁獲量が回復。それに伴ってふなずしを作る家庭が増えてきているという。「毎年、滋賀県内各地でふなずし講習会を開いているが定員割れはない。女性が多いが夫婦で参加する方も。京都の料理人も来られた」

 ニゴロブナの消費拡大を進める滋賀県漁業協同組合連合会(県漁連)の沢田宣雄専務理事は話す。
 平成19年から、自らも講師を務めて滋賀県南郷水産センター(大津市)で開いている講習会は、7月の土日で1日20組限定だが、すぐに定員が埋まる。滋賀県内各地の漁協での講習会も瞬く間に予約で埋まるという。
「お酒にも合い、高級品で、スローフードでもある。潜在的に関心があったのではないだろうか」と沢田専務理事は分析する。

作ってみよう!
 滋賀県漁連では、ふなずしの作り方を紹介している。
漬け込みは夏の土用の暑い日がよく、12月末には食べられるという。
 用意するものは、塩切り(塩漬け)したニゴロブナ5kg(鮮魚換算)、ご飯3升5合、真鍮(しんちゅう)ブラシ、洗濯物干し、桶(おけ)など。
塩切りニゴロブナは南郷水産センターや滋賀県内各漁協で買うことができる。

<水洗い>

 塩切りフナを水洗いし、塩を取り除く。ブラシで残っているウロコも取り除き、全体を青光りするまで磨き上げる。どれだけきれいに磨くかで、ふなずしの味が決まるという。

<干し>

 磨き上げたフナの水分をキッチンペーパーで取り、洗濯物干しにつり下げて、風通しのいい所に数時間干す。

<漬け込み>

 桶にご飯を敷き、フナが重ならないように並べる。ご飯をかぶせて、再びフナを並べる。これを繰り返し、20kgの重しを1週間置く。1週間後に重しを追加する。

◇沢田専務理事は、「味の安定している専門店は別格。ただ、家庭で作るのも難しくはない。大事なのは環境(乳酸菌)。運任せでもあるので楽しい」と話していた。

<産経新聞より>
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