”スローライフ滋賀” 

シカ食害で「伊吹そば」に危機 金属製網目状の柵導入へCF

 米原市の特産品「伊吹在来そば(伊吹そば)」が、伊吹山の植物と同じように野生のシカに実などを食べられる被害に見舞われている。生産者に渡す種を作る原種ほ場の電気柵を破って侵入し、畑を食い荒らす。「原種をしっかり取らないと栽培もできず、店で販売してもらうそばも作れず、地域が潤っていかない」。関係者は対策を強化している。
 
 「伊吹そば」は別の品種と交雑しないようにするため、米原市最北部の甲津原地区で、甲津原営農組合が原種を栽培している。伊吹そば生産組合がその種を買い受け、生産者に分配。伊吹山麓の地域で7団体と9個人が毎年、計約50ヘクタールほどで生産している。
 生産組合の山崎茂代表によると、そばの生産は種まきから収穫まで90日ほどかかる。8月上旬に種をまくと、2~3週間で新しい芽が伸び、10月下旬ごろに実ができる。シカはこの新芽と収穫前の実を狙って食べに来る。ほ場に取り付けたカメラの映像には、夜間に畑を荒らすシカが映っていた。
 被害が目立つようになったのは10年ほど前から。ほ場の周辺にはワイヤから電気が流れる柵を設置し、シカが嫌う赤色のテープを張るといった対策に取り組んできた。ただ、シカが電気に慣れたり、ワイヤの隙間を探して入ってきたりして被害は大きくなってきた。
 山崎さんは「定期的に点検してもシカは毎日やって来るし、対策が追いつかない」と頭を悩ませる。甲津原での原種の収穫量は例年1俵ほどあるが、2023年度は獣害に天候の影響も重なって0・3俵まで落ち込んだ。
 23年度には隙間から入られないよう、高さ2mの金属の網目状の柵を600mにわたって囲うと、効果が見込めると判明。そこで、今年は種まきの前に、残りの計1.9kmもこの柵で囲うことにした。費用は500万円以上かかる見込みで、生産組合の負担額も200万円以上になる。
 
 山崎さんは「昔から在来種で伝わってきた伊吹そばを後世に伝えていきたい」と話す。柵の導入費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている目標金額は50万円で、期間は6月21日まで
 
<記事・写真: 中日新聞より>

伊吹そば                                             伊吹山で修行する僧らによって、平安時代後期から鎌倉時代にかけて栽培が始まったとされる在来種。実が直径4.5mm以下と小粒で、製粉すると淡い緑になり、香りや甘みが強いのが特徴。1995年から滋賀県と地域の生産者が協力し、種子増殖の取り組みを始めた。2019年に、滋賀県内では近江牛に次いで2番目に国の地理的表示(GI)保護制度に登録された。

伊吹そばの公式HP
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