のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

神保哲生氏 / 「カギのかかった箱の中のカギ」

2012年10月29日 02時20分09秒 | Weblog
東京電力一社だけで

年間260億円、

電事連加盟10社で合わせて1000億円が

広告宣伝費として使われてきました。

そのすべてを一般消費者が電気料金として負担していたのです。

それを支えてシステムが

御用学者を飼い慣らすための

大学への寄付金まで

電気料金として徴収することが認められていた

総括原価方式と呼ばれる料金方式です。

気付かなかった国民が悪いのか、

気付かせなかった

マスメディアにすべての責任があるのでしょうか。

博報堂に17年間勤務した経験を持つ本間龍氏は

特に業界最大手の電通が

クライアント(広告主)の意向を体現するために

いかにメディアに圧力をかけていくかを、実例をあげながら具体的に証言しています。


[実例]

(1)諸外国では、通常、

利害衝突や情報漏れを避けるために、

一業種一社ルール

(広告代理店は、一つの業界で1社しか代理できない)

が徹底されています。

その制度があれば、

他に代わりのスポンサーを見つけてくることが容易になります。

メディア側も

「報道内容に注文をつけるならスポンサーを降りて貰って結構だ」

と圧力を突っぱねることができます。

日本では

そのルールが成り立っていず、

電通といった

巨大化した広告代理店は、

言うなれば、ガリバー状態。

“広告”を

国民洗脳装置として

機能させるため、

窓口を一本化した結果でしょうか。

その役目を

電通(5割)や博報堂(2割)が担っているというわけです。

(2)報道機関の中の報道部門と営業部門は、

ズブズブの関係にあるらしいです。

スポンサーが

メディアに介入するためには

事前に報道内容を知る必要があります。

本来、報道前に

報道内容を営業部門が知っていることはあってはならないのです。

また、もし事前に報道内容を知らされているのであれば、

営業部門は、

それが報道されるまでは守秘義務に縛られているはずです。

これは、

インサイダー取引にもつながる重要な問題です。

諸外国では許されないことです。

しかし、日本でこの倫理を

守ろうとするジャーナリストは、

かつて、いなかった…みたいですな。

報道前情報は、

日本では代理店やスポンサーに筒抜けなのが常態でした。

そうなると、

倫理も糞もあったものじゃないです。

報道機関において、

社会的な責務だのを考えることがありませんでした。

(3)メディア問題特有として

「カギのかかった箱の中のカギ」※

問題が顔を覗かせることは、

ほとんどありません。

そもそもそのような問題があることすら

知らされていないから、

政治家や官僚も

世論の後押しを受け、

制度変更を主張することがないということです。

世論の理解ないところで、

あえて電通やメディアを敵に回すような発言をする

政治家や官僚、言論人がほとんどいないわけです。

理由は、今更説明の必要もないでしょう。

()記者クラブ問題――日本特有の排他的な

大手メディアの情報談合機関。

役所情報を独占的に入手すると同時に、

それを無批判に垂れ流す役割を果たしていることや

()クロスオーナシップ問題――正力松太郎という、

アメリカCIAのスパイとされている人物が

読売新聞社主として、

自由民主党政権と近く、多くのテレビ局が新聞社の子会社として設立される方式を確立した制度)、

()再版問題――面白い本なら、

ある程度の量を買い取ってでも販売したいという、

意欲ある書店がなかなか生まれず、

結果として、どこの書店も似たり寄ったり….という問題

などと根っこは同じです。

実際、共産党議員などによって、

独禁法との絡みで

電通の一極集中問題が国会で取り上げられたことはありましたが、

いつの間にか立ち消えになっています。

ここまで来ると、

救いがないメディアの腐敗ぶりが

垣間見えますが、

ここへきて状況が変わり出したようです。

最後に、

その点に触れます。

[結語]

このような「終わっている」状況に

変化をもたらしているのは、

インターネットの普及です。

新聞、テレビ対する

抜群の支配力を誇っていた

電通の力が相対的に落ちてきていると

本間氏は指摘されます。

“利権くれくれ勢力”が

不正な介入と嘘により

事実を捻じ曲げようとしても、

かえって逆効果になるような事態も頻繁に起きています。

ツイッタ―や

ブログ、

フェイスブックなど、

たくさんなネット情報によって

本当のことが暴露されてしまうからです。

そもそも戦前から活字媒体に強みをもっていた

博報堂は、

テレビ時代に乗り遅れて、

その波に乗った電通の後塵を拝することとなったそうです。

テレビ時代の支配者電通の権勢は、

ネットを通して立ち現れる

多くの無名の情報強者達を前にして、

今や風前の灯…(とは書いてなかったですが)、

どう変わっていくのか、

自ら博報堂の営業マンとして

スポンサーの「代理」をしてきた本間氏と、

スポンサー圧力によって

報道が歪められる舞台裏をジャーナリストの神保哲生氏と

社会学者の宮台真司氏が議論したようです

(神保哲生氏・文「 電通支配はこうして原発報道を歪めてきた 」/リンク)。


※「カギのかかった箱の中のカギ」:

 この用語は、ウィキリークスの情報流出に関連して使われるようになったみたいです。

 たとえば、ウィキリークスが流出させた情報によって、アメリカ政府が数々の外交問題について、自国民にさえ嘘の説明を行ってきたことが白日の下に晒されました。「箱の中のカギ」は、このような、一旦、暴露されるや国益を損ねるどころか、むしろ政府がいかに国益を損ねる外交を行ってきたかが明らかになるような政府の機密事項をさします。

 しかし、どれがその機密事項に当たるかは不明です。国民に判断のしようがないのですな、秘密だから。その分かりにくさを「カギのかかった」と評したものでしょう。(神保哲生・文「マル激トーク」参照/リンク)。






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