月刊 よもやまツレヅレ・・・

管理栄養士・調理師・野菜ソムリエetc.
転勤族の主婦が食と予防栄養のプロに
転身するまでの奮闘記あれこれ…。

上手にお稽古・・・

2008年05月11日 | ♪学生生活&お食事'07

連休が明け、
東京は暖かい日が多くなりました。

学校では新学期の諸々にもだいぶ慣れ、
そして、ベジフルビューティー講座も、
基礎コースの試験が先月の下旬に終了…。

ようやくひと息ついて、
周りが見渡せるゆとりを取り戻してきました

忙しくなるとわかりきっていても、昔から、
自分自身をなにかと追い込んで楽しむ性分。

少し前に、ある友人が自身のブログで、
内面的な不器用さについて記していたのが印象に残り、
私は、懸命さと引き換えに不器用の露呈をいとわず、
我がままできた自分の生き方を回顧して、図らずも苦笑い。

思えば、
いまだ若輩の立場で外聞をはばかるまでもないと、
なかば開きなおりの境地で、現在に至っています。

    

ところで、
「器用」とか「不器用」とか…、あくまでも手先のことに限れば、
私の属性は、どちらかといえば前者かも知れません。

幼少からおよそ20年間、弦楽器を習い続けていたせいで、
全身の運動神経が両腕へ集中してしまったようにも感じます。

かつて弦と弓を握っていた両手は、
大人になり、PCのキーボードとマウスに持ち替え、
そして今は包丁と鍋を握る手にも…。

いずれも感覚や感性だけでなく、
技術力においても秀でなければ抜きんでない世界。

独自の基礎練習を続けていくうち、頭で考えるよりも先に、
手指が勝手に動くようになっていく自分なりの習慣。

経験豊富な同級生たちのなかを最後尾でのスタートを切り、
人の背中を追いながらも、滑走を続けていられるのは、
ひとえにそのおかげでしょうか。

突拍子も当てもなく歩んできたのは、
じつははひと筋の、同じ道だったのだろうかと。

そんな折に…。

『手先が器用な人は、
上達するのは人よりも早いけれど、
あまり練習しなくなってしまうんですよね。

不器用な人は、ひたすら練習しますよね。

だから卒業する頃には、
不器用な人のほうが上手くなれるんです。

でも、もしも器用な人が常に努力を続けていれば、
それはもう、最強ですよね…』

丸顔な私のショートカットをいつも担当してくれる、
美容師さんから言われた、ふとしたひと言。

お店ではもうお姉さん的存在のベテラン。

可愛らしい小柄な体で、私の頭周りを行き来しつつ、
美容師学校と調理師学校との共通項も見いだして、
たがいに思い出や苦労話を語り合えるひととき。

私からみれば、技術系学校出身の大先輩。

学校生活を思い出しながらの、その何気ない台詞が、
明るい美容室の情景とともに脳裏に焼きついて、
いつも鮮やかに蘇ります。

気まぐれにも、調理の分野で、
ピラミッドの最下段をよじ登り始めた一匹の蟻は、
いまはただ無心に登る術を学んでいるのかも知れません。

進路の如何にかかわらず、卒業後は、
さらに険しくなるはずの長きを想いながら…。

それは、
なにごとも「継続は力なり」を信じて進む道程です。

    

今月は春のフレンチをいくつか…。

①以前からお野菜のコースが気になっていた、
駒澤の『ラ・ターブル・ド・コンマ』

http://www.comma.co.jp/
http://www.zooom.jp/90001871/
※東急田園都市線駒澤大学駅下車、徒歩5分

国道246号線沿いに凛と建つ、ビルの1階。

テーブルに通されると、広々とした庭園に面して、
喧騒とは無縁の優美な空間が感じられます。

魚料理のついた野菜コースをいただきました。

(メニュー)
 ・二種のチーズをのせたサクサクのパイ
 ・フレッシュトマトとサワークリームのサラダ
 ・アンチョビを練りこんだクロワッサン
 ・空豆づくしのひと皿(タルト、ポタージュ、蛙もも肉のグリルと)
 ・白アスパラ、ほっき貝、芝海老の煮込み仕立て(蛤と穴子のスープ)
 ・尾長鯛のポワレ 山菜のフライ添え(しどけ、ぼん菜、たらの芽など)
 ・数種の野菜の蒸し煮(人参、大根、セロリ、グリーンピースなど)
 ・胡麻づくしのデザート(アイス、ブランマンジェ、シュークリーム)
 ・コーヒーに野菜のチョコレートを添えて
 (7000円也、税・サ別、ワイン別途)

白ワインは野菜の煮込みにも合う、
仏ブルゴーニュの「サン ヴェラン」と。

ゆったりと運ばれてくる、それぞれのひと品に、
独立したストーリーが感じられ、飽きのないひととき。

空豆づくしも、煮込み料理も、
お野菜本来の味わいがひきたちます。

フライにされた、しどけやぼん菜の緑色が、
大皿にまるで絵画のように鮮やかに描きだされて、
とっても大胆で香ばしく、ポワレにもぴったり。

パンはライ麦や全粒粉を使った種類があり、
お料理のソースにも好く合います。

この日「ラ・ターブル・ド・コンマ」が、
何度でも行きたいお店として強烈な印象を残したのは、
じつは帰りがけのできごと。

不覚にも、
夫婦揃って傘を置き忘れたまま店を出てしまい、
最寄りの改札へ向けて歩いていたところ、
後ろからバタバタと走ってくる音が…。

なんとお店のギャルソンが、忘れた傘を持って、
駅の地下道まで走って来てくれたのです。

店内では、メニューの読み上げにも緊張し、
声がやや震え気味だった、若手のギャルソン。

でも彼の背後には、お店がお客様に伝えようとする、
どこまでも誠実なサービス精神がしっかりと垣間みえて、
心から嬉しい気持ちになりました











 

②そしておよそ一年ぶりに『ポール・ボキューズ』へ。
今回は、主人と銀座マロニエゲートにて。
http://www.hiramatsu.co.jp/restaurants/paulbocuse-ginza/
http://r.gnavi.co.jp/p365303/

昨春に国立新美術館で味わった、
グリーンピースのスープとガンバス海老のお料理が気に入って、
コースは結局、よく似たチョイスになってしまいます。

(メニュー)
 ・グリーンピースのスープ
 ・ガンバス海老のポワレ リゾットと共に
 ・仔羊のナヴァラン 春野菜と共に
 ・ムッシュ ポール・ボキューズのクレーム・ブリュレ
 ・コーヒー
 ※プリフィクスランチコース:
  (基本3780円也税サ込、ドリンク別、上記は4880円也)

(参考)前回の訪問はコチラ

前回はいただかなかった肉料理は、やわらかな仔羊で。
コクのあるトマトソースの旨みが印象的で、
お肉やお野菜ともとても好く合いました。

スープもリゾットも、しっかりとして大好きな味わい。

六本木の店舗では、
美術館の最上階に客席だけが設けられた空間で、
厨房の様子は、ほとんどうかがい知れず。

今回のマロニエゲートでは、
厨房スペースが客席から通路を挟んで面しているので、
調理人達がスタイリッシュに働く姿がよく見えます。

男性陣に混じり女性も数人の構成で、
みんな、むだのない目まぐるしいスピード感が、
とにかくうっとりするほど格好良い…

ポール・ボキューズ氏の日本展開はすでに4軒。
(店舗…六本木、代官山、銀座、丸の内)

昨年の初上陸からは、とても足早な印象ですが、
たとえどこへ出かけても、
今後も、変わらない美味しさが味わえるといいですね。







 

③あともう一軒は、荻窪の『アングレーズ』。
http://www016.upp.so-net.ne.jp/anglaise/

こちらの本業は、じつはケーキ屋さん。

これまで数々のお店を務めてこられた、
ベテランのシェフパティシエによる、
心温まるお料理と、幸せいっぱいのスイーツ。

(メニュー)
 ・カブのスープ
 ・野菜とベシャメルソース クレープ包み焼き
 ・野菜のタルト(茄子・トマト・パプリカ)
 ・デザートのプレート
 (コース3500円也、税サ込、ドリンク別途)
  ※夜のコース営業日:要問合せ。ランチ:毎日営業。

予約して訪れたお客様のためだけに、
愛情をこめて作られるメニューの品々は、
どれもほんとうに大満足の味わい。

シェフのおすすめで、
スペインはカスティーリャ地方の赤ワインと。
フルーティな口あたりが印象的。

アルコールを飲まない同行の友人には、
同じワインを煮上げてハチミツを加え、
カクテル風にした、シェフ特製の思いやりの一杯…。

ジャガイモやしめじを美味しく包んだクレープ生地には、
ソースのコクにも好く合うそば粉が使われて。

クレープやタルト、パイなどは、
パティシエならではのメニューですね。

全粒粉のパンも、とっても優しい焼き上がりです。

デザートの美味しさはいうもでもなく、
今回は、グレープフルーツの緑茶とともに。
こちらも香りがよくて、ほっとできるひと口。

シェフパティシエという複合技だからこそ、
お食事もデザートも心から楽しめるお店です。

アングレーズとの出会いのきっかけは、
お野菜つながりでなにかとお世話になっている、
素敵な友人が、こちらのケーキ教室を紹介してくれたこと。

学校の製菓授業で悪戦苦闘し、自信喪失していた私を、
シェフは温かく出迎えて励ましてくださいました。

お菓子作りの楽しさや小麦粉類を扱うことの面白さが、
教えていただくにつけ、次第に感じられるように…

今の自分に課せられた枠の外にも目を向ければ、
視野も可能性も広げられることを、身をもって理解できて、
シェフの梅原先生にも、友人にも心から感謝しています。









    

さて、最近は和洋を問わず、
魚介のイカを捌く機会が増えたので、
肝(ワタ)を使ったお料理をあれこれと考え中。

薄皮を除いたワタをオリーブオイルで軽く炒め、
ブイヨンと牛乳、白ワインを加えて煮立てたら、
ミキサーで攪拌し、鍋に戻しいれます。

生クリームと塩、コショウで味をととのえれば、
イカ肝のポタージュに。


あるいは、鍋に戻しいれた肝のベースを、
カレー粉、ターメリック、塩、コショウを加えて煮詰め、
ラタトゥイユ風の炒め煮野菜へ添える魚介ソースにも。


さらにソースをマヨネーズで和えたり、アレンジはいろいろ。

魚介の肝はお野菜にも合って、
いつでもお酒がすすむ味わいですね。
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4 コメント

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いつもありがとう (たなか)
2008-05-13 12:53:00
いつ更新したかがわからず、ご無沙汰しちゃいました。。
気づいたら「私」のことが沢山書いてあり、照れちゃうわ。

私は「不器用」好きですね~。特に男子の不器用(手先でなく性格の)は好きです。うふふ。

アングレースは、メニューさながら、私は「場所」に惚れています。深い話をするわけでもなく、すごい気合を入れるわけでなく(気合を入れると逆に浮きますが。。)、ただいるだけで和む感じ!?
よい場所に出会えましたね。

ではでは、またね。
返信する
たなか さま (nozonozogoo)
2008-05-13 23:55:43
こちらこそ、
いつもコメントをありがとです
今月はいろいろと、
書かせてもらいました~

『男子の不器用が好き』って、なんだか、
想像の膨らむ響きだわ
なんとなく愛おしい感じ…でしょうか?
無骨でも一生懸命な男性は、私も大好きです
趣旨に合うかわかりませんけれど…。
返信する
わかるわかるわかる~ (o_ka_chang)
2008-05-14 17:25:36
ども。おかちゃんです。

器用さにかまけて努力を怠っているワタシには耳のイタイ言葉でした
そして世話焼きでもあるので、不器用男子大歓迎です…が、限度にもよるかも

ちびっこたちの離乳食が始まり、ちまちまイロイロとやっているけど、やっぱり気合いとココロを込めて作ると、パクパク食べてくれます。
反対にまぁこんなモンか的態度で作ると、べーっと出されたり
料理はココロだ、と今更ながら1歳児に教えられる日々です。

nozonozoさん、いつも元気に頑張っててすごいなぁ☆
応援してます ではまた 
返信する
おかちゃ~んッ♪ (nozonozogoo)
2008-05-15 00:15:59
ども。いつも応援してくれてすごく嬉しい
美人ママで才傑のおかちゃんは、
ひとの見ていないところで超・努力家…でしょ

『料理はココロだ』…って、
今の私には、ずっしりとくるコトバだわ。
おかちゃんにとっては、毎日が食育だものね。
ちびたん達から教えられること、それはきっと、
今後の私にとっても貴重な原石。
これからもよろしく&こちらこそ、応援してま~す
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