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月刊 よもやまツレヅレ・・・

管理栄養士・調理師・野菜ソムリエetc.
転勤族の主婦が食と予防栄養のプロに
転身するまでの奮闘記あれこれ…。

なりがととのう・・・

2009年10月13日 | ♪東京を出る前&お食事'09

東京もすっかり秋めいてきました
私も、名古屋での新居と転居日がようやく決まりました。

まずはお知らせから…。

【お知らせ】
「よもやまツレヅレ」をいつもご覧くださり、ありがとうございます
おかげさまで五年目を迎えました。

名古屋では、次回より名称を少しだけ変えて、
『月刊 よもやまツレヅレ』として再出発します。
(※URLの変更はありません)

また美味しいお料理をいただいたお店への感謝も込めて
『別冊 よもやまツレヅレ』に、グルメ情報を抜粋転載しています。
(※都合で「別冊版」だけに掲載する場合もあります)

「月刊 よもやまツレヅレ」:
 http://blog.goo.ne.jp/nozonozogoo/             
「別冊 よもやまツレヅレ」:
 http://blog.goo.ne.jp/nozonozogoo2/

今後もどうぞよろしくお願いします

    

さて、ここ1ヶ月近くの間はとにかく、
さまざまな都合や事情が重なって、なにかと慌しかったこと

お部屋探しのことも、希望に沿う物件がなかなか見つからず、
このまま先のことがなにも決まらないのではと不安にかられた時期も。

でも時期が迫れば、なんとなく流れに乗り、
タイミングを得て「ここ!」と思える場所に落ち着くんですね。

やはりなにごとも、出会いのご縁に助けられて、
うまく運ぶしくみになっているものなのでしょうか。

東京をでるでる…いいながら、たっぷり半年以上踏ん張った甲斐もあり。

転居の目処がたって、先の見えないモヤから解放され、
気持ちも前向きに感じられるようになりました。

同時に、名古屋での過ごし方も、
あらたに始めてみたいあんなことやこんなこと。

いろんな意欲が湧いてきて…それはまたおいおいに

    

東京を離れる目前のイベントとして、
先日は、銀座の『すきや橋次郎』にてお鮨のランチ

銀座は数奇屋橋交差点の不二家の角あたり、
ビルの地階にひっそりと、三ツ星常連の老舗は佇んでいます。


店構えは看板と暖簾だけ

今回は友人とふたり、静かにカウンターでいただくひととき。

いつも、ひとつひとつが感動の、
まるでコース料理のひと皿ずつにも感じられるひと口です。

こちらのお店でいただけば、どんな魚介も超・逸品へと変身を遂げて、
カウンターの中で繰り広げられる鮮やかな握り姿とともに、
目にも舌にも驚きの連続が楽しめる、ショーのような小1時間

ネタはそれぞれがもっとも美味しい瞬間にいただけるよう、
仕込み始めのタイミングから仕込みかた、温度管理にいたるまで、
すべて魚介ごとにわけて、手間をかけながら行っていらっしゃいます。

ご飯のシャリや海苔、ガリ、お茶…そうした鮨の名脇役もすべてが美味しい

雲丹やいくらの軍艦などは、
海苔がまるで、フレンチでいえばメイン料理のソースのような存在に。

「次郎」さんでは、お箸を使わずに手でそっとつまみあげ、
醤油もつけずに握りたてをひと口でいただくのが流儀ですが、
思いやりで添えられるお箸も醤油も、それはきちんとしたもの。

細部にいたるまでが一流の仕立てで、
私のような若輩のお客は、そこで一流の食べ方も学べるわけです。

このたびは秋を迎え、
お店でもあまり遭遇の機会がないといわれる「いわし」にも、
運よく出会うことができました。

青魚ならではの大人びた苦味が、また美味しい

当日のコースのなかでも、もっとも口どけが素早く、
逃げるように溶けてなくなる「いわし」を口中で追いながら、
いつまでもいつまでも、大切に味わいました。

(この日のお品書き)
 かれい
 すみいか
 いなだ
 あかみ
 ちゅうとろ
 おおとろ
 こはだ
 むしあわび
 あじ
 くるまえび
 かつお
 しゃこ
 いわし
 あかがい
 ひも
 うに
 こばしら
 いくら
 あなご
 かんぴょう
 おぼろ
 たまご
(おまかせ約20貫 3万1500円也)
※都合で写真は掲載しません。
※内容は季節やご訪問日によって変わります。

 

「次郎」さんには、
昨年の夏頃に初めて暖簾をくぐって以来、かれこれ五度目ほど。

まだまだ一見さんほどのお客でしかありませんが、
日本が世界に誇る鮨職人、小野二郎さんに握っていただき、
毎回をとっても幸せに感じてきました。

 

ご縁の発端は、調理師学校時代にお世話になった、
料理評論家の山本益博(ヤマモトマスヒロ)氏です。

学校でのご講義や、数々の著書をはじめ、
お店へご一緒させていただきながらのご解説を通じて、
「次郎」さんのこと、『食べること』との向き合いかたや作法など、
丁寧にわかりやすくそして楽しく教えてくださいました。

お鮨をいただきながらのライブ講義は、
緊迫感あるカウンターのなかと相まって白熱の空間に。

小野二郎さんの生きざまを知るにつけ、小柄でもすっとした立ち居で、
美しく頑丈な両手から生み出されるお鮨がさらに尊く感じられます。

あまりの美味しさに感動して涙がでそうになったことも。

あんなにも高揚してワクワクとした気持ちで、
食事のひとときを楽しめるなんて…。

 

「(東京へ帰ってきたら)またいらしてくださいね

この日も、
小野二郎さんとご長男の禎一さん、お店の方々のお見送りを背に、
心から麗らかな出立のときを感じていました。

    

では、次回は名古屋からまた
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肝要を包む・・・

2009年09月10日 | ♪東京を出る前&お食事'09

暑い夏が終わり、我が家のお引越しは来月に。

準備のあれこれに着手しつつ、
別れが名残惜しい友人たちとのひとときなども、
楽しみながら過ごしています。

国内のそれも新幹線でたかだか1時間半ほどの距離を、
「別れ」とは呼ばないのかもしれませんが…。

いくら親しくて、同じ東京にいても、
なかなか会える機会をもてないのが大人の実情です。

なかには数年ぶり、あるいは10年ぶり以上の再会もあり、
それでも会えば「いつもどおり」の楽しいお喋りに

ときには友人を介して、
名古屋近隣のご出身の方々ともお会いする機会に恵まれて、
郷土のお話しもいろいろとおうかがいできました。

みなさんからのお心遣いが、とても嬉しく感じられます

 

…転勤が決まったこの春先

――― 最初の半年はひとりで名古屋へいくから、
 あとはゆっくりと引越しの準備をすればいい…。

主人のひと言は、面倒を先延ばしにする思惑に加えて、
私が少しでも明るい気持ちで移転できればとの、
じつは粋なはからいのあらわれだったと、いまは感謝の思いです

    

夫婦二人分の荷造りもコツコツとはじめました。

大型のキッチンボードを買い換えるため、
スケジュールの都合で、早々に既存のものを処分。

使用頻度が低いものも箱詰めしてしまい、
キッチンにはガランとした空間ができています

食材や器具の置き場所が手狭になり、
限られた環境のなかで食事を作る、この最近。

当然ながらなにかと不便を生じるので
ともすれば、なんとなく簡単なもので済ませてしまおうか、
などとひとり考えを巡らせながら、今さら気づく大切なこと。

キッチンというのは、健康的な食生活のためにも、
使い勝手の良い環境にととのえる必要性が高いんですね

 

そういえば、独身時代に使っていたマンションでは、
単身用のキッチンをまったく使いこなせなかったのを思い出します。

ひと口コンロとシンクだけの調理台は、切り物をする場所がなく、
材料を用意するにも鍋を加熱するにも必要以上の時間がかかり、
お料理することは、次第に繁忙の日々から遠ざかっていきました。

いま考えれば、
インスタントやレトルトの食品、テイクアウト弁当などは、
野菜を加えて過熱したり、サラダやお浸しぐらいは手作りする。

丸かじりできる野菜や、食べやすい果物を必ず添えて、
ヨーグルトや納豆などの発酵食品、乳製品類も日課にする…。

限られた環境でも、
そうした小さな工夫や心がけがあればよかった、日々のあれこれ。

日本の単身住居の構造は、
まるで飾りもののようにキッチン空間の優先順位が低く、
働き盛りでひとり暮らしの方々は、健康管理が大変かも知れません

ひょんなことで、家族向けキッチンのありがたさと同時に、
社会人全体が抱える難しい課題にも気づかされています。

 

社会人の食生活といえば、
これも荷造りのさなかに初めて掘り出したもの。

それはいまは亡き親族が、40年以上も前に著したある専門書に、
生活習慣病(当時「慢性病」)の食事療法を記述していたこと。

当時は、日本人の食生活が脂肪偏重型へ傾く以前なので、
脂肪過多食品の制限はあまり前提にされていないものの、
そのほかの大部分は、現代人にも適用できる内容に。

療法の内容に加え工夫や指導の方法、運動も含めて、
食生活の改善に、あきらめずに取り組んでもらうための、
メンタル面の支援についても丁寧に書かれています。

それらはむしろ、健康な人が病気にかからないよう、
日々心がけるべき生活習慣の指針にもなり得ること。

そうしたことが広く必要とされる時代の到来を、
おそらく予見していたのでしょうか。

遅すぎた出会いかもしれませんが、その遺志はあらためて、
私の名古屋行きへ加える大切な荷物のひとつです。


    

今月はたまたま、
3000円前後でいただけるランチが何軒か続きました。

いずれも私にとっては思い入れのあるお店ばかり、
お手頃なのに、お店のこだわりがぎっしりと詰まったコース。

名づけて、『シェフが本気の「アラサーランチ」』

この価格帯はメジャーかもしれませんが、
お店のファンになるきっかけとしてもポイントが高いですね。

 

①フレンチ『シェ・トモ』(広尾)

http://www.chez-tomo.com/

地下鉄の広尾駅から、慶応義塾の幼稚舎を通り過ごし、
角を曲がってほどなくの場所にあらわれる白壁のレストラン。

門構えの向こうには、素敵なお庭に面したガラス張りのフロア。

以前から気になって焦がれていたランチですが、
友人に連れられて、ようやくおじゃまできました。

(メニュー)
・スイカとトマトのジュース(OP)
・生ウニの貴婦人風(OP)
・ブーダンノワールのキューブ仕立て
  リンゴのコンポートとドライリンゴ添え
・山形県産無農薬野菜約30種の盛りあわせ
・鴨のモモ肉とフォワグラのバロディーヌ
  ムネ肉の燻製グリエ レバーのガトー仕立て
・チョコレートのアイスとムースのひと皿
・コーヒー、パン
(ランチの基本コース2890円也、税・サ・ドリンク・追加OP料別)







基本のメニューだけでもじゅうぶんな内容で、
こちらも王道のアラサーランチ。

それでもドリンクと前菜を追加して、
ちょうど5000円ほどでいただけるのはかなりお手頃。

スイカとトマトのジュースは、
真夏には相応しく、甘み豊かで爽やかなのが印象的。

絶妙のバランスでとまらない美味しさでした

生ウニはスクランブルエッグが入って、
コクのある濃厚なポタージュ仕立て。

ブーダンノワールは通常は腸詰に作られますが、
こちらはキューブ状になっていて、
大人のほろ苦さと爽やかなリンゴが好く合います。

こちらのランチコースの目玉は、
なんといってもお野菜の盛り合わせでしょうか。

ひとつひとつに異なる調理法と味付けが施されて、
どれもとっても愛おしくいただけるひと口。

お野菜をこんなにも大切に味わうひとときなんて…

聞けば、これらの仕込みには相当の時間を要しており、
格別の美味しさはやはりご苦労の賜物なんですね。

お肉料理も香りと口当たり、味わいが楽しめて、
肉質はいずれもジューシーで上品です。

高級感あるチョコレートのデザートも大満足。

おうかがいしたのはお盆時期にもかかわらず、
女性客を中心に満席で賑やか、人気の根強さがわかります。

 

②フレンチ『レストラン オゥ レギューム』(赤坂)

http://www.legumes2003.com/
http://r.gnavi.co.jp/g972900/

赤坂の二番口を出て、
国際新赤坂ビル横の細道を歩いて裏手へ出たところ。

初めてならうっかりと見逃してしまいそうな、
さりげない佇まいのお店です。

お野菜のことがご縁でだいぶ前に数回ほど、
ランチやディナーをいただいたり、料理教室に参加したりと、
お世話になったお店。

東京を離れる前にぜひもう一度、と数年ぶりお伺いしました

五十嵐シェフの、大胆な食材使いと美しい盛りつけは、
いつおじゃましてもとっても素敵。

お野菜はじめ穀類や肉魚の買い付けにもこだわりが満載です。

(メニュー)
・アジと桃のサラダ仕立て
・イサキのグリエ 野菜や豆類のスープ
・赤ワインと八角のグラニテ
・越の黄金豚のローストとパテ 季節野菜のグリル
・デザートのお皿 トマトとずいきのコンフィ
   南瓜のパウンドケーキ チーズアイス添えなど
・パン、ルイボスティー
 (お昼のシェフのおまかせコース3200円也 全込)





 
マリネされた旬のアジと桃、そしてトマトやキュウリなど、
ボリュームたっぷりに盛りつけられたひと皿。

ワイルドなのに美しくて、すべての食材がぴったりと合います。
青トマトのピクルスが添えられて、大人味の前菜に…。

イサキもとても香り高く、繊細な野菜のスープが引き立て役に。
新潟から採れたての枝豆も使われていました。

輪切りにした馬鈴薯の香ばしいフライも添えられて、
お店の名のとおり、本当にお野菜がたっぷり。

(※オゥ レギューム=(仏)「野菜とともに」の意)

お口直しはちょっとアジアンテイスト、
八角は意外なとりあわせですが、品好くいただけます。

黄金豚は新潟のもち豚、甘みがあってジューシー、
以前もこちらでいただいたことがあり、懐かしい味。

まるでハンバーガーのように積みあげられた、
大ぶりのお肉と野菜の盛りつけには、ワクワクしますね

オイルでやわらかく煮たニンニクや谷中生姜が添えられて、
これらをお肉につけていただくのも美味しい食べかた。

デザート皿は、お野菜のコンフィがとっても美味しい。

ひさびさの訪問でしたが、シェフもマダムもお変わりなく、
嬉しい時間を過ごさせていただきました。

 

③フレンチ『ルグドゥノム ブション リヨネ』(神楽坂)

http://www.lyondelyon.com/
http://g.pia.co.jp/shop/89543

今回はランチで、二度目のご訪問。

シェフのクリストフ ポコ氏もお元気そうで、
優しく満面の笑顔で出迎えてくださいました。

(メニュー)
・前菜の盛りあわせ ブションリヨネ風
・リヨン風クネル ナンチュアソース
・バターライス
・レグリース風味のマカロン コーヒーのアイスクリーム
・白ワイン、パン
・コーヒー(OP)
(ランチコース2850円也 税・サ込、OP料別)






前菜のリエットやパテなど豚肉料理の盛りあわせは、
それぞれの味が楽しめて、ランチワインもすすみます。

クネルには、北海道産のザリガニが丸ごと使われて、
甲殻類ならではの旨みがぎっしりと味わえます。

バターライスが同時に運ばれてくるので、
リゾット感覚でも楽しめるひと皿に。

デザートのマカロンは竹墨の黒色。
アイスのクリーミィなコーヒー味も美味しい。

こちらのお店は、店内の雰囲気がとっても素敵です。

お料理もサービスも…。

シェフが『食の都』リヨンのご出身だからこそ、
自然体でも醸しだせるムードがあるんですね。

転居することをお伝えしたら、驚きながらも、
あえて「マタ来テクダサイネ~」と見送ってくださった、
優しいシェフのお顔がいつまでも心に残ります。

 

④イタリアン『VINO HIRATA(ヴィノ ヒラタ)』(麻布十番)

参考サイト:
http://jin3.jp/kameiten2-2/vino-hirata.htm
http://rp.gnavi.co.jp/ns/5237190/

地下鉄の駅から「パティオ十番」の通りを抜けて、
左へ少し歩いた小さなビルの2階。

3階には系列店の『クッチーナ ヒラタ』が構えており、
いずれも夜は上品な正統派イタリアン。

両店の美味しさをお手頃にいただけるのが、
数ヶ月前から始まった「ヴィノ ヒラタ」のランチタイム。

テーブル席もカウンターも日当たりよくて、居心地のよい空間

(メニュー)
・トウモロコシの冷製スープ
・サーモンのクリームパスタ
・ミラネーゼカツレツのプレート
・凍らせたプリンとピスタチオのアイス
・二種のパン
・コーヒー、プティフール
(ランチコース3000円也、デザート料別)





コースは三種類のプレフィクスで、
前菜、パスタ、メインの王道コースなら3000円ちょうど。

ワンコインだけプラスすればデザートも。

ランチでも、
夜のお料理に共通するメニューが選べます。

冷たいスープやデザートは、暑い季節の思いやり。

パスタもランチにちょうどよい分量で、
サーモンの優しい旨みがひきたちます。

カツレツのお肉はいずれも美味しくて、
とくに仔羊のやさしくジューシーな味わいが印象的。

できるだけ未熟なラムを使うお店のこだわりがわかる、
これは夜のお食事にも、ぜひ訪れてみたくなるひと皿でした。

デザートアイスはピスタチオのコクと香ばしさが生きた味。
ソルベ状のプリンも口あたりがおもしろく、新しいスイーツです。

イタリアンならではのパスタランチを、
よりお洒落に楽しくいただけるひとときです
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奮励の像を眺む・・・

2009年08月13日 | ♪東京を出る前&お食事'09

東京と名古屋はともに暑々の夏

主人が名古屋へ赴任してはや4ヶ月目、
単身でも立ち寄れる、美味しくて気がねのいらないレストランも、
見つけはじめた様子…。

名古屋の中心部は、夜になると人通りがめっきり少なくて、
お店の閉店時間も東京に比べればややお早め。

ただ眠らないのは、
「栄(さかえ)」の繁華街ぐらいでしょうか

「名古屋へ行く」といえば、たいていの東京人は、
ひつまぶしや味噌カツなどの独自路線を話題にされますが、
いわゆる汎用的なお店の存在は、あまり知られていません。

それでも探せばあるある…、
素敵なシェフや料理長に出会えるお店はきっとたくさん。

「阪急ムック」が出版する、年刊『大人の名古屋』には、
料亭やレストラン、バーなどが数多く掲載されていますが、
けして東京にひけることがないように感じます。

新幹線を途中下車してでも食べに行きたい

名古屋では、そんなお店との出会いを、
東京の方々にもお伝えしていけたらと思います。

    

ここ最近、
調理師学校時代の友人たちが頑張っているお店に、
いくつかおじゃまさせていただきました。

日本料理やフレンチ、イタリアン、スパニッシュなどの、
素敵なレストランやバル…。

どちらへ行っても、とっても美味しい

お料理人は、教育が厳しくて勤務時間も長いので、
最初はやはりどなたでも大変です。

それでもほんの数ヶ月に、少しずつ仕事を任されて活躍の場を拡げたり、
心地よい人間関係が築けてきた様子などが窺えると、
同窓仲間としてはとっても嬉しく、励みにもなります

その場所で長く続けていきたいと考える人もいれば、
自分に合う所を探し求めていく人も…料理の道は本当にいろいろ。

…そういえば、私はといえばいつまでも本当にマイペース

つい先日も、ある恩師から活ッを入れていただいたりして、
もっともっと頑張らなくては、という思いを強くしています。

    

夏野菜が美味しい今の季節

どれもとっても色鮮やかで、
暑さによる減退感を打ち克つ、開放的な味わいですね。

私は夏のトマトも大好きなお野菜のひとつ

ちなみにある番組で、新型インフルエンザの流行対策に、
野菜や魚介の缶詰など加工食品を備蓄するよういわれていましたが、
個人的に普段使いでも重宝しているのが、トマトのホール缶。

意外にも、成分表上での全体的な栄養価は、
ビタミン・ミネラルとも、生鮮のトマトとあまり変わりません。
(※食塩添加加工はナトリウムのみ増加)

缶詰に使用されるのは加熱用品種のトマトですが、
加工によってコクが増して、旨みも凝縮されています。

和洋を問わず、前菜からメインそしてデザートまで幅広く、
たとえ限られた状況のなかでもきっと、
美味しく健康に過ごせる工夫が満載のアイテムです。

 

ホールトマトで、夏のおうちごはんをいくつか…。

【ホールトマトのソースサラダ】

ワインビネガーを沸かして酸味を程よく飛ばしたら粗熱をとり、
ガーリックオイル、塩・黒胡椒、つぶしたホールトマトを加え、
味をととのえてサラダ用のソースに仕上げます。
豆腐とアボカドのサラダに添えました。

ガーリックオイル
 …低温のオリーブオイルでざく切りのニンニクをじっくり熱し、
  香りを移したら、オイルの粗熱をとっておきます。

【ホールトマトの和風冷製スープ】

ホールトマトに水を加えて攪拌し、他の野菜を加えて加熱し、
とろろ昆布と大葉、胡麻油を少量加えて味をととのえたら、
粗熱をとり冷蔵庫で冷やしてからいただきます。

【ホールトマトの玄米リゾット】

 ニンニクと玉ネギ、アンチョビ、バジルの葉、玄米を炒め、
つぶしたホールトマトとブイヨンを加えて煮込みます。
玄米に火が通ったら、塩とコショウで味をととのえ、
カレー粉、生クリーム、バター、パルメザンチーズで仕上げます。
(ブイヨン量や煮込み時間は玄米の様子をみて調整)
濃厚に仕上げて前菜や付け合わせに…。

 

デザートレシピ

【ホールトマトのアイスクリーム】
(材料)3~4人分
・ホールトマト…100g
・牛乳…50cc
・生クリーム…50cc
・グラニュー糖…20g
・メープルシロップ…小1
・ドライトマト…適宜
・トマト…適宜
(作り方)
1.ホールトマトをミキサーで攪拌し、ドライトマトはスライスする。
2.鍋に牛乳、生クリーム、トマト、グラニュー糖を温める。
3.メープルシロップ、ドライトマトを加え味をととのえる。
4.型に流し入れて冷凍庫で冷やし固める(途中でかき混ぜる)
5.ざく切りしたトマトを添えて盛りつける。
生鮮のトマトと一緒にいただくのがおすすめ。

【ホールトマトのパウンドケーキ】
(材料)20cm型1個分
・煮詰めたホールトマト…100g
・無塩バター…100g
・砂糖…100g
・卵(M玉)…2個(100g)
・小麦粉…120g
・ベーキングパウダー…小1
※ホールトマトは水分を飛ばしジャム状になるまで煮詰めます。
 煮詰めていくと、フツフツと熱いトマトが鍋から飛び散るので、
 ヤケドにはご注意が必要です
1.バターを常温にもどし、砂糖の1/3量を加えよく混ぜ合わせる。
2.卵黄を加え混ぜたら、煮詰めたホールトマトを混ぜ合わせる。
 ※分離しないよう材料を加えるごとにホイッパーでよく混ぜる
3.卵白をハンドミキサーでメレンゲ状に泡立て、
 途中で残りの砂糖を2回に分けて混ぜいれさらに艶よく泡立てる。
4.2を3に加えてさっくり混ぜたら、
 ふるった小麦粉とベーキングパウダーを加えて混ぜ合わせる。
 ※メレンゲの泡立ちがこわれないように行います
5.型に流し入れ170℃のオーブンで40~50分程度で焼き上げる。
 ※焦げ防止のため途中でアルミ箔をかぶせます
 ※1日おいてから切り分けていただきます
8/16にレシピを修正しました)

    

今月もホスピタリティ溢れる、
素敵なフレンチとイタリアンのお店…。

①フレンチ『ARGO(アルゴ)』(半蔵門)

http://www.tojo.co.jp/argo/index.php
http://r.gnavi.co.jp/b666900/

地下鉄の半蔵門駅からほど近く、
皇居の目前は、英国大使館の近隣に立地するビルの上階。

フロアの一方の窓際は、フランス料理などの蔵書が収められた、
重厚なライブラリで仕切られており、厨房に近い側がレストラン、
向こう側は日あたりの良いカフェスペースになっています。

店奥に広がるガラス張りの眼下には、
皇居を彩る、真夏の木々の緑色が鮮やかで、
きっとこれも四季折々に楽しめる景色。

フランスではトロワグロやピエール・ガニエールなど、
名だたるお店で経験を積まれたシェフの正統派フレンチ。

デザイン性の高い、カラフルなプレートの数々が現代的で、
目にも楽しいお料理のコースをいただきました。

(メニュー)
・食前のプティフール
 (竹墨のチップ、ケイジャンクッキー、ひと口カレーパンなど)
・アミューズのプレート
 (野菜などの豆腐、葱とエリンギのスープ、燻製魚介など)
・天使の海老のカダイフ巻きと旬野菜 レモンバームのソース
・長崎県産太刀魚の直火焼き サフランとイカ墨のソース
・熊本県産褐毛和牛フィレ肉のポワレと季節野菜 マデラ酒ソース
・デザートのプレート
 (ピラミッドのアイスケーキ、フルーツのアイスケーキなど)
・ハーブティ、プティフール
(お昼のARGOコース5500円也、OP追加料等別)









食前から、
南国フルーツのノンアルコールカクテルとともに。

食材の個性を存分に生かしたプティフールとアミューズは、
いずれも楽しくいただけます。

なんといっても、旬の太刀魚の香ばしい焼き味と、
ジューシーな口あたりがとっても美味しい。

和牛はほどよい歯ごたえで、
噛むほどに、濃厚な旨みがいつまでも楽しめます。

お野菜はどちらのお皿も、とても豊かな味わいに。

プレートの最後を飾るのは、艶やかなデザートの数々

ギザの三大ピラミッドとナイル川を模したひと皿は、
神秘的で格好良く、これはきっとどなたの心にも残るはず…。

各国大使館をはじめ、周辺企業のお客様方からも支持される、
大都会にありながら喧騒とは無縁のレストランで、
豊かなくつろぎのひとときを得られました。

 

②イタリアン『リストランテホンダ』(外苑前)

http://ristorantehonda.jp/index.html
http://allabout.co.jp/gourmet/eatoutshuto/closeup/CU20060815A/

ベルコモンズの角を曲がってほどなくのお店。
店構えはおどろくほどコンパクト、白を基調とした明るい店内です。

和のテイストが絶妙に見え隠れするコースをチョイスしました。

(メニュー)
・無花果とイタリア産生ハム
・アミューズの枝豆のムースと燻し鰹
・ホワイトアスパラガスと貝類のサラダ みょうがドレッシング
・イタリア産ウサギとオリーブのほうれん草フェットチーネ
・大分産の穴子と茄子とフォアグラのソテー バルサミコソース
・桃のラビオリ バニラジェラート添え
・パンと三種のフォカッチャ
・食後のコーヒー
(夜のプリフィクスコース7875円也、税込・OP追加料サ別)







イタリア産リースリングのあとソーヴィニヨンとともに。

食前にいただいた佐渡島産の無花果が、
とっても甘くて濃厚な味わいなのがとくに印象的でした。

ウサギのお肉は、鶏のささ身と思しき外観でも、
とっても香り高くてジューシー。存在感があります。

肉厚でワイルドな穴子も茄子とフォアグラに好くあって、
深みのある香ばしさが味わえます。

ピンク色に透き通るゼリー生地をラビオリに模した、
アイデアとデザイン性溢れるデザートひと皿も面白く。

洗練された都会的な空間で、
思いやりある家庭的なサービスをいただけるのがお店の魅力

座席数のわりに、サービスマンの人数が充実しており、
ほぼ満席のなかをとても快適に楽しませていただきました。
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融合して永らえる・・・

2009年07月15日 | ♪東京を出る前&お食事'09

東京は暑い毎日が続いています。

私が春から学んでいる漢方スクールのコースは、
中国人の女性漢方医が担当しています。

漢方学の基礎や食材の活かし方など、
予定の時間を過ぎても教えてくださる、とても熱心な授業

教室には、薬局や薬膳レストランなども併設されて、
トータルで漢方の世界を体感できます。

薬日本堂:http://www.nihondo.co.jp/

これまで、野菜ソムリエとしての健康論や、
調理師学校での栄養学や食品学で学んできた、
アルファベットや数値が主体の食生活のあれこれが、
まったく異なる側面から考えられる新鮮な場所。

思えば、
日本が明治以降に医療の中心を西洋医学へ転向するまで、
長らく日本人の健康は、東洋医学によって支えられていました。

治療を特定の部位に限定せず、個人の体質全体に目を向けること。
日頃の生活習慣を正常に維持することで病気を防ごうとすること。

けして懐古趣味の一端としてでなく、
現代人の健康管理に求められていることの答えが、
漢方分野には、たくさん凝縮されている気がします。

じっさいたまに単発の授業へ出ると、ご一緒のクラスには、
生活習慣病やストレス性疾患と向き合っている生徒さんもいて、
ひとりひとりの生の声を受け止めては返す先生方のご対応も、
そばで拝見できて、これも貴重な経験に。

体調不良によってメンタル面の均衡が崩れたり、
日々のストレスが体の症状に現れてしまうと、
病院の処方だけでは対応できないことも多いんですね

漢方学の知識や考え方は、
そんなときの手助けや解決のヒントとしても役立てることが、
少しずつわかり始めたところです。

 

いまどきならどこでもいわれることですが、
食事は少しずつでもバランスよく、毎日食べ続けることが大切。

そのほか適度な運動と休養も健康維持の基本です

 

先生が、私の色白で熱っぽい顔をじっと眺めては、
「あなたは気虚(キキョ)ですね」というので、
最近は『気』を補う食材に注目

なかでも、初心者でも手軽に使えるのが山芋類。
別名『山薬(サンヤク)』とも呼ばれ、補気食材の代表格

野菜ソムリエ的には、
消化酵素や食物繊維が豊富なので胃腸の働きを助け、
粘り成分のムチンが血糖値の上昇を抑えてくれるのも魅力。
酵素を活かしたい場合は、加熱しすぎないことがポイントです。

夏場なので、ひんやりといただけるデザートを考えました。
お気にいりで毎日の分を冷蔵庫に作りおきしています。

デザートレシピ
【山芋の薬膳ブランマンジェ】

(材料)3~4人分
・山芋…120g
・水…大2
・生クリーム…大2
・牛乳…200cc
・黒すり胡麻…10g
・グラニュー糖…30g
・板ゼラチン…3枚(4.5g)
・枸杞の実…適宜
 ※板ゼラチンは水(分量外)でふやかしておく
(作り方)
1.皮を剥いた山芋を適当に切り、水を加えミキサーで攪拌し、
 滑らかになったら生クリームを加えてさらに攪拌する。
2.牛乳、黒すり胡麻、グラニュー糖を火にかけて沸かし、
 ゼラチンを加えて充分に溶かしたら、粗熱を取りのぞく。
3.1と2を混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やし固める。
4.器に盛りつけて枸杞の実を飾る。

 

ほかにも中華風のお家ご飯をいくつか…。
常食するなら、手軽で安価に入手できる長芋でもOK

【長芋のしんじょ汁】

卸した長芋と鶏挽肉に塩・胡椒・生姜・胡麻油・酒・片栗粉を加え、
よく合せて団子状にしたら茹でて火を通し、器に盛りつけて、
茹で汁をベースにした鶏のスープをかけて仕上げます。


【長芋の五香粉炒め】

長芋とキュウリやセロリなどのお野菜と海老を炒め、
五香粉、オイスターソース、マヨネーズを加えます。


【長芋の薬膳肉じゃが】

長芋などお野菜と豚バラ肉を炒め、
鶏ガラと干し海老の中華スープで煮込んだら、枸杞と松の実を加えます。

※お料理の仕上げは塩コショウで適宜味をととのえます。

    

今月は、お店との対話のひとときが心に残った、
神楽坂の日本料理そして代官山のフレンチ。

①日本料理『葉歩花庭(はぶかてい)』(神楽坂)

http://www.habukatei.jp/loader.html
http://r.gnavi.co.jp/b806100/

隠れ家的カフェのような内装が印象的。
お店の前には初夏の紫陽花が豊かに花を咲かせています。

テーブルも、新潟の武家屋敷にあった天井の梁を、
緩やかなカーブ状のカウンターに大変身させたもの。

そこかしこに重厚感ある木目のぬくもりが、
お店のおもてなしの心をいっそう際立たせているようです。

この日のお料理は、ワインをいただきながらでも楽しめる、
折衷造りの会席コースでした。

(献立)
・万願寺唐辛子など夏野菜の焼き物 帆立ワイン蒸し 雲丹添え
・車海老とアボカドのカリフォルニアロール 燻しかつお添え
・鱧とじゅん菜の茶碗蒸し
・ハタと鮪のお造り
・たで酢でいただく鮎の塩焼き 
・三元豚のテリーヌ 葉物野菜のサラダ
・太刀魚と地蛤のトマト鍋
・生姜飯、味噌汁、新香
・葛きり ミントの黒蜜
(花会席8400円也、サ別)











※お土産のロールケーキは『ハーブスパイス』(1575円也・月替り)

 …生地にナツメグ、グローブ、シナモンを使い、
  生姜クリームを巻き込んだ爽やかでスパイシーな味わい。

めずらしく、イスラエル産のシャルドネとともに。
フルーティの香り高く爽やかさがお料理に合います

「ハーブ」といえばもっぱら西洋料理の印象ですが、
香草や薬味の意味合いでは、大葉や生姜など、
古くから日本料理に用いられてきた食材もたくさん。

そんな和的ハーブが散りばめられたコースとして、
6・7月の花会席は「ハーブ会席」とも名づけられています

お店のご主人は、フォーシーズンズで料理長を務め、
早稲田に独立して3年、神楽坂へ移転して2年ほど。
客層にも広がりができたとおっしゃいます。

お店のそこかしこに生けられたお花は、奥様のお仕立てで、
ご主人のお料理作りを一心同体で支える大切な存在。

「庭」で美しい「花」を咲かせる植物の「葉」のような、
ひとの見えないところでこそ良い仕事をなして、
素晴らしいお料理をお客様へお出ししたい…。

ご主人の『葉歩花庭』に込めたそんな想いを、
ひとつひとつのお料理に味わいました。


 

②フレンチ『マダム・トキ』(代官山)

http://www.madame-toki.com/
http://madame-toki.brides-express.jp/
(東急東横線代官山駅徒歩)

各国の大使館やミシュラン星付きのお店などが居並ぶ、
お洒落な代官山のバス通り沿いを歩けば、
ほどなくあらわれる、異国情緒あふれる建物。

おとぎ話から飛び出たような、ロマンチックな門構え

石畳の向こうにはパティスリーショップ、
その左手にお屋敷風のレストランがあります。

入り口ではシェフも待ちかねたように出迎えてくださり、
期待感が募るお食事の時間が始まります。

(メニュー)
・アミューズの鶏のリエット
・グリーンアスパラガスと関アジのマリネ
・桃の冷製スープ コンソメジュレとイベリコ豚の生ハム
・天然平目とニース風お野菜のコンフィ
・シャラン産鴨のハンバーグ 根セロリのピュレと無花果のサラダ
・トマト・黒ゴマ・四種のミルクなど自家製パン
・デザート盛り合わせ
・コーヒー、プティフール
(おすすめランチコース5300円也、税込・サ別)








※この日は別途、
 北海道産のハードタイプのチーズ「アネペツ」も。
 (しっかりとしたコクとクリーミーな口当たりでした)

なんといっても自家製パンのいずれも素晴らしいこと。

オリジナルのカルピスを使ったホイップバターが好相性で、
ついつい、パンのお替わりもすすみます。


※ホイップバターの塔!
 お店の方がナイフでバター皿へ切り出してくれます。

桃の冷製スープは斬新な口当たりですが、
コンソメのジュレが溶けあって上品な味わいに。

この日のお魚は天然平目。

低温のオリーブオイルで、
アーティチョークやトマトなどの野菜と魚を順に、
じっくりと煮あげて、旨味を凝縮させたジューシーなひと皿。

鴨肉を包丁で叩いてミンチにしたハンバーグも、
噛むほどに味わい深くて、とっても美味しい。

デザートは、10種類ほどから好きなだけをチョイスすれば、
その場で大皿に素敵な盛りつけを施していただけます。

お料理の丁寧なご説明もさることながら、
折々で思いやりのひと言をかけてくださる、嬉しいお気遣い。

ウェディング会場にもふさわしい、
幸福感をいっぱいに感じられるひとときでした
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勤労の美的対価・・・

2009年06月12日 | ♪東京を出る前&お食事'09

初夏の陽気が感じられる季節になりました。
残りの東京生活も、もうあと三ヶ月ぐらいです。

マイペースな私も、
そろそろ名古屋行きの準備を少しずつ、と思いながら…。


    

春から都内の飲食店で、
厨房のお仕事を、少しだけ経験させていただいています。

食の楽しみを人に伝えていきたいのなら、
どのような形でもよいから現場を経験すべきと、
各方面の知人からアドバイスを受けながら、はや数年。

そんな私に、調理師学校時代の友人が、
たとえ短期間でも厨房初心者が働けるようにと、
手配をととのえてくれたカジュアルな職場です。

平日のお昼間の数時間だけ、洗い場や仕込みを中心に、
簡単なメニューの調理とオーダーのコントロールなど、
いわゆる追い回しの役目。

厨房はまるで、広いオフィスをミニチュアにしたような小さな空間で、
大量の食材や器具の取り出しだけでもひと苦労…。

最上段の収納場所にも、手が届かなかったりして

洗いものは、金ダワシで指の爪先も一緒にすり減らし、
むせ返るにおいにやられながら熱い油を交換したり、
水浸しになりながら床掃除したり…。

会社勤めしか経験がない私の「初めてづくし」は、
傍からみればきっと可笑しいぐらいに、滑稽な苦戦ぶり

時間を止められない繁忙時に、
両手足と知恵をフル稼働しながら過ごすひととき…。

自分が盛り付けたお皿を持ち、厨房からホールへ出て、
お客様へお出しするときの緊張も体感しました。

『残さずにぜんぶ食べていただけるだろうか…』
『ちゃんと美味しいと思っていただけるかしら…』

たとえお店が忙しいさなかにも、
「お客様に美味しく楽しく召し上がっていただきたい」、
という思いを高く持ち続けるのは、本当に大変なことですね。

ふだん、お客様として楽しませていただいている、
料亭やレストランのお料理やサービスの素晴らしさが、
あらためて、ますます気高くて尊いものに感じられます。

 

そんな貴重な経験のなかで、嬉しく意外な副産物といえば、
仕事を通じて「痩身効果」が得られたこと、でしょうか。

厨房の熱気と忙しさのなかで、知らず知らずに、
絶え間ない全身運動を繰り返していたおかげで、
体のあちらこちらが次第にすっきりとしてきました。

たっぷりのお野菜と玄米を使った、
お店の美味しい賄い料理も、美容効果は抜群

きっと、『動かざるもの、美しくなるべからず』

 

ほんの短い間でも、私を温かく育ててくださっているお店の方々と、
素敵な職場を紹介してくれた友人に、心から感謝しています

    

今月は閑静な住宅地ならではのフレンチをふたつほど。
南青山の現代風フレンチ、そして学芸大学のカリフォルニア流。

 

①フレンチ『L'EMBELLIR (ランベリー)』(南青山)

http://www.lembellir.com/
http://www.food-stadium.com/headline/367/index.html
(地下鉄表参道駅徒歩)

表参道の交差点から坂を少し下り、
根津美術館を曲がってさらに歩いたあたり、
閑静な低層マンションの地階にお店はあります。

エントランスを入り、地階への階段をおりると、
開放的なテラス空間の背後は、
白を基調とした気品溢れるテーブル席に。

野菜ソムリエ仲間もいちおしの、野菜のテリーヌに憧れて、
シェフのおまかせコース「Passion」をいただきました。

(メニュー)
・17種類の農園野菜のテリーヌ
・ホワイトアスパラガスと蛍烏賊のグリエ オランデーズソース
・天然真鯛のポワレ 季節野菜とラタトゥイユ
・牛あばら肉の網脂包み焼き 野菜のパイを添えて
・リコッタチーズのアイスクリーム 白桃 ハイビスカスのジュレ
・ハーブティ ローズジャム添え、お茶菓子の盛り合わせ
(昼のおまかせコース6825円也、サ別、パン&お土産付き)









お野菜のテリーヌは、まるで名画のようなひと皿。
色彩豊かに隙間なく彩られています。

よくみれば、ひとつひとつの野菜は極細に千切りしたものが、
ふたたび形に組み合わされていて、寄木細工のよう。

その切り口が、光の加減に応じてキラキラと輝きます。

お野菜ごとにも個性を活かした味付けがなされて、
大切にじっくりと味わいたいひと口。

次のホワイトアスパラも同様、細麺状になっており、
パスタのごとくオランデーズソースを絡めながらいただく格好。

グリエの前に極細の千切りにしたホワイトアスパラを、
また元の姿にととのえて、紐で固定してから焼くのだとか…。
偉大なひと手間が素晴らしい作品を生み出すのですね。

真鯛のポワレは旨みが凝縮された濃厚な味わい。

お肉料理の網脂包みにはジャガイモとキノコも加えられて、
とってもいただきやすく、あとをひきます。

帰り際には、焼き菓子の入った可愛らしいバックを手渡されるのが、
お店でのひとときを印象づけるサプライズに

美しく優しい時間はゆっくりと流れて、
繊細なお料理を心ゆくまで楽しませていただきました

 

②カリフォルニアキュイジーヌ『INDIGO(インディゴ)』(学芸大学)

http://www.restaurant-indigo.co.jp/
http://www.elledeco.jp/atable/restaurant/restaurantdb/show.php?id=532
(東急東横線 学芸大学駅徒歩 ※現在は定休日無し)

駅前の商店街をひと通りぬけて、
住宅地のバス通り沿いをすこしだけ歩くと現れる、
蛍が光るごとく、青いネオンに浮かぶ看板のお店。

ガラス張りの店構えの奥で、
夜は暖かなオレンジの明かりが灯る客席と、
気さくなオープンキッチンが出迎えてくれる空間。

調理技法はフレンチと何ら変わりませんが、
味わいのエネルギッシュで開放的なところが、
こちらのカリフォルニア料理なところ、でしょうか。

お肉や魚介もお野菜も、シェフがこだわって厳選した食材を、
コースで少しずついただくのもよし、
カジュアルにアラカルトで楽しむのもよし。

お客様の、お料理を楽しみたい気持ちにあわせて、
心温まるサービスをしてくださいます。

カリフォルニア産の美味しいシャルドネとともに、
充実のコースでいただきました。

(メニュー)
・「千代幻豚」のリエット
・生ウニの冷製フェデリーニ イクラとわさびソース
・「大山黒牛」のカルパッチョ ビーツとクレソンのサラダ
・紅ズワイガニのコロッケ ロブスターソース
・パンチェッタ 極太ホワイトアスパラガスに巻いた炭火焼き
・タスマニア産ラム肉のグリル ラベンダーのソースで
・フォアグラ丼
・ライ麦のパン
・デザート盛り合わせ
・ハーブティ
(インディゴコース5000円也、税込・サ別)











牛肉のカルパッチョは、スパイシーなソースがよくからみ、
マグロの大トロのような口あたりと、お肉本来の旨みがとっても美味しい。
添えられるサラダが、爽やかさをプラスしてくれます。

ロブスターの濃厚なソースは蟹のコロッケに好く合って、
ワイルドで楽しいひと品に。

ホワイトアスパラガスの甘みもとってもジューシー。
ほどよい歯ざわりで焼き味をいただけます。

ラム肉に飾られたラベンダーは、カラーと香りが心地よく、
ソースの奥にも感じられるその隠し味は、女性には嬉しいひと皿。

いずれもすてがたいメニューの数々

なんといっても、こちらはデザートの品数が豊富。
ひとつひとつ丁寧に作られた、フルーツとの盛り合わせの大皿は、
お昼間のカフェタイムにもいただきたい大満足の内容

コースのボリュームはたっぷりで、こだわり食材のバリエーションからも、
コストパフォーマンスの格別の高さがうかがえます。

夜は早めのお時間から訪れれば、
女性のお腹にもほどよくいただけることでしょうか。

カリフォルニア産と国産で揃えられたワインとともに、
お料理をフォーマルにもカジュアルにも楽しめる、
素敵な「ご近所レストラン」との出会い、でした
コメント (5)
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