
【お知らせ】 2010.4.1追記
このたび『日本ベジタブル&フルーツマイスター協会(旧名称)』にて、
協会名変更および資格名称変更のご報告がありましたので掲載します。
(協会公式HP)http://www.vege-fru.com/
(関連情報)http://www.vege-fru.com/pr/pdf/1003_03.pdf
・変更日時:2010年4月1日
・新協会名:「日本野菜ソムリエ協会」
・資格名称変更:
(旧)『ベジタブル&フルーツマイスター』
(新)『野菜ソムリエ』
※ほかシニア・ジュニアの場合は新名称の冒頭にその旨が付加されます。
従いまして、私個人も協会認定「野菜ソムリエ」(2006年2月取得)として、
ブログでの表示を新名称へ変更いたします。
これからも自己研鑽と諸活動に努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上---nozo
※「月刊 よもやまツレヅレ」は下記都合により3ヶ月間ほどお休み中です




名古屋も春の暖かさがぐんと増してきました。
近隣のオフィス街は出歩くとビル風に吹かれますが、
最近では爽やかさも感じられるように…。



最近、自治体の主宰で、
名古屋の城下町について学ぶ機会があり、ついでに食文化も、
江戸時代からたいへんに豊かな地域であったことをうかがいました。
熱田から名古屋城を結ぶ「堀川(ほりかわ)」を使い、
上方や江戸など全国からたくさんの食材が運ばれてきたそうです。

当時の書物には、名古屋の街中にさまざまな茶屋や食事処が並び、
すでに、お料理には大豆の赤味噌が使われており、
鰻も蒲焼きを細かく切り込んで食べていたりなど、
いまの名古屋めしを彷彿させる独自路線の記載もあれこれと

おそらく全国各地からさまざまな食べ物が数多く伝わり、
名古屋人好みの味わいが加えられて、定着したのではないか、
という解釈もあるようです。
名古屋では日常品の赤味噌は、私は個人的にとても好きで、
大豆のうまみがじつによく活かされていると感じます

城下町の食文化の繁栄は現代にも継がれて、地元の方が笑って曰く、
「栄や錦には一生かかってもまわりきれないほどの飲食店がある」と。
茶屋の名残りか、生餅や煎餅などあらゆる和菓子の老舗やカフェもたくさん。
住宅地の素敵な隠れ家レストランはもちろん、
中心部には東京や京都、海外などからの進出店も増えつつあります。
食材が豊富で、なんでも美味しい、
それをいつもごくあたりまえに楽しめる街かも知れません


こちらは『なごや食フェスタ2010』の模様。
in吹上ホール(名古屋市千種区)

赤味噌パエリア1000人鍋&金シャチの殿様きしめん


赤味噌モンブラン


しいたけブラザーズの生椎茸・八事五寸人参ドレッシングなど

…ほかいろいろ、大盛況の会場にて。



さて年度末に、ときの流れを感じることがふたつほど。
ひとつは大学時代の恩師がご定年を迎えられること。
専攻科目で教えられた解釈や手法は、
関係業務をはなれてもいまだ実生活で役立てることが多く、
当時も、それは厳しく熱心にご指導いただきました。
卒業以来、お目にかかれる機会はなかなかないものですが、
おそらく代々多くの教え子たちに慕われてもけして隔たりなく、
毎年、年始の貴重な時間を割いて自筆入りで賀状の返信をくださいます

いつも現況を案じて励ましてくださるひと言が、心からありがたく、
生涯にわたり尊敬できる「先生」がいることは幸せだと感じられます。

そしてもうひとつは、
私の祖母が、月末に100歳の誕生日を迎えること

私は戦後の子の末孫なので、年齢がだいぶ離れていますが、
昔からその差を感じさせないような若々しさを保っていました。
いまから百年前の明治末期、祖母は広島の製鉄会社で末娘に生まれ、
進学を機に上京、卒業後も東京で働きながら、
年下の当時まだ医学生だった大阪出身の祖父と出会い、30歳の目前に結婚。
その頃の女性としては、あらゆる意味でとても自由な青春時代でした。

戦時中は多くの私財を軍用に供出し、祖父も帰還に年月を要したので、
戦後の数年間は、祖母も東京で生きるために子供たちと相当の苦労を経験

時代がおちついてからは、専業主婦として夫や家族を支えながら、
自分の信念を貫くための諸活動も手がけて過ごしました。
昔の話になると、両親が後継の長男以外にも男子がほしかったので、
「また女の子が産まれた」と咎められながら育ったことや、
小さい頃は近所の男の子たちにまじり、木登りなどして遊んだこと。
東京でも大学内では唯一の女学生でしたが、卒業後は、
他の男子学生たちとは同等の社会的地位に就かせてもらえなかったことなど、
生来の負けん気と反骨精神が培われた原点もうかがわれます


…そんな祖母はかつて、実家のある疎開先の広島で、
その日たまたま爆心地におらず、被ばくを免れたひとりでもあります。
感謝すべき相手は祖母ひとりではないのですが、
自分の命がここにあるのは、祖母があのヒロシマで生き残れたおかげと、
私は昔から強く感じてきました。
老年は、祖父をはじめ親族や親しい友人など次々と見送りつづけて…。
私は、
祖母が「生きて満足」と感じられるときまで健勝であることを、
いまは心から願っています。

現在、日本では100歳以上の方々が4万人を超えるそうですね。
どなたにもきっと、四つの時代を生き抜いて、
激動を語るにふさわしい百年間のご経歴をお持ちのことと、それぞれに興味深く、
またその生きる力強さと、心身ともに健康な姿にも心から尊敬の念を抱きます




そして話は長くなりますが、私はといえば…、
新たな年度を迎え、ふたたび学生生活を経験することになりました。
入学準備は昨夏から少しずつ。
今度は名古屋にて昼間部の二年間、やはり「食」にまつわるあれこれを、
昨年春まで通った調理師学校とは異なる角度から学びます。
もしも東京に居続けられたら、この選択肢はなかったかも知れませんが、
私の第二の苦手克服の旅はここからまた…

第一の苦手克服は、なんといってもお料理のこと。
思い出せば、
夜間の調理師科では、すでに経験値の高い同級生たちが、
入学時から楽しくとりくんでいる姿をうらやましく眺めつつ、
家では泣きながら練習をくりかえして…。
昼間はオフィスでの勤務中にもつい思いあまり、
手近な定規を包丁に見立てて握りしめ、動かしていたことも。
家族の理解と、同級生や友人たちの温かな思いやりにも支えられ、
首席で卒業式を迎えられたときは、さすがに喜ばしい気持ちでしたが、
それでもすぐには感情を切り替えられず、複雑な心境に…。

あれから一年近くが経ちますが、最近になり、
ようやくお料理も楽しいことと思えるようになりました。
ライオンの子が崖から突き落とされるような荒療治も、
もう若くはないからと思えば仕方のないこと

医家の親族でもありながら、その昔は恥かしいほどに不摂生を省みず、
いまだ長い道のりを歩んでいるのはなにかの償いかとも


私にはきっと、私なりの時間の流れで、
かつて「なかった者」にしかできないことがある。
先日ひさびさに講師をやらせていただき、感じられたのは、
自分に必要なステップを一段ずつあがっていけば、確実に、
内容の面でも気持ち的にも、ゆとりと充実度が増していくことです。
そしてなにごとも、周りの方々のご厚意があってこそ

まだまだ勉強不足ですが、まずは自分自身のために、
もうひと回りだけ視野を広げようと思います。

ブログは食生活や健康の話題を中心に続けてまいりましたが、
いつもながら、これからもマイペースに…。
月にいち度の更新でも、日々のアクセスが減ることなく、
さまざまな方々に目をとめていただけていつも感謝の思いです。
これからも温かく見守ってくだされば嬉しいです

※「月刊 よもやまツレヅレ」は3ヶ月間ほどお休みします。
(別冊版は気ままに続けます)



そして今回は結婚記念日をひと足前に、毎年恒例の…

あけくれて
めをと桜の めぐりゆく
あたらし土の 咲きしにほいに -- nozo

名城公園にて



名古屋市政資料館前にて




名古屋のなかでも歴史深い一等地に営む、古民家イタリアン。
※他にも出会った素敵なお店は「別冊版」へ掲載しています。


http://www.antichi-jp.com/
http://r.gnavi.co.jp/n594602/
(地下鉄市役所駅・久屋大通駅・高岳駅など)
名古屋城の東側、県庁や市役所をさらに越えて歩き、
市政資料館の近くにお店はあります。
この付近から徳川園にかけては『文化のみち』と呼ばれる歴史深いエリア。
江戸時代には武家屋敷が並んでいた、
「白壁(しらかべ)」地区の一角でもあります。


こちらのお店も築120年におよぶ民家を改装し、
そのレトロな和の空間には、数々の調度品が惜しげもなく飾られて、
絶妙な和洋と新旧の融合を楽しませていただけるひととき。

玄関には季節の生花がダイナミックにあしらわれ、
奥には広々としたダイニングルーム。
勾配の急な木組みの階段を気をつけながらあがれば、
二階は日あたりも良く、襖や木戸で仕切られた部屋の数々。
ご用意いただいた個室にも大型の蓄音器などが飾られて、
生きたことのない時代に、懐かしさが感じられます。

かつては書斎か納戸だったかと思しきスペースは、
ふたりきりで落ち着いて楽しむには格好の空間に

春の足音が嬉しいコースをいただきました。
(メニュー)
・いたや貝のマリネ ラビゴットソース、春野菜のキッシュ
・真鯛と甘夏のカルパッチョ 柑橘ピールとカラスミ
・フォアグラと芽キャベツのポワレ イチゴを添えて
・子羊の背肉のロティ ヤングコーン、アスパラ、牛蒡
・手打ちパスタのパッパルデッレ 地鶏と縮緬キャベツのソース
・アンティキパンと自家製フォカッチャ
・パイナップルとパッションフルーツのカルパッチョ レモンバームのジュレ
・食後のカプチーノ
(お昼のスペチャーレコース5250円也)









食前はほどよい酸味の桜のカクテルから

アンティキパンは、パプリカとガーリックが、
こんがりとくせになる焼き味。
なんといってもフォアグラのクリーミーな口あたりが印象的

子羊の背肉を包む生ハムの味わいとローズマリーの香りは、
お肉料理のアクセントになって、たまらなく美味しい。
添えられたヤングコーンはその大きさにかかわらず、
歯触りがよく、とても甘くてジューシーです。
芽キャベツや縮緬キャベツなどのほどよい苦みも美味しくて、
パスタの平麺にはソースが好く馴染んでいました。
目にも明るいフルーツ満載のデザートは、
爽やかな酸味を口いっぱいにいただけるひと皿


こちらのワインは、店長自らイタリアへ買い付けに出かけ、
個性豊かな品ぞろえは、流通では得られないものも多いとのこと。
季節感あふれる食材には、日本人の和の心も忘れずにと、
イタリアンをこよなく愛するお店の思いやりも感じられました。