月刊 よもやまツレヅレ・・・

管理栄養士・調理師・野菜ソムリエetc.
転勤族の主婦が食と予防栄養のプロに
転身するまでの奮闘記あれこれ…。

美食の名分・・・

2008年07月10日 | ♪学生生活&お食事'07

暑い夏の到来を予感させる陽気となりました。

食品偽装が騒がれてすでに久しいのに、
最近では好物の鰻までもが、大舞台で踊らされて

それが国産か否かといった現実は、
美味しいものを食べたい欲求の要因ではなく、
むしろ真実を把握して食すことに価値があるのでは、
というのが若輩なりの自論です。


    

これは先日、大都市圏のデパートの地階で、
期間限定のイートインコーナーを設けた、とあるお店の話。
(※店名…都合により不掲載)

メインの献立は一品のみで、
「シーフードたっぷりのカレー」と書かれたメニューには、
海老、イカ、ホタテ、アサリといった4種の魚介名の記載に、
それらが文字通りたっぷりと入った魚介カレーの大きな写真。

私は会社のお昼休み中、偶然に立ち寄り、
その「シーフードカレー」を注文しました。(900円也)

そして…出てきたのは、
ピーマンや玉ネギなどの野菜に加え、「アサリがふたつ」と、
豚肉の端切れと思しき肉片がいくつか入った、
そんなカレーライスだったのです…。

ルーのスパイスはオリジナルと思われますが、
ブイヨンは、そんなわけで魚介よりもお肉の味わいに。

献立がひとつだけなので、注文を間違えたわけではなく、
他のお客様にも淡々とそれを提供している様子。

思わずメニューを見直して、
これは?と躊躇するお客の気配もとくになく…。

私は、それはそれで…とひと通り食べ終えてから、
女性店員を小声で呼びとめて、
書かれている内容と、実際のメニューが異なる点を、
ひと言だけ伝えました。

店員は当初、
私が思っていたメニューとは違う感じのものを出されて、
不満を抱いていると解釈した様子。

「思ってらっしゃったのと違っていたんですねー」と、
なにか同情にも近い表情で返されたその言葉で、
私はようやく、目が覚めたように怒りを感じたのです

とにかく表示内容と実際のメニューが明らかに異なることを、
ふたたび手短かに伝え、私は会計を済ませて退去しました。

店員は「申し訳ございません」と繰り返すばかりで、
もはや、何に対する謝罪なのかはあえて問い返さず…。

 

…そのお店は普段、都内の一等地に店舗を構える、
小洒落た欧風レストラン。

アメリカでも評判のメソッドを献立全体に取り入れて、
健康や美容に効果的な食事、というのがコンセプト。
低カロリーで独自のエネルギーバランスが特徴。

店舗でのディナーコースは、5,000~14,000円の価格帯

今回のイートインコーナーは、おそらく、
お店の名前やメソッドの存在の認知度を、
あらためて高める狙いがあったものと思われます。

折りしも原油の高騰で、漁船の出港も減らしている時期に、
シーフードカレーの原材料を予算どおりに確保するのが、
不可能な場合もあることでしょう。

お店にとっても、この状況が打撃であるならば、
900円という価格では、代用品の利用もやむを得ないものです。

…それならせめて、素敵に彩られたそのメニュー板に、
「諸事情により、魚介の一部を肉類へ変更しました。
スパイスは変わらずオリジナルブレンドを使用して、
丁寧にお作りしておりますので、ぜひお楽しみください
というひと言が添えられなかったのだろうか。

お客のひとりとしては、あらかじめ状況を理解したうえで、
いわば『特製ミックスカレー』として楽しませてもらうことは、
できなかったのだろうか…と。

違和感や疑いを感じながらの食事は、
店のランクや味わいなどと無関係に、気分を下げてしまいますね。

それに、肉類はアレルギー原因食材(表示推奨)ですから、
シーフードといいながら肉類を提供すれば、
人によっては健康上のリスクを伴うことにもなります。

お客様からの些細な指摘に対しても、
店員が理由や事情を説明することなく、責任者の顔も見えず、
事前事後、いずれの対応にも力不足を感じさせます

ただでさえ、食材名は同一でも原産地表示が異なったり、
名称表示が正しくても、使用量による記載順序が異なれば、
大きな問題として扱われている食業界の昨今。

このお店がもしも「一流」を目指しているのであれば、
今後も、こうした対応力の強化が日々求められるのでは…。

お店の掲げるコンセプトが必ずしも、
お食事全体のクオリティを決定づけるものではないこと、
食の安全や安心を保証するわけではないこと、
そうした残念な事柄に思いを馳せた平日の昼下がり、だったのでした。

    

今月は、友人と出かけて美味しかったお店、
スペイン料理と日本料理をひとつずつ。

①目黒駅近くのスペイン料理屋「カサ・デ・フジモリ」。
http://casa-de-fujimori.co.jp/

こちらは創業して40年近い老舗。

駅から歩いて目黒通りへ出る手前、
通りから少し引っ込んだところの、他愛のないビルの1階。

今回は二度目の訪問でした

本場各地でも味わった記憶のよみがえる、
お料理も、インテリアも正統派のつくり。

(メニュー)
・スペイン風オムレツ
・鶏きもとレバーのオリーブ油焼き
・スペイン産白アスパラガスとトマトのサラダ
・魚介のスープ
・手長海老と魚介のパスタパエリア
・サングリア
(単品2人前…1人3775円也)

どのひと皿も、とってもジューシーな仕上がりで好きな味。

コクのあるスープにも、パスタを使用したパエリアにも、
魚介ブイヨンの深みがよくきいています。

メニューが豊富で、気さくなお店の雰囲気もいいですね。

スタイリッシュな都会のスペイン・バルとはひと味違いますが、
現地の街のレストランといったくつろぎが感じられます。









そして日本料理、
②新宿は京王プラザホテルの和食屋「かがり」。
http://www.keioplaza.co.jp/rb/res06.html

こちらのホテルは、先般のミシュランで、
「最上級」の格付けを獲得した場所でもあります。

庭園の一角を模した、品の良い入り口をくぐれば、
気がねなく心静かにお食事を楽しめる配置で、
重厚感ある、広々としたテーブル席の間が広がります。

献立は、軽めにいただける、
地魚の煮付けがことさらに美味しいお膳。

(献立)
・胡麻豆腐
・鯛と野菜の和え物
・蓮根の金平
・お造り(鮪、さわら、鯛など)
・北海道産めばるの煮付け
・海苔の味噌汁、ご飯
・甘味、フルーツ
(2310円 諸サービス込)

お造りを盛った大きめのガラス椀には、
紫陽花などがさりげなく飾られて、
心のこもった季節感が感じられます

なんといっても、
めばるの煮付けの味わいがとても上品で、
お魚本来の旨みが楽しめるひと皿。

そこかしこに豊富なお魚使いも印象的です。

おもてなしにも、気軽なランチにも、
いずれにもまた訪れたいお店でした。






今月のおまけ…素敵なカフェ。
③「cafe 茶洒 kanetanaka(カフェサーシャカネタナカ)」
目黒の庭園美術館内にあります。
http://r.gnavi.co.jp/g080506/

新橋で大正時代に創業した料亭「金田中」のグループ。

明るいオープンテラスに、
少々薄暗いカウンターの店内、いずれも、
カジュアルながら静かに落ち着いてくつろげる空間。

終日、食事もお茶も楽しめます

峰岡豆腐と冷たい抹茶をいただきました。
(計640円也)
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安穏の始末・・・ | トップ | 盛夏の華の宴・・・ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

♪学生生活&お食事'07」カテゴリの最新記事