水村 美苗 という作家は、以前「本格小説」を読んで面白かった。日本版「嵐が丘」と言われ、まさにストーリー展開が「嵐が丘」であり、ダイナミックで、でも無理のないうまい筋書きだと思った。
この作家は12歳で渡米して、高等教育も受けた教養豊かな人である。
「大使とその妻」は、南米大使だった男と妻になった魅力的な女性の物語を、日本文化と日本語に堪能な白人男性の視点で書いた物語なのだが、読み進むにつれてすこしづつ明かされる物語は、ストーリー展開に無理がなく、楽しませてくれ、最後までむだがない。
今回も素晴らしいと思った。
ただひとつ。 両方とも、本の題名には、なんだかなあと思う部分がある。
「本格小説」なんて、自画自賛しているようじゃない?
「大使とその妻」も何かそのまんまっていう感じ。
じゃあ、どんなのがいい? と言われるとそのセンスはないんですが。でも両方とも、素晴らしいと思った。