松山の朝を迎えた。
朝食は昨夜と大きく違い、ロビー近くの喫茶室で普通に和食。w
喫茶室のTVでは台風情報がひっきりなしに流れ、いよいよ上陸間近らしい。マジ…か。標準語で食事をサーブしてくれる従業員達も、仲間内では「~じゃけ」と伊予弁で台風の話題をしている。
別れを惜しむように、もう一度、道後温泉源泉が引かれた大浴場に浸かり、チェックアウトを済ませ、いざ高知へ出発。
ナビが示したのはこの行程。
岩屋寺のある久万高原町を通って494号線を走るルート。このコースが後にとんでもない恐怖を生む。後でドライブ・インのお婆ちゃんに「もうちょっと下って、33号線のまま来たら楽だったのにねぇ。」と言われた。ナビにまた騙された。
(ここから暫くは写真はありません。撮る余裕が有りませんでした。)
雨は激しく降ったと思ったら止んだり。しかし、少し前に激しい嵐が吹いた後らしく、あちらこちらに折れた枝が道路の上に散乱している。岩屋寺を過ぎ、左折だとナビに言われ暫く進むと494号線に入った。途端に細い山道となり、Uターンはもはや不可能。曲がりくねった登り道、どんどん山深く、うっそうとした木々に囲まれていく。助手席側には山肌が迫り、運転席側には崖と、そこから高く伸びた木々が並んでいる。車は自分以外に一台も走っていない。
雨が降り始めた。なんだか嫌ぁな予感がする。折れた木々の枝をバキバキと踏みしめながら更に山道を進むと…。
あぁ、嫌な予感的中。
前方の山肌から鉄砲水の様に水が流れ出て、道路が川の様に水で溢れている。その時、少し前の台風で四国の山道で濁流に乗って車が何台も上の方から流されて来る…というニュース映像を僕は思い出した。
このまま進んでもろくな事がなさそうなのは、考えなくても分かる。しかし、Uターンが出来ないのだ。幸い、舗装道路でよっぽどでない限り、崖崩れは無いであろう。もし、最悪、崖崩れを発見したら全てを捨てて足で逃げよう。…そう決意して、車を暫く走らせる事にした。色んな想定をして、最悪のシナリオも考えながらも、無事この山道を抜ける事を祈りながら運転する。
山肌から滝の様に水が溢れ出てるなんて、初めて見た光景ではない。大雨で山道走ってれば、そういう光景にはよく出くわすじゃないか。ちょっと前に怖いニュース映像観たから心配になるんだ。落ち着け、オレ。…と、心の中で何度も呟きながら運転を続ける。しかし、暫く走ると、それを嘲笑うかの様な光景が目の前に。
道に、土砂崩れが…。木が倒れ、ドデカい岩が路上に横たわっている。
あぁ、終わった。。
頭の中が真っ白になり、どうしよう!と考えてる時間が30分ほど有ったように思えた。
しかし実際は、ほんの数秒後に小さな幸運を感じたのだ。
その道が緩やかなカーブで、少しふくらんでいた為、土砂崩れが道を全て覆っていたわけではなく、なんとか車一台はやり過ごせそうなのだ。恐る恐る、土砂を避けながら道を進んだ。
あぁ!行けた!
フーッ!と大きく息をついて運転を続けたが、どうにもこうにも身体の震えは止まらない。山道はまだ続くし、この先まだ何が起こるか油断はできない。身体の震えが止まったのは、それから15分ほど進んで民家を発見した時だった。
池川439交流館到着。
苦楽を共にした相棒。今回も日産デイズ。レンタカーのこの価格帯だとデイズ率高し。しかし、オーディオにSDカードも入力端子も付いてなくて、割と困った。
ここの従業員のお婆ちゃんに「33号線使って来たら楽やったのに。」と言われた。早く言ってよ~ん。w
この川も普段は透き通った清流が静かに流れているそうだが、水嵩は増え濁流と化している。
池川439交流館にてトイレ休憩と少しばかりの栄養補給をして、一応「仁淀ブルー」にお目に掛かれるか、店のお婆ちゃんに聞いてみた。
「前の川がこんなやから無理じゃろねぇ。またの機会に。え?東京から?それは残念じゃったね。」
でも、諦めるのはあまりにも酷。あの恐怖を乗り越えて、ここまで来たんだ…と中津渓谷に。
透明度が高く、光の加減で美しい青色に見える事から仁淀川は「仁淀ブルー」と呼ばれる。そのメッカの様な場所である。神秘的な「雨流の滝」に続く舗装遊歩道が完備されている。しかし、空は泣き、川は淀む。
「中津渓谷ゆの森」で普通にカレーライスを食す。
見たとおり普通ではあるが、北海道旅行でも経験した通り、疲労困憊している時はスパイスを注入すると元気を取り戻せる。地獄の494号線ドライブの後はカレーしかない。この施設は温泉施設だが、流石の温泉マニアの僕でも、今は温泉で体力を消耗するのは憚られる。今夜は名湯を有する温泉宿だし。
中津渓谷の遊歩道。
怒涛の水量である。どこが清流やねん。遊歩道にも溢れんばかり。
暫く行くと、川を横切る遊歩道が川の濁流に飲み込まれて先に行けなかった。
山陰の向こうで「グワシャ~ン!!」と何かが崩れ落ちる様な音がし、さっきの地獄の494号線ドライブをまた思い出し慌てて引き返す。もう、完全にトラウマになっている。
仁淀ブルーの事などすっかり忘れ、濁流に飲み込まれる恐怖と戦いながら撮影。
北海道の「青い池」然り、青いものを観に行くと必ずこのあり様である。諦めがついて、更に高知県を南下し本日の宿が有る四万十町に向かう。四万十川と言えば日本屈指の清流。僕の大好きな鮎で有名。トロッとしたアルカリ性の温泉と鮎料理で有名なホテル松葉川温泉が本日の宿。
しかし、この松葉川温泉に行くにも狭い山道を走らなければならなかった。怖いよぉ。
怯えながらも、無事到着。
落ち着く部屋。恐怖よ去れ。
ここにも遊歩道が有るらしく、さっきのリベンジで散策してみる事に。
いきなり遊歩道の第一歩である橋の下はナイアガラの如く爆音と共に川が流れている。
天気は悪いし、さほど清々しい景色でもない。
行きついた所は、シダ植物が生い茂るジュラシック・パークみたいなとこだった。帰ろう。
いやぁ、やっぱ温泉でしょう!今日の疲れを取るぞ!
露天風呂。
さっきの瀑布が真下に有ります。普段はもっと長閑なはず。
泉質は本当にトロトロです。
癒されます。さっきまで恐怖の対象でしかなかった山が日本昔話の様に長閑に見える。森の木々の生存競争などを他人事の様に考えながら長湯出来た。
内風呂も近代的で使いやすい。ほぼ貸切で、何度も露天風呂と内風呂を行ったり来たり。
「松葉川温泉」
源泉温度18.6℃、pH9.0のアルカリ性単純硫黄冷鉱泉。トロトロのアルカリ泉は源泉温度が低く加温している事が多い。
ここは宿泊客以外も温泉に入れる。宿泊施設とは、宿泊客のみ使える渡り廊下で繋がっており、そこにはマッサージ・チェアが置いてあり、それが最高だった。
さぁ、いよいよディナー。
手桶には琉球(蓮芋)の酢の物、てまり寿司、川海老の唐揚げ、枝豆、胡麻大葉流し、水まんじゅう、とうもろこし真蒸、生麩。季節のお造りは鰹だった。あぁ、明日、土佐で食べるんだけどなぁ。w 京料理の様にお上品で、疲れた身体に優しい。美味いなぁ。
米豚のせいろ蒸し。
お待ちかねの鮎。子持ちだったけど、身がふっくらしていて凄く美味しい。さすが四万十!
途中、食堂に、森に棲む珍しいオオゴキブリが乱入し、多少、宿泊客達のパニックを生む。Gと言ってもカブトムシに似ていて、サイズもデカく、動きはかなり緩慢である。東京のGと違って、人んちで悪さをするわけでないのは知っていたので、超G嫌いの僕でも逃げ惑う事はなかった。従業員の方が「すいません!」と言いながら外に連れ出してくれた。まぁ、森のホテルにはこういう珍客は多いもんだ。施設が不潔ってわけでは全くない。ある程度は覚悟しましょう。
食事の続き。焚きあわせはゼリー寄せ。出汁が利いてて美味しい。
天麩羅は殆ど海の幸。
お吸い物には湯葉。
お腹いっぱい。ご馳走様でした。
本日の〆は、貸切風呂。
まぁ、台風のせいでお客さんも少なく、大浴場も殆ど貸切状態ではあるのだけど、貸し切りプランを選択したので。TVが置いてあるプライベートな休憩室も隣接していて、冷房も効いていて冷たいお水呑み放題。これがビール飲み放題だったら2時間は貸し切りたいくらい至れり尽くせり。
部屋に帰る前に、またマッサージ・チェアで今日の恐怖で緊迫した筋肉をほぐす。
明日は土佐だ!カツオの藁焼きだ!
朝食は昨夜と大きく違い、ロビー近くの喫茶室で普通に和食。w
喫茶室のTVでは台風情報がひっきりなしに流れ、いよいよ上陸間近らしい。マジ…か。標準語で食事をサーブしてくれる従業員達も、仲間内では「~じゃけ」と伊予弁で台風の話題をしている。
別れを惜しむように、もう一度、道後温泉源泉が引かれた大浴場に浸かり、チェックアウトを済ませ、いざ高知へ出発。
ナビが示したのはこの行程。
岩屋寺のある久万高原町を通って494号線を走るルート。このコースが後にとんでもない恐怖を生む。後でドライブ・インのお婆ちゃんに「もうちょっと下って、33号線のまま来たら楽だったのにねぇ。」と言われた。ナビにまた騙された。
(ここから暫くは写真はありません。撮る余裕が有りませんでした。)
雨は激しく降ったと思ったら止んだり。しかし、少し前に激しい嵐が吹いた後らしく、あちらこちらに折れた枝が道路の上に散乱している。岩屋寺を過ぎ、左折だとナビに言われ暫く進むと494号線に入った。途端に細い山道となり、Uターンはもはや不可能。曲がりくねった登り道、どんどん山深く、うっそうとした木々に囲まれていく。助手席側には山肌が迫り、運転席側には崖と、そこから高く伸びた木々が並んでいる。車は自分以外に一台も走っていない。
雨が降り始めた。なんだか嫌ぁな予感がする。折れた木々の枝をバキバキと踏みしめながら更に山道を進むと…。
あぁ、嫌な予感的中。
前方の山肌から鉄砲水の様に水が流れ出て、道路が川の様に水で溢れている。その時、少し前の台風で四国の山道で濁流に乗って車が何台も上の方から流されて来る…というニュース映像を僕は思い出した。
このまま進んでもろくな事がなさそうなのは、考えなくても分かる。しかし、Uターンが出来ないのだ。幸い、舗装道路でよっぽどでない限り、崖崩れは無いであろう。もし、最悪、崖崩れを発見したら全てを捨てて足で逃げよう。…そう決意して、車を暫く走らせる事にした。色んな想定をして、最悪のシナリオも考えながらも、無事この山道を抜ける事を祈りながら運転する。
山肌から滝の様に水が溢れ出てるなんて、初めて見た光景ではない。大雨で山道走ってれば、そういう光景にはよく出くわすじゃないか。ちょっと前に怖いニュース映像観たから心配になるんだ。落ち着け、オレ。…と、心の中で何度も呟きながら運転を続ける。しかし、暫く走ると、それを嘲笑うかの様な光景が目の前に。
道に、土砂崩れが…。木が倒れ、ドデカい岩が路上に横たわっている。
あぁ、終わった。。
頭の中が真っ白になり、どうしよう!と考えてる時間が30分ほど有ったように思えた。
しかし実際は、ほんの数秒後に小さな幸運を感じたのだ。
その道が緩やかなカーブで、少しふくらんでいた為、土砂崩れが道を全て覆っていたわけではなく、なんとか車一台はやり過ごせそうなのだ。恐る恐る、土砂を避けながら道を進んだ。
あぁ!行けた!
フーッ!と大きく息をついて運転を続けたが、どうにもこうにも身体の震えは止まらない。山道はまだ続くし、この先まだ何が起こるか油断はできない。身体の震えが止まったのは、それから15分ほど進んで民家を発見した時だった。
池川439交流館到着。
苦楽を共にした相棒。今回も日産デイズ。レンタカーのこの価格帯だとデイズ率高し。しかし、オーディオにSDカードも入力端子も付いてなくて、割と困った。
ここの従業員のお婆ちゃんに「33号線使って来たら楽やったのに。」と言われた。早く言ってよ~ん。w
この川も普段は透き通った清流が静かに流れているそうだが、水嵩は増え濁流と化している。
池川439交流館にてトイレ休憩と少しばかりの栄養補給をして、一応「仁淀ブルー」にお目に掛かれるか、店のお婆ちゃんに聞いてみた。
「前の川がこんなやから無理じゃろねぇ。またの機会に。え?東京から?それは残念じゃったね。」
でも、諦めるのはあまりにも酷。あの恐怖を乗り越えて、ここまで来たんだ…と中津渓谷に。
透明度が高く、光の加減で美しい青色に見える事から仁淀川は「仁淀ブルー」と呼ばれる。そのメッカの様な場所である。神秘的な「雨流の滝」に続く舗装遊歩道が完備されている。しかし、空は泣き、川は淀む。
「中津渓谷ゆの森」で普通にカレーライスを食す。
見たとおり普通ではあるが、北海道旅行でも経験した通り、疲労困憊している時はスパイスを注入すると元気を取り戻せる。地獄の494号線ドライブの後はカレーしかない。この施設は温泉施設だが、流石の温泉マニアの僕でも、今は温泉で体力を消耗するのは憚られる。今夜は名湯を有する温泉宿だし。
中津渓谷の遊歩道。
怒涛の水量である。どこが清流やねん。遊歩道にも溢れんばかり。
暫く行くと、川を横切る遊歩道が川の濁流に飲み込まれて先に行けなかった。
山陰の向こうで「グワシャ~ン!!」と何かが崩れ落ちる様な音がし、さっきの地獄の494号線ドライブをまた思い出し慌てて引き返す。もう、完全にトラウマになっている。
仁淀ブルーの事などすっかり忘れ、濁流に飲み込まれる恐怖と戦いながら撮影。
北海道の「青い池」然り、青いものを観に行くと必ずこのあり様である。諦めがついて、更に高知県を南下し本日の宿が有る四万十町に向かう。四万十川と言えば日本屈指の清流。僕の大好きな鮎で有名。トロッとしたアルカリ性の温泉と鮎料理で有名なホテル松葉川温泉が本日の宿。
しかし、この松葉川温泉に行くにも狭い山道を走らなければならなかった。怖いよぉ。
怯えながらも、無事到着。
落ち着く部屋。恐怖よ去れ。
ここにも遊歩道が有るらしく、さっきのリベンジで散策してみる事に。
いきなり遊歩道の第一歩である橋の下はナイアガラの如く爆音と共に川が流れている。
天気は悪いし、さほど清々しい景色でもない。
行きついた所は、シダ植物が生い茂るジュラシック・パークみたいなとこだった。帰ろう。
いやぁ、やっぱ温泉でしょう!今日の疲れを取るぞ!
露天風呂。
さっきの瀑布が真下に有ります。普段はもっと長閑なはず。
泉質は本当にトロトロです。
癒されます。さっきまで恐怖の対象でしかなかった山が日本昔話の様に長閑に見える。森の木々の生存競争などを他人事の様に考えながら長湯出来た。
内風呂も近代的で使いやすい。ほぼ貸切で、何度も露天風呂と内風呂を行ったり来たり。
「松葉川温泉」
源泉温度18.6℃、pH9.0のアルカリ性単純硫黄冷鉱泉。トロトロのアルカリ泉は源泉温度が低く加温している事が多い。
ここは宿泊客以外も温泉に入れる。宿泊施設とは、宿泊客のみ使える渡り廊下で繋がっており、そこにはマッサージ・チェアが置いてあり、それが最高だった。
さぁ、いよいよディナー。
手桶には琉球(蓮芋)の酢の物、てまり寿司、川海老の唐揚げ、枝豆、胡麻大葉流し、水まんじゅう、とうもろこし真蒸、生麩。季節のお造りは鰹だった。あぁ、明日、土佐で食べるんだけどなぁ。w 京料理の様にお上品で、疲れた身体に優しい。美味いなぁ。
米豚のせいろ蒸し。
お待ちかねの鮎。子持ちだったけど、身がふっくらしていて凄く美味しい。さすが四万十!
途中、食堂に、森に棲む珍しいオオゴキブリが乱入し、多少、宿泊客達のパニックを生む。Gと言ってもカブトムシに似ていて、サイズもデカく、動きはかなり緩慢である。東京のGと違って、人んちで悪さをするわけでないのは知っていたので、超G嫌いの僕でも逃げ惑う事はなかった。従業員の方が「すいません!」と言いながら外に連れ出してくれた。まぁ、森のホテルにはこういう珍客は多いもんだ。施設が不潔ってわけでは全くない。ある程度は覚悟しましょう。
食事の続き。焚きあわせはゼリー寄せ。出汁が利いてて美味しい。
天麩羅は殆ど海の幸。
お吸い物には湯葉。
お腹いっぱい。ご馳走様でした。
本日の〆は、貸切風呂。
まぁ、台風のせいでお客さんも少なく、大浴場も殆ど貸切状態ではあるのだけど、貸し切りプランを選択したので。TVが置いてあるプライベートな休憩室も隣接していて、冷房も効いていて冷たいお水呑み放題。これがビール飲み放題だったら2時間は貸し切りたいくらい至れり尽くせり。
部屋に帰る前に、またマッサージ・チェアで今日の恐怖で緊迫した筋肉をほぐす。
明日は土佐だ!カツオの藁焼きだ!
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