今見た光景がただ事ではなかったので急いで引き返す。
ちょっと半信半疑だった津波は、多少は来るなと思った。
防潮堤の階段をダッシュで降りると、保育園の所の水門付近にスーツ姿の30代の兄ちゃん二人とお姉さんがいたので、「去年のチリ地震の時と明らかに違うから。波が引いでっから。尋常でないから早ぐ逃げろ。この道路をまっすぐ行くと神社がある。」
こういう風なことを、出来るだけ標準語を意識して言ったと思う。
(この辺でこの時間、スーツを着ている人は冠婚葬祭以外は地元民じゃないんで標準語…)
保育園を過ぎるかという所で、開いていた水門が気にかかり振り向いた。
俺が閉めねばなんねぇが?と思ったら、海側から来たと思われる人が閉めている最中だった。
(閉め切るのは確認していない)
急いで家に引き返す。45号まで来ると、荷物を抱えたもどかしく遅い人達が道路を渡れないでいる。
走る車をやり過ごし、道路の真ん中まで行くと車を止めて腕をグルグル回して老人達を誘導した。
その時声は出なかった。
何の音も無く静かな中で、大声で「早く逃げろ!」とうのはオオカミ少年みたいで、声が出せなかった。
(この時点で恐らく避難の放送は断線。サイレンも避難誘導の放送も聞いた覚えが無い。もしかしたらあったのかもしれないが、ただ静かだった印象しか無い)
磯○(地名)方面からの車2台と宮○大橋側からの車1台を交差点で制止。
その間僅かな時間だと思うが、何人かの老人を通すと、私も一目散に走った。走り出す時、止まっている一番前の車両の人と目があった(ような気がする)。キョトンとしていた(ような気がする)。
たぶん目の前で車を制止していた人間が、通っていいよという合図も出さずに走り去り、そのまま置いてくの?というキョトンだったと思う。もしくは見ためは大の大人が、いきなり猛ダッシュで走り去る姿に事態の緊迫さを悟って、一瞬混乱したキョトンだったか…
(私が制止した車の方が被害にあっていないことをお祈りします)
私の家の前に着くと、向かいの一人暮らしのおばあちゃんと、モモちゃんを連れた魚屋さんのおばあちゃんがいた。私の母親も地震の時にはいなかったが、玄関にいた。
玄関で靴を脱ごうとしながら母に、「海の水が引いてて、津波が来っから早く逃げろ。尋常じゃねぇから」と避難を促した。しかし「おしっこしてから行く」と言ったので、「しょんべんなんかしてる時間ねぇぞ。外で人も待ってんだから急げ」とキレ気味に言ったが、トイレに向かったみたいだった。
靴を脱ぐのももどかしく、土足のまま家に上がり、茶の間のソファーに座っていた親父にも「津波が来っから逃げる準備しろ。」と言ったが「大丈夫だ。」と言って動こうとしない。
私は靴をはいたまま二階へ飛ぶ様に駆け上がった。
ちょっと半信半疑だった津波は、多少は来るなと思った。
防潮堤の階段をダッシュで降りると、保育園の所の水門付近にスーツ姿の30代の兄ちゃん二人とお姉さんがいたので、「去年のチリ地震の時と明らかに違うから。波が引いでっから。尋常でないから早ぐ逃げろ。この道路をまっすぐ行くと神社がある。」
こういう風なことを、出来るだけ標準語を意識して言ったと思う。
(この辺でこの時間、スーツを着ている人は冠婚葬祭以外は地元民じゃないんで標準語…)
保育園を過ぎるかという所で、開いていた水門が気にかかり振り向いた。
俺が閉めねばなんねぇが?と思ったら、海側から来たと思われる人が閉めている最中だった。
(閉め切るのは確認していない)
急いで家に引き返す。45号まで来ると、荷物を抱えたもどかしく遅い人達が道路を渡れないでいる。
走る車をやり過ごし、道路の真ん中まで行くと車を止めて腕をグルグル回して老人達を誘導した。
その時声は出なかった。
何の音も無く静かな中で、大声で「早く逃げろ!」とうのはオオカミ少年みたいで、声が出せなかった。
(この時点で恐らく避難の放送は断線。サイレンも避難誘導の放送も聞いた覚えが無い。もしかしたらあったのかもしれないが、ただ静かだった印象しか無い)
磯○(地名)方面からの車2台と宮○大橋側からの車1台を交差点で制止。
その間僅かな時間だと思うが、何人かの老人を通すと、私も一目散に走った。走り出す時、止まっている一番前の車両の人と目があった(ような気がする)。キョトンとしていた(ような気がする)。
たぶん目の前で車を制止していた人間が、通っていいよという合図も出さずに走り去り、そのまま置いてくの?というキョトンだったと思う。もしくは見ためは大の大人が、いきなり猛ダッシュで走り去る姿に事態の緊迫さを悟って、一瞬混乱したキョトンだったか…
(私が制止した車の方が被害にあっていないことをお祈りします)
私の家の前に着くと、向かいの一人暮らしのおばあちゃんと、モモちゃんを連れた魚屋さんのおばあちゃんがいた。私の母親も地震の時にはいなかったが、玄関にいた。
玄関で靴を脱ごうとしながら母に、「海の水が引いてて、津波が来っから早く逃げろ。尋常じゃねぇから」と避難を促した。しかし「おしっこしてから行く」と言ったので、「しょんべんなんかしてる時間ねぇぞ。外で人も待ってんだから急げ」とキレ気味に言ったが、トイレに向かったみたいだった。
靴を脱ぐのももどかしく、土足のまま家に上がり、茶の間のソファーに座っていた親父にも「津波が来っから逃げる準備しろ。」と言ったが「大丈夫だ。」と言って動こうとしない。
私は靴をはいたまま二階へ飛ぶ様に駆け上がった。