彼女とは一度だけデートらしき経験がある。高校の同学年だったが、同じクラスになったことはなかった。かわいいというより知的な美しさを漂わす女性だった。そのデート、たまたま帰宅が一緒になり、上ずる声で彼女を喫茶店にさそった。時間があったのか、私の誘いに気安く応じてくれた。2時間、一方的に私だけがしゃべった。完全に舞い上がっていた。何を話したのか覚えていない。しかし、彼女の微笑だけは今も思い出せる。別れ際に「大学生になったら付き合えないかな。」と自分につぶやいた。彼女にはいえるはずもなかった。その後、2人には入学試験があった。彼女は医学部に合格し、私は予備校を不合格した。それから10年。高校の同窓会報が送付されてきた。彼女の名字はMからKへと変わっていた。結婚したのか。当たり前か・・・。それから20年。私は高校の同窓会に出席した。あの彼女がいた。高校生の時と変わっていない!これは本当に驚いた。参加者は当時のマドンナもいたが、想像を絶した「超おばはん」化が進んでいた。これにも本当に驚いた。
彼女は京都の大きな病院で勤務医を長年務めた後、現在は無医村ではないがそれに等しい場所で開業していた。地域医療者とともにコンビニの経営者だと、笑って近況報告をした。
あるときは女医として聴診器を手にし、あるときにはレジの前で「2円のオツリでよろしかったですかあー?」だそうだ。彼女のコンビニ診療所の医療器具は聴診器と血圧測定器具程度。その代りに自作の医療機器を使用するという。実は医療機器は型式承認など厚労省の認可がおりていないとの事。自作なのが認可のネックかもしれない、と。その医療性能は彼女の全能力を駆使する自信作。大学病院などの何億何千万もするのと同等、いやそれ以上だそうだ。制作費用は90万円程度の由。OSや基本設計は自分自身が勉強・研究して、どの企業にも世話にならず、全く独自の開発制作という。大したもんだ。彼女ならできる。無条件で私はその話を信用した。しかし、その自作診療は絶対内密よ!とのこと。未認可機器を医療行為に使うと医師法違反になり、田舎コンビニ店主の収入だけでは、ちとつらいらしい。彼女、実は未婚。両親が離婚したので母親の姓を名乗っているとのこと。現在の医療はやはり高額。この機器が承認されれば、もっと廉価で診察が受けられる。ほとんどの医者はわかっているのだが、医師会や大学が怖いのか、誰も口にしない!だそうだ。彼女は興奮していた。興奮彼女の写真が手元にない。雰囲気の似たタレントの写真を張り付けた。
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