天王寺屋！

弁慶ーＮＨＫテレビジョン

中村富十郎丈が亡くなられた。

あんなに元気だったのに・・・ちょっと体調を崩して入院、
なんてことは高齢になると珍しいことではないし、膝でも
悪いのだろうとあまり気にしてはいなかったのだけど,
まさか亡くなられるとは思いもしなかった。

７０歳を過ぎて子供を作ったことも話題になったが、それ
よりも矢車会で８０歳近くになって弁慶を演じてみせたこと
のほうがもっと驚いた。しかも１０歳の実子の義経と一緒に
だ。何から何まで空前絶後。今思うと執念の弁慶だった、

母親が吾妻徳穂だから踊りが上手いのは当たり前だが、
何と言っても、声が良くて声量があり、江戸っ子らしくて
シャキシャキとしているところが良かった。時代物にしても
世話物にしても強い印象を残す歌舞伎俳優だった。

年齢を感じさせずいつも元気だなあ、という思いしかない。

ずいぶん前に身内の結構披露宴で乾杯の音頭を取って頂いた
ことがあった。あのときもすごいオーラが出ていたが物腰は
柔らかくて何とも言えない色気が出ていたのを覚えている。
すごい存在感がありました。

ウーン、正月早々ちょっとショックですねえ。

ＮＨＫの「中村富十郎さんをしのんで」を見ていたらジーンと
きてしまった。「鏡獅子」を踊る富十郎丈の後ろで三味線を
弾いていたのが何と親戚の勉ちゃんじゃないか。細くて若く
て別人みたいだけど。こないだ浅草の正月歌舞伎でバッタリ
会ったばかりだ。２０年前の鏡獅子。

またまたジーン。涙、涙。

もっともっと役者をやりたかっただろうに。残念の一言。

「旅の衣は篠懸のォ露けき袖やしほるらん・・・」


ご冥福を祈るばかりです。