にと&兎兎

いつも私の心を笑顔にしてくれた兎兎は13歳でお月さんに旅立った。兎兎を撫でた温もりはまだ私の手の平にある。

「兎兎4才を振り返って・・・・」

2011-03-21 | 2001年兎兎4才

この年の写真は一枚もなかった。このことに、私自身、驚いた

でも、この年は、今まで怪我も病気もしてこなかった兎兎が、初めて病気に罹り、初めて病院に掛かった年だ。

ある日、兎兎は全く食べなくなった。

病院に一度も掛かった事がなかった為、どこの病院に行こうかと戸惑った。犬猫を診る病院は多いのだが、ウサギを診る病院は殆どなかった。近所の動物病院の中から、小動物も診ますという病院に、電話を掛けて訊いてみた。「ウサギも診ますよ」と言った病院に連れて行った。

若い獣医が、兎兎の口内を診たり、X線撮影をしたりした。獣医は「前歯は伸びていませんし、お腹に毛玉もありませんでした。ですが、お腹にはガスが溜まりきっていました。腸の動きを促進させる薬を投与しましたが、ガスがかなり溜まっている上に全く食べないとなると、ガスが抜けるかどうか・・・・」と言った。私はあまりのショックに項垂れて帰った。でも、帰ってから3時間ぐらいだったかな(?)、兎兎の傍にいたら、異様な臭いが鼻を突いてきた。私は火事かと思って、窓をあけて辺りを確認した。煙は出ていなかったので、大丈夫だと思った直後、もしかして家のガス漏れかもしれないと急いで台所へ。だけど、ガス栓は閉まっていたし、臭いもしない。だったらあの異様な臭いはなんだったんだろうと考えて、もしかしたら兎兎のお腹のガスが抜けたんじゃないかと思った。でも、兎兎は全く食べることなく、翌朝をむかえた。

病院に行って、X線撮影をした。獣医は「ほとんどガスが抜けています」と言った。やっぱ、あの異様な臭いは、兎兎のおならだったのだと思った。だけど、喜ぶことはできなかった。獣医は「ガスが抜けても、全く食べないというのは・・・・。なぜ食べないのか、その原因が全くわからないので、もう手の施しようがありません。できることは、毎日、栄養剤の点滴を打つことだけです」と言った。それを聞いた瞬間、私の目から涙が溢れ出した。恥ずかしいから泣きたくないのに、涙は止まらなかった。

それから、兎兎は毎日、点滴を打ちに行った。だが、兎兎は点滴を酷く嫌がった。ある日、点滴を嫌がる兎兎は、診察台から床に飛び降りた。幸い、怪我はなかったが、診察台に戻しても何度も飛び降りようとした。そのため、床の上で点滴を打とうとしたとき、初めて兎兎が自らの意志で私の膝上に乗ってきたのだ。それも、膝上だけでなく、ずんずんと胸の方まで上ってきたのだ。

抱かれたり膝上に乗ることが大嫌いな兎兎が自ら、私の膝上に乗り、私の胸まで上ってきて、獣医が引き離そうとするのにも抵抗し、こんかぎり嫌がったのだ。そのとき、私の胸は凄く痛んだ。こんなにも嫌がるのに、このまま点滴を毎日続けていいものかと。ただ長生きして欲しいという私の願望だけで、こんなにも嫌がる兎兎の意思表示を無視して、苦痛ともいえる点滴を続けていいものかと。(点滴を経験したことのある私は点滴が苦痛だった)

兎兎が喋ってくれれば、これからどのようにしたいのかを聞くことができるのだが、それができない以上、私が決めるしかないのだ。私は本当に悩んだ。懊悩した。(今思い出すと、10才を越えてからの兎兎と比較したら、まだ4才という若さだったから、食事をまったくしなくても、あんなに暴れまくれるだけの体力があったんだなあと思った。いや、あのとき馬鹿力を出した兎兎は、私に強く言いたかったのだろう。懸命に伝えようとしていたのだ。「違うよ。奥歯だよ。奥歯が舌を傷つけて、酷く痛いんだ。ただそれだけなんだよ。それをどうにかしてくれればいいだけなのに、なぜ苦痛をともなう点滴なんかするんだよ。いやだよ。点滴なんかしたくないよ。やめてよ」って。。。)

考え抜いたとき、別の病院に行ってみようという考えが湧きあがった。でも、どこの病院に行ったらいいのか分からない。途方に暮れかけたとき、ふとインターネットが思い浮んだ。インターネットで調べたら、もしかしたら、ウサギを診てくれる良い病院の情報があるかもしれないと。すぐに調べると、あった。それも、市内だった。

翌朝その病院に連れて行った。獣医はすぐに、口の中を診て、原因を見出した。獣医は「奥歯の不正咬合です。とくに右側の奥歯が変な方向に生え伸び、その尖った先端が、舌を酷く傷つけています。血も出ています。そのため、痛くて食事ができないんです」と言った。

「ミニウサギは、人間がウサギをペットにしようとして作り出した雑種で、普通のウサギより耳が短く、顔も丸くなっている。顔が丸くなったことによって、普通ならきれいに生える奥歯が、きちんと生えなかったり、生えても内側や外側に曲がったりして、そのまま伸び続けるため、舌を傷つけたりします」そんな獣医の話を聞いて、私も親不知歯がちゃんと生えずに抜歯したことを思い出した。でも、人間と違う所は、ウサギの歯は、成長し続けるということだ。獣医が「前歯は齧り木でいいが、奥歯は牧草を沢山食べさせることです」と言った。私は、前歯が成長し続けるということは知っていたのだが、奥歯も成長し続けるということは知らなかった為、愕然となった。

兎兎は麻酔をされ(完全に眠らせなかった。完全に眠らせると、そのままお月さんに旅立ってしまう可能性があるらしい)、伸びた奥歯は切られた。でも、それで済みではなかった。全く違う治療を長期間して、全く食事ができていない兎兎は、抵抗力が落ち、肺炎を惹き起こしていたのだ。獣医は「肺炎は命にかかわる病です。奥歯の不正咬合よりも肺炎の方が深刻です。長い間食事ができていないので、体力は酷く落ち、抵抗力も酷く落ちています。ですので、肺炎を克服することができるかどうか・・・・でも、頑張りましょう」と言った。私は、最初からこちらの病院に来ていたら肺炎には罹らなかったはずだ、と落ち込んだが、頑張ろうと思った。兎兎が頑張っているんだから、私も頑張らなければと。

ウサギに薬を呑ませる仕方を教えてもらい、栄養剤と薬をもらった。

帰宅して、すぐに兎兎をうち(サークル内)に入れると、その途端、兎兎は真っ直ぐにラビットフードの容器へ近寄ると、まだ麻酔が完全に抜けていないのに、ふらふらしながらも、かつえたように物凄い勢いでラビットフードを食べ出した。それを見て私は、よほどお腹が空いていたんだ。お腹が空いていたのに、目の前に食べ物があっても、食べれなくて・・・。兎兎はさぞ辛い思いをしただろうと考えると、胸が締め付けられた。それと共に、ラビットフードを食べる兎兎の姿に安堵した。そんな兎兎は、そのままラビットフードの容器で一眠りし、再び食べる。そんなことを数回繰り返した。

薬は、朝と晩の二回、呑ませるのだが、私一人で呑ませなければいけないので、洗濯ネットの使い方を教えてもらった。病院でそれを使うと兎兎は非常に大人しくなってすんなりと呑ませることが出来た。なのに、なぜか家では四苦八苦。兎兎は暴れまくって、呑ませることが出来ない。だから、私なりのやり方で、呑ませた。それは、太股で兎兎を挟み込んで(羽交絞めにして)、兎兎の頭部越しに口元を覗き込むような姿勢で呑ませるのだ。(前歯に薬の液を落として、前歯から薬を口の中に滴り落とす)(一生、その呑ませ方で呑ませた。でも、きっと私の薬の呑ませ方に、兎兎は不平不満を言いたかっただろうなぁ)でも、太股に兎兎を挟んでもかなり抵抗された。その抵抗だが、最初は弱かったのに、徐々に強くなってきた。それは、元気になっている証拠だった。薬を呑ませる私は、かなり疲れる作業となったが、嬉しいことだった。(こんなに暴れまくって薬を拒否する兎兎だったが、10才を越えてからは、薬を呑ませるのが楽になった。それはたぶん、高齢で体力がなくなった為に暴れなくなったからだろうと思う)

兎兎は肺炎を克服してくれた。奥歯の不正咬合は、これから一生、定期的に切っていく事になるのだが、命にかかわる肺炎を克服してくれて、本当に胸を撫で下ろした。この後、兎兎は再び、勝気でやんちゃなになった。

兎兎が全く食べなかったときのことだが、兎兎はその間ずっと、サークル内にあるウッドハウスの上に乗りっぱなしだった。兎兎は、ウッドハウスの上にはよく飛び乗っていたが、ずっと乗りっぱなしになったのはこの期間だけだった。私が兎兎を降ろしても、すぐにウッドハウスの上に飛び乗った。降ろしても降ろしても上に飛び乗った。絶対に下には居たくないという感じだった。それは本能だったのだろうか?身体が弱っている被食者の本能として、高いところで捕食者を監視して、すぐに逃げられるようにという行動だったのだろうか????

コメント
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