あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

母娘の共通項

2022-03-14 | 半径30メートルの事件

急いでいた。

玄関でいつもの黒い靴を履いて

バタバタと出かけた。

出先でその靴の左側に

何かねっとりした液体が

くっついていた。

いつ汚れたんだろう?

すぐに拭けば良いのだけれど

急いでいた。

出先で靴を脱ぐ時も

あ~ねっとりした液体が

くっついていて嫌だなと思った。

もう一度それを履いて

別の場所で脱いで

用事を済ませてから

また履く段になって分かった。

それは私の靴じゃない。

母のだ。

母は23,5のはず。

24,5の私に履けるとは。

分厚いソックスを履くので

大きめの靴にしたのだろうか。

その母は週1,2回の

デイサービスを楽しみにしている。

今日が何曜日か分かっていない。

1日に何度も聞いてくる。

「火曜日」と答えたら

「デイサービスまで後何日」と

数え始めるのでまた

今日の曜日が分からなくなる。

毎日その繰り返しなのだ。

そんなにデイサービスが楽しみなら

週2回行けば良いのに

月6回だと決めて譲らない。

デイサービス以外の楽しみは

ちょっと前までは塗り絵

だった。

86にしては物凄い集中力で

1日中黙々とやっている。

昨今「塗り絵」はブームらしい。

本屋さんでコーナーになっていて

自律神経を整える塗り絵とか

目が良くなる塗り絵とか。

買いたくなるキャッチが並ぶ。

塗り絵のせいか母は朗らかだ。

しかし認知機能は衰えている。

疑わしい原因に歯周病がある。

歯医者に誘っても「行かん」と

拒否するからたぶん

2年以上歯科に行っていない。

塗り絵に飽きたところで

お友達からもらった「ナンプレ」に

「はまった」母。

1から9までの数字を

縦横と9個の枠内に

ダブらないよう入れて行く。

私がやり方を教えても

1から9までを縦横に

並べようとする。

自分流からけして逸脱できない母。

頑固なんだからっ。

数字を1つ間違えると

全部が意味をなさない。

できるはずもないのだが、

ずっとずっと取り組んでいる。

おかげで私への干渉が少ないから

気分は楽だ。

目がバシバシすると訴える母。

視力が落ちたようだ。

人はつまるところ何かに

「はまらなくては」人生の間が

もたない。

人は熱意を傾ける何がなくては

生きていけない生き物なのだ。

それとも・・

人類で私と母だけが

そうなのかなぁ?

母と娘のバトルとしばしの停戦は

続く。

 

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