あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

京都嵯峨野~ひとり慰安旅行(後編)

2023-07-18 | 私が歌手

嵯峨野まで歩くことにした。

朝9時半。

もう多くの観光客が歩いている。

レンタル浴衣のカップルが多かった。

「竹林の小路」は鬱蒼とした竹林で

足を踏み入れると涼しい。

人力車と竹林は絵になる。

ちょっと前

観光地で対応する人は若くない

おじちゃんやおばちゃんの

比率が高かった印象だが

少なくとも嵐山周辺では

働く人はみなさん若い。

外国人に臆することなく

英語で対応していて清々しい。

人力車のおにいちゃんも

英語だった。

竹林を抜けてしばらく閑静な

住宅街を歩く。

ゴミ箱やトイレも和の街並みに

溶け込むようにされている。

開けたエリアは特別な田んぼ

らしい。

素敵な佇まいだと思えば

去来先生の墳(とはお墓のことか?)や

天皇家皇女のお墓もあった。

目的の「祇王寺」は山際の

行き止まりにあった。

苔に覆われていて小さな庭園の赴き。

樹木の緑が美しい。

広大だった往生院の境内にあり

尼寺として残ったが廃寺。

明治時代に元京都府知事だった方が

寄付した別荘だそう。

仏間という感じの座敷に上がる。

壁面に清盛と祇王らの像が並ぶ。

仏様の写真を撮らないようにと

張り紙があった。

祇王の像の前に座る。

「平家物語 祇王の段」を

作曲した縁がある。

ほとんど誰にも知られないし、

誰からも支持されない地味な

テーマ性。

表に出ない活動で願わくば

ちょっと表に出たいといふ

矛盾だらけのシンガーソングライター

とは新屋まりのこと。

そっと歌を奉納する。

歌い終えたら庭仕事中の男性が

いつの間にかそこに居て

目があった。

何をしているのかと気になった

のでしょ。

なので清盛公を歌にした

「安らけく平らけく」を歌いそびれた。

清盛公と祇王のお墓もあった。

清盛公の本当のお墓はどこにあるか

分からないと聞いたことがある。

平家を歌うことになった経緯は

以前書いた。

祇王寺を出たところに

小さなギャラリーがあった。

小林芙蓉という書家の個展を

されていた。

実際にお会いしたことはない。

2年前だったか、

奈良県三輪神社の会館で

芙蓉先生を中心とする会の催しがあり

歌わせてもらった。

ふらりと入ってお店番の方と少し

お話をした。

1日半ぶりに他人としゃべった(笑)

その女性も平家に縁があるそうだ。

先生と出会う人は平家に縁ある人が

多いと言われた。

嵯峨野の町並み保存地区へ

行くつもりだったのにうっかり

忘れて嵐山方向へ歩いていた。

チェックアウトの正午まで

ギリギリだったが引き返した。

ゆるい上り坂を速足で歩く。

背中を汗が流れるのが分かる。

それでも歩けるとは恵まれている。

車椅子の男性が登ってくるのに

出会い、そう思った。

帰り道で後ろからその車椅子の男性に

軽々と抜かれたのだけれど。

スイスイと気持ちよさそうだった。

私も載れるなら載せてほしかった。

竹林の小路は朝より人が多くて

竹下通りみたいだった。

外国語が飛び交い

日本じゃないみたい。

人をかき分けて渡月橋を渡り

11時55分に宿に着いた。

水浴び直後のような汗を

シャワーで流せてよかった。

5分延長になったがセーフ。

しかし外に出るともう汗だく。

素敵なカフェでひといき。

メニューを見ても

何が出てくるのか分からないまま

オーダーした。

おばさんを自覚した。

パンみたいなビスケットに2種類の

ジャムと大量の冷たい紅茶の

おしゃれなセットなのだった。

3時間近く歩いてさすがに疲れた。

普段あまり歩かないし

股関節が不具合な私にしては

頑張った。

嵐山の庭園を見たかったが

欲張らないことにした。

まっすぐ京都駅を目指すと

新幹線まで少し時間があるので

晴明神社を目指す。

路線バスでの移動も楽しかった。

晴明神社は陰陽師で知られた

安倍晴明が祀られている。

若い人で賑わっていてちょっとした

ブームなのかもしれない。

本日の祈祷は満席と張り紙が

出ていた。

手を合わせると風が

ぴゅ~~~っと吹いてきた。

人が途切れるのを待って

もう一度手を合わせてみたが

突風が今度はびゅ~~~~ん!

と吹いてきた。

凄くリアクションが良い神社だった。

京都駅まで二条城や西本願寺

という有難くて巨大な建造物が

目白押し。

私の観光ルートのチョイスは

地味かもしれないが私なりの

楽しみ方をできた。

誰かと一緒だったらこんなに

歩かないだろうし

行き当たりばったり過ぎるのも

嫌がられるだろう。

京都駅で漬物を沢山買って

葛切りを2箱お土産にした。

新大阪に降りたらラーメンを

食べたいと思った。

目の前にラーメンとはラッキーだ。

しかも小麦粉じゃなくこんにゃく。

いわゆる「しらたきスープ」に

近いがおいしかった。

新大阪発の新幹線に無事に乗った。

色々なおいしいものを食べて

充実した旅だった。

ついきつい口調で文句を言いたくなる

母とお留守している麻呂に

「ありがと」と心の中で感謝した。

一人と一匹が待ってくれるから

旅にも区切りがつけられると

いうもの。

 


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