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風と光の北ドイツ通信/Wind und Licht Norddeutsch Info

再生可能エネルギーで持続可能で安全な未来を志向し、カラフルで、多様性豊かな多文化社会を創ろう!

「ドラゴンAfD(ドイツのための選択肢)退治するメァツ」

2025-02-26 04:40:00 | 日記
Wahlsieg für die Union, ein großer Rechtsruck und eine neu erwachte Linke - so kommentieren internationale Medien die Entwicklungen zur Bundestagswahl.
キリスト教民主・社会同盟勝利(Union=同盟)、拡大一方の極右化と新たに目覚めた左翼党‐と、連邦総選挙に対する海外メディアがコメント
https://www.tagesspiegel.de/.../so-kommentiert-das...
P.S."風と光の北ドイツ通信/Wind und Licht Norddeutsch Info"(https://blog.goo.ne.jp/nichidokuinfoでもシェア
ドイツ総選挙で明らかになったのは社民党首相オラフ・ショルツの難民対策に対する無為無策とウクライナ軍事支援に対する有権者の懲罰投票だったということだろう。その結果、難民排除の極右AfD大躍進とウクライナ事情抜きで反戦の左翼党の復活につながったと言える。どちらの理由も短絡的だが、有権者の気持ちはそういうことだ。
深層ではハンブルク市長からUnionとのメアケル首相下での大連立で副首相を務めた経歴が全く生かされず、世界の危機的状況下でショルツには必要な指導力が欠けていることが露呈した事実がある。
私自身これほど言葉少なく、喫緊の課題について説明責任を果たそうとしない首相にそれが本人の戦略なのか能力不足なのか判断できなかったのだが、最後にこの方にはまったく政治的実行力がないのだと解り、少なからずショックだった。思いついたのは“ピーターの法則(『〈創造的〉無能のすすめ―(ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル 田中融二訳)』ダイヤモンド社、 Peter-Prinzip “Die Hierarchie der Unfähigen” Rowohlt Verlag)“という言葉で、その意味は市長や副首相までは無難にこなしたが、国の頂点での責務では能力の限界に突き当たり、なす術がなく言葉を失ったのだ、と言うこと。彼には安部元首相やトランプのように口から出まかせのデタラメで人をケムにまくにはあまりにも上品で、その為の下司な度胸もなかった。オルタナイティヴ・ファクトのフェク時代、ポピュリズムに対応するにはそれ相応の言語が必要で、お上品にお高くとまっていたのでは対応できない。それをEstablishment(体制既得権者層)といい、今回の総選挙では罰せられるべくして罰せられた、という他ない。
Unionのフリードリヒ・メァツ党首が次期首相に就くが、喜んでばかりもいられない。投票率84%で得票率が28.5%と連立を必要とし、その相手は数からして社民党しかない。メアケル首相時代の連立再来だが、立場はメアケル元首相より弱く、国の内外の状況も比較にならない緊迫した危機的現実が待っている。そんな時に「得票総数で増えた」などと政治家の典型のような子供だましの言い訳などしている時ではなかろう。
第一に取り組むべきは難民問題の解決。AfDを躍進させた問題だが、ショルツは茫然自失するばかりで、最後までその実態を把握していなかったのではと思われる。我々のように電車やバスで移動すれば、その現実が解るのだが、公用車で移動するだけでは無理でしょう。車内の80,90%が外国系、私なども頻繁にアラブ系や東欧系の男が大声で罵っていたり(これが普通の口調だと聞いた)、女性も傍若無人の態度で携帯にむかって、異国の言葉で怒鳴っているのを目、或いは耳にし、「場を弁えろ」と言いたくなり、越権行為と自覚しながら、腹の痛みを抑えて、実際そう注意したことも一度ならずあった。しかし、一般の善良なドイツ市民にそんなことを言うのは絶対タブー、即外国人差別と非難される。
その解決は欧州共同体との連携でしかできないが、同じことはもっと大きな課題であるドイツ経済の立て直しにも言えよう。この危機下で“債務ブレーキ”という経済成長期の2009年に導入した政策に固執し、主要先進国で唯一ゼロ成長。責任は連立政権で財務金融大臣だったドイツ自民党首リントナーの借金ゼロ原理主義にあり、その為今回の総選挙で5%条項にかかり議席ゼロと罰せられたのだが、堪らないのは連立相手の社民党と緑の党でそのとばっちりで得票を大きく失った。
日本の国民総生産230%の借金を考えるまでもなく、国内の借金でインフラなどに投入する借金が、ギリシャ危機の当時のような外国の借金でその返済に首が回らなくなったのとは違う、という事情も考慮すべきだろう。誤解を避ける為に言っておくが、平時にアホ(ソ)タレ(ロ)の遊興費に国の借金を当て、平気というのとは違う世界経済の危機に借金でニューディール政策をとれ、と言っているのだ。
特にドイツ自動車界は中国市場一辺倒で習のE-自動車政策の落とし穴にはまり、ハイブリッドや火力発電で走る電気自動車よりは燃費の少ないガソリン車の方が環境車だという事実を無視したツケを今払わされ、危機的状況に陥った。家庭用電気さえ十分にないアジアやアフリカの国々を考えるまでもなく、少なくともここ十年はトヨタのように全方面政策をとるべきだろうが、ハイブリッド技術をトヨタにお願いするには沽券にかかわると、おそらくは電気自動車にこだわり続け、墓穴を大きく深くするばかりのような気がして、心配だ。ドイツ自動車界には謙虚な理性を期待したい。
当時米大統領ビル・クリントンが言った"It's the economy, stupid"は今こそ思い出されるべき原則だろう。ドイツもまずは”債務ブレーキ”を外し、ニューディール政策を早急に実施すべきだが、その端緒は現在次期国会が召集するまで政務を執る現政権と、これまで反対一辺倒だったUnionがここに来て自政権で資金不足は火を見るより明らかなので、今のうちに基本法から“債務ブレーキ”を外そうとの動きが出て来ている。
次期連立政権では極右AfDと左翼党が議席の30%近くを占め、少数派条項という基本法変更に歯止めをかける条項で、反対する恐れがあるので、次期首相のメァツUnion党首は掌を返すようにブレーキ解除を言い出した。勿論党内や連立相手の中にもそれは無理などというのがいるが、一応体裁を整えているだけ、ブレーキ解除は時間の問題だと思われる。
責任ある政治家なら時代が変わり、状況が変化すれば己の政治的態度を変えるべきだという、現実主義の勇気を持つべきだと思われるが、一昔前なら私もそんなことは言わなかったで笑!


東(ひがし)洋(ひろし)FB詩集「輝く闇に反逆せよ」Ⅱ

2025-02-23 21:59:22 | 日記
怒りなのか焦燥なのか、私は攻撃的な感性の導くまま、街を彷徨い、手当たり次第敵意に満ちた眼差しで、鬱憤を晴らし、哀しい孤独の中にいた気がする。青春の代償と言うのは残酷なものだ。その記録をまた10篇ここに曝します。請う、ご笑覧を。
(FB詩人の会‐https://www.facebook.com/groups/2766349846834927‐に投稿し、読み返して補足が必要ではと思いみっともないことを承知でここに弁明させていただきます:何故これほどアグレッシブでダーティな言葉が迸り出るのか。それは異国の日常でぬくぬくとなし崩しに順化されていく己に対する怒りなのだろうが、またそれが私を私に引き戻してくれる抵抗の動力源だったと思われる。この時期私には抒情を拒否するほか、日増しに昂じるやわな精神を鍛える道が見えなかった。その意味で、どん底のもがきと、聞けば嫌悪をもよおしかねない耳障りな暴言もお許し願いたい)

“はっ、日本人”

薄汚ねぇ!
手前らそれでも人間か
悪意が腐る
憎悪が膿む
日本人
はっ!
誠実で愛想が良くて
いつも微笑を絶やさない
絶やせば嫌われ
愛想が悪けりゃ相手にされず
不真面目だと嘲われる
臆病者の具体性が
媚びを売る

ホンダ、ソニー、キャノン
フジヤマ、ゲイシャ、ウタマロ
ゼン、ノウ、カラテ

それで?
マヌケ!
なんのために?
お国の為なんて笑わすんじゃネェ

自分のために?
ハッ!
手前が誰だかも識らないくせに

“大人しいだけで・・・”

見ろよ!
まったく大人しいものさ
手前で満足してんだ

“あの人は大人しいが信用できる”

時折裏切られる
期待の誕み出した幻の噂

“大人しいだけで・・・”

腐肉の美臭が漂う
濡れた大陰辱をめくると
インポテンツの種馬が
出てきた

名誉を望むにゃ
才能に自信がない
色事なら負けないと
思ってみたいが
知ってる女は“嫁さん”一人

もともと大人しくなんかないのだが
無頼を生きるにゃ
誠意が足りない

“豚だよ、お前達は!”

豚!
糞のこびりついた
腐臭に酔いしれて弛緩しきった顔
みっともない
小便を撥ね飛ばして
水ぶくれの腹を
恥じることなく
豚だよ、お前は!

四畳半でも二匹がオマンコ
ハ、ハ、ハ、ハ、ハッ

豚!
話し合いに協調を
からかってみてもお前達には解るまい
なにしろ
手前のクソを喰って
主人に飼い草の感謝をしているお前達だ

ヒーヒー鳴きながら
いつもケツを叩かれ
たまにはジョギングもしないと
中の中が平均的意識
生活満足度が小踊りしながら
肥りすぎを気にしている

知らないんじゃない
解っていてやらない
豚だよ、お前達は!

“しみったれてんだよ!”

しみったれた格好して
サツ束の後ろに内弁慶が隠れている
結構景気がいいんだってネ
詐欺のことじゃネェ!
“満州じゃ
数えきれないチャンコロの首を切り落とした“
日本刀!
屋内競技場で忘年会
入場無料
ただし日本人だけ!
しみったれた格好して
それでメルツェデスじゃ
嘲う気にもなれねぇや
なにしろ
最近の日本商品は中身で勝負
そう
お下劣に罵られても
ピンとこない程
しみったれてんだよ
手前達は

“時を刻む無謀”

時が過ぎ去っていことについて
石に訴えることはやめた
あざやかな新緑の灰の
あまりにも見え透いた
悪意こそ
時を止める鍵だと
焦りにも似た
不安定な確信を
石に刻んだとて
私の
この救いのない満足感を
崩すことはできまい

私は強く
  逞しく
  なによりも狡猾で
永劫に凱旋し続ける
心優しい帝王である

無謀なことは
宙宇の中心を探すほど
心楽しい
逆説ではない
だから
なによりも美しく
無駄なことを
たとえば私は
恐れない

“革命戦士の資格を喪う”

さて
一廻りした
見るべきものは見た
聞くべきことは聞いた
地球の大きなことも知った
宇宙の
深く遠いことも解った
それでも
女に近づく恐ろしさに戦く私は
革命戦士の資格がない
寂しさを
居直りにたたみ込んで
“始末”するほど
この世の中に
未(魅)練があるわけでもない
同じようなことを
いつか書いたと思う
心が再び
落ち着きを喪って狼狽え始めた
さて
一廻りした
しかし
それが螺旋階段でなかったことが
唯一私の見込み異いだったと
私は弁明し
革命戦士の資格を喪う

“幽気のない私”

あわただしい黙想から目覚め
窓を開けた途端に
海に出た
砂浜で田植えに余念のない
都市のエンジニアを嘲えるほど
私が
幽気を持っているとも思えない
エイトビートのリズムに乗って
崩れかけた波をたて直す
あれは潮騒
時は海だったと詩人が言っていると
ボブ・ディランが歌っていたが
海が規則的に
大きくよろめくことに
私は
我慢ができない

“私は無”

午前三時と言う
文字盤の滑稽な風景が
私を
軽率な善良さから切断した
まことに
始業時のベル程
私を複雑に
魅了したものはない
国家と犬の関係について
気まぐれに
嘆いてみたのも
そんな時だったような気がする
潮騒が 
   面を伏せて
        黙想する
私は

“なし崩しの転向”

パスポートに封じ込められた自由が
今日
抜き差しならない生理的欲求に従って
ただれ落ちる朝陽に照らされ
金属質の皮肉の芽を
この上なく
淫らに押し出す
今日
重質の小鳥達のさえずりも
国境にさえぎられて
恥じ入るように
もと来た道を返る
帰国して
讃歌する“君が代”に
なし崩しの
転向を歌い込んで
今日
パスポートを焼き捨てる

“メッセージのない伝言板”

贈り忘れた
贈り物が
ええい!
目ざわりだ
偽りの悪意程
包装を手こずらせるものはないと
やっと
今頃になって彫り込む
メッセージの無い
伝言板
僕は
君を憎んだことは無い
だから
誕生日祝いに
駆けつけて
一言
愛は爆発しなかったと
つたえなければ

東(ひがし)洋(ひろし)FB詩集「輝く闇に反逆せよ」I

2025-02-16 03:10:30 | 日記
また、書き溜めた彷徨う青春の拾遺を曝け出す。ドイツでももう一年半が経つと、それもまた日常の日常が戻り、異国の街に溶け込んでいく中で私は最後に燃える反逆の炎を辛うじて見つけた。その灯りを手に捧げ、迷わされた輝く闇を暴く作業に取り掛かった。あまりにも安易な日常が私を不安にさせ、憎悪せよ、牙を剥け、馴致されることを断固として拒否せよ、と絶望の叫びをあげていた。それが救いだったのだ。

“ワンダ・マイヤー”

ネブラスカの小さな村に誕まれ、
銀色のポニーに乗り
白い雲と二匹の蟻を従え
負けない楽園に発った
優しかった幼稚園
ママの手を振り切って飛び出した小学校
初めてのボーイフレンドを招待した夜
影のように寂しいそうな両親に
“ママ、パパ!人生は楽しむものよ
苦しむものじゃないわ“
十歳の少女が哲学する
銀色のポニー“リンカーン”に乗り
小蟻のムッシュと見上げた自由の女神
白い雲が鮮やかすぎる青空を行進する
“OK、ムッシュ、リンカーン
ここでお別れよ、私はもう十五歳!“
いつも熱かったハイスクール
恋人と呼ぶには早すぎるかも知れない
それでも初めての夜泣きはしなかった
“人生なんてそんなものよ”
十八歳の娘が宙に舞う
“さあ、急がななきゃ、今まで早すぎた
ことが、これからは遅すぎる“
‘ワンダー!“と呼びかけた男に
一人の女にされた
珍しいことじゃないし、驚くことでもない
“だって、彼はとってもうまく口笛が吹けたんだもの”
悲しむよりは
楽しむことを考えよう
“人生なんてそんなものよ”

”ハンス・マグヌス・エンチェンスベルガーの捧ぐ詩“

いつでもいいから
思い出した時に
反逆と狼について
短い物語を作ってみてほしい
狼は
きっと一人でメタセコイヤの森よりは
中央アジアの草原を駆けているだろう
地平線に燃え移りそうな
赤金の夕陽に向かって
どこでもいいから
例えば
東京でもニューヨークでも
パリだってさしつかえないのだけれど
敵意に充ちた目を
赤さびた夕陽の前で
曇らせている少年がいたら
話しかけて欲しんだ
”君の反逆を安売りしないよう
狼と連帯したまえ“

“恐怖し、絵具をとれ”

越えなければならない
肩を怒らせ
眉間に力を込めて
試してみなければならない
裏が出るか
表が出るか
他人に根無し草と言われようと
恋人にカイショ無しと言われようと
未来に絵を描くことをやめて
真新しい絵具をとって
一筆一筆
塗り込めてゆくんだ
絵は完成されたものではない
完成するもの
未来は
夢見るものではなく
建設するもの
使い古しの絵具だっていいんだ
一秒一秒
自分の手で
自分の意思を塗り込めるんだ
絵は観賞するものではなく
描くもの
敗北の恐怖に慄く
自然を虚わる必要はない
恐怖し
そして
絵具をとるんだ

“明日が匂う”

花が咲く
ここかしこに
美しい花が咲く
昨日気づかなかった
娘の胸もとに
黄色い花が咲く
繊細に輝く花弁に
力強い意思を映し
黄色い花が
娘の胸もとに咲く
公園の
広場で
サッカーに興じる少年達
の中に
ただ一人の少女
金髪のポニーテイルを
紅いハチ巻きでなだめ
思い切り蹴ったボールが
春を越えて
夏に飛び込み
快活に
転げまわる公園の広場
昨日は思い切り走った
今日は思い切り蹴った
花が咲く
息づく土に手を触れ
指先についた小さな塊まりに
舌を触れ
花びらに顔を近づけ
世界を感じ
明日を匂う

“止まらない回転木馬”

うるさいと思うことが良くある
とりわけ煙
そして思い出
単純明快な美しさを犯す
それは
透明度の敵だ
台所のゴミ箱の臭いだって
愛することが出来るのに
彼らがそれを許さない
それが僕だから
それを知っているから
僕は絶望しない
見えないものより
見える物が恐い
知らないことより
知っていることが
僕を曖昧にする
だから
煙と思い出が
僕を希望させる
それが
僕にはうるさいことなのだ
絶望はできない
希望は信じられない
そして
僕はいつまでも
回転木馬に乗って
泣きながら
降りようとは思わないのだ

“尼崎”

初めて化学消毒した水を口にした日
むかつく亜硫酸ガスと交換した
故郷を吐き出した
校庭の端に蹲り
世界も
愛も知らなかった少年は
目に泪を浮かべ
瀕死の太陽を映した
兄さん!
故郷の山河を背負って
早朝のバス停に佇み
まさか
永遠にガラス張りの都市に
亡命を希望するなんて
弟よ!
都市の夜について
一通
手紙を書いてくれ
都市は今 酷寒
夜はありません
街灯が真昼のように
ああ 兄さん!
あなたはもう泥沼のような世界も
売僧の爽快な偽善も
知っているはず
都市の夜は
真昼のように明るく
ただ寂しいだけです
時折思い出したように街に出かけて
ニンゲンを恐怖する
立体交差する群衆の中で
ある時
飛び出しナイフを構えて
共同行為を哀願する
なにしろ
未熟者で
それに久し振りにの恐喝なので
娼婦一人
道連れにできなかった
尼崎は今日も少年を拒否して
スモッグの中にうっすらと沈んでいます

“反逆とはとっぽい”

血は?
真っ赤な反逆の血は?
おお 君!
反逆とは今どきとっぽい
血はない!
血は泣きながら漂泊された
君が書斎で
快心のラブレターを書きあげたとき
私は
愛を捨てたのだ

“正方形の竜巻”

公園にはいかないことにした
ガイコツどもの狂宴に招かれて
飽き飽きする程呆けてみたが
やっぱり
千年の巨樹に囲まれて
手淫する少年の方が
破れた心に
縫込むにしくはない
ややもすると
公園の野外音楽会が
あまりにも捩れているので
心!などと
つい口走ったりする
風伝えに
風を聞く
公園は
正方形の竜巻を駆り
揺れ続けている

“黙殺刑”

噂が立つ
あの人は気が狂っている
近づくと火傷をするような
熱い情!
人を憎む困難さを
おまえに説明したところで
私の決意に
漣が立つわけでもない
黙殺刑
刑場に響く
音を喪った地鳴りこそ
抑圧された
私の呻吟だと
円く
端正にたたずむ
色街のやりて婆に耳打ちする
“僕は声です”
聞こえますか僕が・・・
千キロを超えてなお白いハンカチを振る
あなたの車窓が
今こそ
今こそ
垂直に切り落ちた断崖の底へ
今こそ
あざやかに黒く
消えてゆかぬものかと
私は叫ぶ
私の内へ
黙殺刑!
それは
おまえが生涯をかけて償う
私からの判決だ

“発条仕掛けの微笑製造器”

微笑みが飛び込んできて
いきなり
僕の傍に膝を投げ出した
ああ なんと
無防備に
世界がこんなに病んでいるというのに
君の素朴は
世界を救えないことを
まるで知り尽くしているように
君の微笑みが清んでいる
“できるだけのことをやるの”
清冽な湧き水に
疲れた反逆の足を浸し
戯れに君の胸に触れたら
おお なんと
君の胸は大きく開き
発条仕掛けの
微笑製造器が
僕を嘲笑いながら
轟音をひびかせている
思わず駆け出した僕が
ついに嬉びのあまり
小さな石に躓き
腕で支えることなく
顔面を大地に叩きつけたこと
思いもよらぬことでは
今はない

“押し込められた時”

時を押し込めて
後手にドアを閉める
薄い溜息をもらす
四面、天井、床
全て文字盤で被いつくし
二百六十度の傲慢が
心地よく
打刻する
ふてくされ あぐらをかいて
押し込められた時が
世界史のパラドックスを
今さらながら嘲っている
お前!
お前を置いてきぼりにして
私が今
時の無い世界を
デジタル時計の伴を許し
新しい文明開化の波高く
深く
遠く
優しく旅行く
目指すはもちろん
世紀末に気のふれた
物持ち僕の
博覧会だ