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スターダスト探査機、テンペル第1彗星に接近

2011-02-19 07:28:07 | 最新ニュース
2月14日、NASAの彗星探査機スターダストが、テンペル第1彗星に接近しました。
テンペル第1彗星は2005年にNASAの彗星探査機ディープ・インパクトが接近した彗星で、このときディープ・インパクトが分離したインパクター(衝突機)を地表に衝突させました。
舞い上がった塵やガスを探査機や地上の望遠鏡を使って観測することにより、彗星の核内部の構造や成分の分析が行われました。
詳しくは、以前のブログ記事参照
ディープ・インパクト 衝突地点周辺モザイク画像
彗星衝突実験「ディープ・インパクト」成功




今回の接近で、衝突地点の5年半後の様子が捉えられました。
2005年に撮影された画像と、今回撮影された画像とを比較すると、衝突地点付近の地表が変化しているのがわかります(一番トップの画像)。
ただし、今回撮影された画像の解像度はやや低く、細かい地形までは読み取れません。
NASAは「クレーターと思われる地形」と紹介していますが、もう少し詳しい分析が必要です。
クレーターの分析によって、彗星の核の表面近くの物質の物理学的特性が明らかになるはずです。

また、NASAは下のような画像を紹介し、5年半の間に地表の様子が大きく変化したと主張しています。

右側の2つの画像は、地表の平らな部分を拡大したもので、上が2005年、下が今回です。
平らな部分は周囲よりも高いですが、その右端の黄色の線で示した断崖の部分が、浸食によって5年半の間に左側に後退しているというのです。
20~30m程後退しているというのですが、本当だとすると、地表の物質が揮発して浸食が起こったダイナミックな変化を示していると考えられます。

しかし、冷静にこの画像をみてみると、本当にそのような大きな変化が起こっているのか疑問です。
2つの画像はかなり異なった方向から撮影されていることがわかります。
そこで、もう少し位置を調整してみた画像が下の画像です。

地表が凸凹しているのでこの画像でも完全に位置が一致していませんが、上の公開されている画像よりは対応がわかりやすいと思います。
この画像を見ると、断崖の位置や形はほとんど変わっていないことがわかります。
2つの画像は、撮影された方向も違いますが、太陽の光が当たる方向も異なるため、影の位置も異なっていることに注意が必要です。
わずかに変化がある可能性はあると思いますが、少なくとも20~30mの後退はありません。
NASAの発表は少し先走り気味だったと言わざるをえません。

また、上のNASAが発表した画像で、黄色の□で囲んだ部分のくぼみが、2005年の画像では3~4つのくぼみに分かれていたのが、今回の画像では拡大して互いに融合しており、これも浸食の結果であると結論付けています。
しかし、この結論にも疑問が残ります。
というのも、先程説明したように、両方の画像では太陽光の当たる方向が異なります。
それによって、今回撮影された画像では、縦方向の断崖が見えにくくなっています。
そのため、くぼみ同志が融合して見えている可能性が否定できません。
いずれにしても、もう少し慎重な分析が必要です。


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