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いつの間にか堆積してしまったものは風化を待つしかないのか

2006-07-06 22:19:37 | 社会
ミサイル実験を継続=発射認め「軍事訓練」と主張-北朝鮮(時事通信) - Yahoo! ニュース


TVのニュースはどこもお馴染みの軍事評論家や大学教授などをハシゴさせて大事件扱いにしているが、正直なところ、そこまで大事件なのかしらんという気はしないでもない。

ミサイル着弾地点の海域はロシア海軍が直接管理しているが、その着弾地点の目と鼻の先の軍港ウラジオストックには米第7艦隊の旗艦ブルーリッジが停泊されていたようだし、事前通告があったのかどうかは定かでないにしても、アメリカもロシアも、「(ミサイル発射が)あっても実験レベル」ってことは分かっていたんじゃないだろうか。

アメリカによる金融制裁が相当キツいからミサイルを売って外貨を獲得するための発射デモンストレーションという見方もあるようだが、発射の真意がどうであれ、北朝鮮は「少なくとも日本以外は」挑発する意図はないようには見える。
北朝鮮に友好的な中国ロシアだけでなくアメリカもどうもトーンが低く、日本が望む国連安保理での決議案どころか法的拘束力のない議長声明すら雲行きが怪しいってところからもそれがうかがえるような。

勿論日本としては、北朝鮮が「どうせ日本は切れるカードが少ない」のを見越した上での今回のミサイル発射な訳だから黙っているのはおかしいのだが、かと言ってキーキー騒いで慌しく対応するのも思う壺のような。
あくまで「暴論」であるが、日本にとっての「弱み」である拉致問題は家族の方には進展解決を断腸の思いで我慢してもらって、出来得る限りの制裁手段を粛々と発動してMD計画もさっさと進める方がいいようにも思える。

なんでこうも日本と北朝鮮の関係が捩れているかと言えば、お互い「過去に相手から被った傷」があってそれが癒えぬまま時間だけどんどん過ぎて互いの国内事情も変遷して敵愾心だけが硬直化してしまったからだ。こうなったら戦争だ!なんて短絡的なことを言うつもりはないが、「先軍政治」なんて無茶なことやってる政府に話し合いだけで解決しようなんてのも無謀だ。
しかも、「周囲」を考えれば、中韓露が北朝鮮に友好的で日本をサポートしてくれるのは米しかなく、北朝鮮の体制は綱渡りに見えながらも内部崩壊する可能性は低い。少なくとも中露にとっては、北朝鮮が自分達に牙を向くことは「有り得ない」し、日本に吠えていてくれるならまぁいいかという思惑はある筈だ。


その点では、『元検弁護士さんのつぶやき』さんが仰っている
《アメリカ軍あたりが、軍事施設を徹底的に空爆して丸裸にしちゃってから周辺国がしっかり経済援助をしてあげる》●某隣国ミサイル問題に関する暴論
ってのも、無論日本にとっては今度は中国+統一されるであろう朝鮮が表に出てくるってのも国益の点からしてどうなの?って意見はあろうが、机上では「なきにしもあらず」なものかと思う。

というのも、現在の北朝鮮は、内実を考えると国際法上「国家」と言い辛いからである。『国家の権利及び義務に関する条約』(モンテビデオ条約)に依れば、国家が国際社会の中で国家たる条件(国際法人格を有するための要件)として第1条において
《a.永久的住民 b.明確な領域 c.政府 d.他国と関係を取り結ぶ能力》
と定めているが、亡命する者が頻繁にいたり飢饉などで容易に命を落とす者が沢山いる時点で、aの要件については満たされていない筈なのだ。政治社会体制については何がベストってことはないだろうが、「政府と軍(の関係者)だけがまともに存在できていて、彼ら=北朝鮮というだ国と外から認識し得る」のはわざわざ改めて言うまでもなく「異常」だろう。

そんなことになってしまった原因は、無論北朝鮮(の政府)自体の経済政策の失敗などもあるだろうが、過去を遡れば日本にも原因の一端はない訳ではないし、所謂「帰国事業」で北朝鮮に渡った(帰った)人達もある意味まだ現在進行形の被害者と言える。
だから仮に「北朝鮮の軍事力を無に帰して政府・軍の中枢の人間だけを一掃して、残りの政府関係者の中で『南北の統一や日本との真の意味での国交正常化を望みどんな体制であれ国民に真っ当な生活を保障する政策を施す』意志のある者がいれば残す」リスクのない方法が存在するなら、それはやるべきだろうと思うのだ。

まぁそう易々とそんな方法は存在してくれないからいつまで経っても事態が好転しないのだが、現在の状況では北朝鮮の軍部が暴発するのをただ待ってるだけ、のような気がする。
とりあえずは、中国に出来る限り北朝鮮の(日本にとっての)暴走を抑えてもらうために、小沢さんに頑張ってもらうしかないかもしれない(苦笑)