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どーせプラセボなら砂糖かデンプンでも使っておけばよかったものを

2005-04-26 21:50:57 | 社会
がん患者相手に28億円 無許可販売で会社社長ら5人逮捕 (産経新聞) - goo ニュース

日本花ヴェール健康学センター


このニュースを色々な意味で「凄まじい」と感じるのは私だけでしょーかぁ・・?

と、思い切りだいたひかるを剽窃というか意識した書き出しにしてみたが、ふざけていると言うよりは、そのぐらい、このニュースについては斜に構えて消化した方がいいってことで。

上のリンク先、『日本花ヴェール健康学センター』が今回摘発された業者(会社)の名称・HPである。これを書いている時点では、今回ニュース内でも取り上げられている2商品「貼りっ粉」と「桂寿」のうち、「桂寿」はまだHPを通じて販売されている。ざっと見たが「貼りっ粉」の方は見当たらなかった(そのうちこのHP自体消える可能性高いですがね)。

ちなみにこの会社、ちょっと調べてみたら、2000年には都から行政指導、昨年11月には事務所の捜索、書類押収、事情聴取もされていたらしい。今回漸く灰色が真っ黒で逮捕、のようで。
「漸く」ってのは、昨年11月の時点で薬事法(*注1)及び医薬品等適正広告基準(*注2)に違反していた疑いは相当強かったので、もし今回の逮捕までの約5ヶ月の間にこの会社の商品による死者が出ていたとすれば(ニュースでは今のところ死者8人)、警察の対応の遅さも問われるべきかもしれないからだ。


ともかくも、こういうネットの「闇」というか「地下」領域は今や余りにも広大だ。個人でもやろうと思えばISPなど通さずとも自分の部屋にサーバ作って専用線引くことだってできるし、手っ取り早く海外にサーバ借りてしまえば半ばやりたい放題。
以前も中国製ダイエット食品が幾つも問題になった事件あったけど、あれも確かネットで宣伝・販売されたのあったような。こうやって摘発されて情報が世に出回るのは正に氷山の一角で、今でもあやしいクスリぐらいは腐るほどネットで売買されてることだろう(そういうサイトに行ったことないから推測ではあるが)。


でもまぁ今回のニュースに関しては、ネットの功罪云々の問題じゃなく、やはり「買う」側の問題を考えるべきだ。
そりゃ大病に罹っている、大病ではなくてもなかなか病が治らずに苦しんでいる、そういう人達にとっては、できることは何でもしておきたいって気持ちはあると思う。私だって細かい病気は幾つもやったし今も持ってるうえに、体力もある訳じゃないしその割に生活不規則で喫煙者と高リスクだから気持ちは理解できない訳ではない。

ただ、未だに日本人の多くは、やや盲目的に薬を信用している面・薬の効能を期待し過ぎる面・やや強迫観念的に「健康」オタクな面は否定できないところだ。
勿論、難病に対して努力して新薬開発されてる方や、海外で効能が認められている薬を何とか日本でも認可してもらおうと努力している方などがいらっしゃることは分かっている。そういう方々を否定する気は毛頭ない。

毛頭ないし、医師の方々の力がなければどうしようもない病気が数多くある(怪我・外傷は言うまでもないが)のも事実だが、ヒトの体(体内)というのは我々が意識し得ないミクロな世界で、マクロファージだとかキラーT細胞だとかが常に侵入した外敵に対して「戦って」いる(*注3)のである。現在の近代西洋医学が成立する以前に人類が生き残ってきたのは、そうして戦って克服してきた人達がいたからに他ならないのだ。

その意味において、少なくとも、薬を飲むべき適切な病気以外に、又適切な量「以上」に薬を飲む必要性はないし、どうしても飲みたいなら薬の種類、成分、その効能や副作用などある程度は自分で勉強して自己責任で飲むべきだ。
今回のニュースについて言えば、『今の医学薬学で最大の難敵「ガン」にそんなに効果のある薬(健康食品)があるんなら、こんなマイナーでパチもん臭い名前のついた会社だけが売っている筈がない』ぐらいは常識レベルで判断「しなきゃあかん」もんじゃないだろうか。

それとも、それらの商品を購入した人は、「逆にこれはまだ人口に膾炙してない秘薬に違いない!」とでも思ったんだろうか?
そうならしょーがないかもしれんが。。。ってより、そうなら、このニュースは種類としては『法の華三法行』の福原法源逮捕と同じ、なんだろうな。「信者」が騙されたんだから。


・・・と一応書き終えて、書き終えた今思いついたテーマがあるが、それはエッセイとして別項で。


*注:
(1)
該当・関係する箇所が多過ぎるようなので、条文そのものは割愛させて頂きます。『医薬品成分の含有の有無にかかわらず、効能効果をうたった商品は、薬局・薬店でなければ販売できない。』ことだけ押さえていればこのブログではいいかと。

(2)
3-6(一般向広告における効能効果についての表現の制限)
 医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、医師又は歯科医師の診断若しくは治療によることなく治癒ができるかの表現は、医療関係者以外の一般人を対象とする広告に使用しないものとする。

(3)
いわゆる「免疫反応」な訳だが、栄養状態の向上と医学の進歩とは逆に、生体にとっては害になる免疫による生体反応-「アレルギー」がこれだけ増えているのは皮肉な話ではある。