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日々触れる情報から様々なことを考え、その共有・一般化を図る

キャラはそれなりに「立って」たのに「始末」がドラマにならなかった「宴」

2005-04-19 22:52:33 | 社会
フジ、ライブドアが提携合意 2カ月の買収攻防に幕 (朝日新聞) - goo ニュース

(タイトルについて(*注1))


まぁあれだけ世間もマスコミも注目してた一件にともかくも終止符が打たれたんですから、一応まとめの意味で書いておきますか。。


私はPCもネットもだらだらと10年近く使い続けているが、未だにライブドアとは殆ど関わりを持っていない。昨年、ちょっと動画をエンコード(*注2)してDVD-Rに焼きたかったので『Nero Digital Express』ってアプリ買ったらたまたま販売元がライブドアだった、ってぐらいで、ライブドアのポータルサイトにもこれまで1度か2度行ったことがあったな?って程度である。言うまでもなく、ホリエモンの日記も読んだことなどない。
うちのADSLはYahoo!BBだし、検索エンジンもGoogleで大抵用足りるし、ニュース読んだりWebメール使ったりするにもYahooやここのgooからで十分だし、本やCDをネット通販で欲しければAmazonがあるし。

一方、事の発端になった、ライブドアが時間外取引で大量に株を買い付けた先のニッポン放送についても、私はラジオを一切聞かない(生活スタイルとしても)から、これまた縁がない。

だから、この攻防が始まった2/8、ニュースを聞いた私はただ「ふーん」でしかなかった。おそらく、一番最初は私と同じように感じた人が意外に多かったのではないだろうか。

ただ、ホリエモンがフジサンケイグループに即業務提携を申し入れ、ニッポン放送株を更に買い進め、フジサンケイ側はフジTVの日枝会長が登場し、敵対的買収に対し完全な企業防衛の意思を見せ始めたあたりから、一気に私達一般市民の関心も高まって政財界メディアまで全て巻き込んだケンケンガクガクが始まった訳だ。

私は株式投資・投機にも全く興味ないうえにちゃんと勉強してもいないから、今回の一連の騒動の中で出てきた、転換社債型新株予約権付社債やらポイズンピルやらパックマンディフェンスやらTOBやM&Aでさえ、そういった専門・業界用語をきっちり他人に説明できるような理解はできてないし、日経新聞や東洋経済の記者じゃないんだからそういう話をする必要もない。

だからあくまで素人目線でまとめるのだが(ってかここのブログは全部そうか)・・・


今回の騒動は、勿論、今の証券取引のルール・システムの問題点だとか法整備の不備だとか日本企業の弱点だとかを明らかにしたって点はあったようで、鼠一匹的な終幕からすればその解釈で終わらしてしまってもいいんだが、やっぱりホリエモンという特異なキャラに触れずに終わる訳にはいかないだろう。

で、彼のこれまでの発言・主張を色々聞いていて、一貫していたのは唯一『自分の会社を大きく(彼の独自の表現を引用すれば「メディア・IT・フィナンシャル・コングロマリット」)したい』だけだったように思う。(取締役に説得されたのかもしれんが結局ニッポン放送株を長期保有するって宣言してできなかったんだし)

コングロマリットという発想自体も、これだけモノが売れなくて嗜好が多様化している時代に個人的にはちょっと古臭く感じてしまうが、コングロマリット自体の是非はともかく、問題なのは彼のそのコンセプトが如何にも茫漠としている(頭が悪いってんじゃなくて)点だ。


まぁ、経営者は実務や現場の細かいことまで知る必要はなく全体像をイメージできてりゃいいんだろうけど、でも、今回の騒動では、ハナっからその茫漠さが致命傷だった気がする、というより、私はバトルが盛り上がり出した時点から彼と彼の戦略に疑問は感じていた。

というのも、なんでニッポン放送やフジサンケイグループがああまで頑なにホリエモンを拒否してたかって言ったら、ニッポン放送がおとなしくフジTVの子会社になろうとしていた矢先に裏技的に&当て馬的に株を買い占められたから、それに対する反感や恨みってのは当然ある筈だ。

しかし、ホリエモンが持っているビジネスプランが本当に素晴らしく、間違いなく企業価値が上がり儲かるものだとすぐにニッポン放送やフジサンケイグループ側が理解できたんなら、こうも拒否した筈でもまたないからである。この期に及んで「推進委員会」なんて言ってる時点で本来はおかしい。

「(会社を)大きくしたい」って意志と「M&Aで実際に大きくしてきた」実績だけがあって、でもそれらはライブドアの社会的影響力がごく小さいものだったから上手くいってきたって現実を忘れて突っ走ろうとしたから、「ぐちゃぐちゃ」になって最後は尻すぼみ、になってしまったってことなんじゃないだろうか。


大体、ホリエモンはしきりにネットと既存のメディアの融合を言っているけど、地上波のTV、CS、ラジオ、新聞、本、雑誌、それぞれに特性があり、そもそもネットと既存メディアでは前者は能動的、後者は受動的なメディアとして根本的な質の差がある。

ネットは能動的メディアだから顧客が把握し易くビジネスとして面白いのは分かるが、例えば、ともかくも既存メディアが担っている「ジャーナリズム」は、少なくとも現時点でネットに任せられるものではない。いくら民放に露出している文化人に質の低下が目立つとはいっても、何のバックグラウンドも持たない人間は出て来れないし、発言に対してそれなりの「責任」も負っている。

自由というより「無法」がまだ多過ぎるネットの世界は、危険過ぎるのだ。
「ただ人」の私がこうやってブログを書いて公開していることだって、無論危険だ。なるべくニュートラルな立場で、根拠がまるで提示できないようなことも書かないようにはしているとはいっても、所詮専門家(プロ)ではない素人のやることである。

だからこそ、【★ブログを読まれる方へ】で示しているように、
『こうやって書いていることはあくまで個人的な私の"考え"で、読んで下さる方に望んでいることは、タンジュンな支持不支持賛成反対ではなくて、「読んで下さる方自身が同じテーマで、或いはテーマを通じた私の考え・見解自体について私がやっているように"考える"こと」ですよ』と言っている訳だ。


話が逸れた。
まぁ、今後ライブドアとフジがどんな「目新しい試み」をしてくれるのか分からないけれど、ホリエモンに対して言いたいことは、「5年後10年後にフジTVもしくは他の民放で『あの人は今』の番組に取り上げられないように頑張って下さいね」ってことだ。

いや、嫌味じゃないっすよ(笑)世代交代やアンシャンレジュームがもっと進まなきゃいけない日本の現実ってのもあるんですから。



*注:
(1)
「宴」というのは勿論比喩だが、勿論これは肯定的なものではなく、半ば揶揄して使っている。京極夏彦の愛読者であれば、このタイトル見てニヤリ(?)とするかもしれません。

(2)
大半の方はご存知でしょうが、一応。
「あるデータを一定の規則に基づいて符号化すること」がエンコードで、メールに画像などテキストデータ以外の種類のデータを添付して送受信する際にも、パソコンやメールソフトが自動的に行っていることである。画像や音楽データなどのエンコードの場合は、圧縮してより小さいデータ量のファイル形式に変換する場合によく用いられる。
ちなみに、本文中で私がやっていたことを正確に言うと、「PC(Windows)上で見れるaviなどの動画ファイルを、DVDとしてTVでも見れるように、DVD-video形式にエンコードしてオーサリングしてRに焼いた」です。