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【サッカー】CLベスト16-2nd.Leg短評(1)

2006-03-09 22:18:31 | スポーツ
この2nd.Legで、いよいよCLもベスト8が出揃うこととなる。(ただインテル-アヤックス戦だけは、ベスト8のドロー後の来週に開催される。ベスト16のKOラウンドでは1位通過のチームが2戦目ホームで戦うことが最初から決まっているが、1次リーグで、同じサンシーロがホームのミランとインテルが共に1位通過してしまったためだ)

ベスト16からビッグクラブ同士の対戦が幾つもあった今シーズン、いつにも増して緊張感のある試合が続いた。早速、2nd.Legの短評を書いていこう。


☆ユベントス-ブレーメン(2-1、合計4-4、アウェーゴールでユベントスが勝ち抜け)

・・・ユベントスは1st.Leg、アウェーゴールを2点取ったものの、内容的には殆ど押されっ放しで、後半終了間際にイヤな逆転負けをしていた。加えて、イタリアの雄でCL常連のユベントスに対し、ブレーメンはCLではベスト16以上に進んだことが一度もなく、失うものが何もない状態。しかもブレーメンは国内リーグでもぶっちぎりの得点力を誇る超攻撃的チームということで、ユーベにとっては他のビッグクラブと当たるよりも嫌だったかもしれない。


実際、試合はその嫌な感じがすぐに現れることになった。1-0での勝ち抜けを狙ってか、慎重に立ち上がるユベントスに対し、ブレーメンはいつも通りの攻撃的サッカー。ワンタッチツータッチで素早くパスをつなぎながら、SBもMFもどんどん上がる。
そして13分、左SBのシュルツのスルーパスに左のスペースをついたミクーが反応し、飛び出したブッフォンの上をループシュートで冷静に抜いてブレーメンが先制。ユベントスは早々と窮地に立たされる。

ユベントスも復帰したザンブロッタの左サイドの突破やセットプレーでチャンスを作るが、放つシュートはやや正面をつきGKヴィーゼに幾つも弾かれ、トレゼゲやイブラヒモビッチはブレーメンのリスクを省みない高いDFラインに対し再三オフサイドにかかり、押し込んではいるが点は奪えない状態で前半終了。

後半も、後がないユベントスが押し込んだまま続くが、前半と変わらず最後のフィニッシュが決まらない状態。カペッロは、その流れを変えるべく、イブラヒモビッチとカモラネージに代えてデル・ピエーロとムトゥを投入。

すると65分、ゴールキックからのフィフティーのボールをデル・ピエーロがダイレクトで前に流し、それにネドベドがDFラインぎりぎりで上手く反応、2対1の状況になり、最後はトレゼゲが流し込んでようやくユベントスが同点に追いつく。
その後もユベントスがほぼ一方的に押すが、終始プレッシャーの速いブレーメンに対し決定機が作りきれず、試合は残り2分。

するとここで信じられないことが起きる。ユベントスのCKのディフレクションからのクロスボールをGKヴィーゼが難なくキャッチ、ユベントスの選手が諦めて戻りかけたその時、ヴィーゼは不用意に一回転し、ボールをこぼしてしまう。そのこぼれ球に、エメルソンが咄嗟に反応し、ボールは無人のゴールへ。
あっけない形で、ユベントスが勝ち越し勝ち抜けの条件を満たしてしまう。「有り得ない」失点を喫したブレーメンは意気消沈し、ロスタイム数分も何もできずに試合はそのまま終了。


「番狂わせ」に後一歩だったブレーメンは、それまで好セーブを連発していたGKの自滅で初のベスト8の快挙が零れ落ちてしまった。一方「優勝候補」のユベントスは、不甲斐なく敗退かと非難を浴びるすんでのところで、「運良く」紙一重で勝ち抜け、メンツを保った。
昨シーズンのリバプールの例もあるように、実力差が殆どないCLで優勝=ビッグイヤーを取るためには運も必要だ。これでユベントスは運を使い切ったのか、いやこの運の強さで頂点まで上り詰めるかは分からないが、今後のカードが楽しみである。


☆バルセロナ-チェルシー(1-1、合計3-2、バルセロナが勝ち抜け)

・・・こちらも「優勝候補」同士の早過ぎる対戦、ただ1st.Legは、バルセロナが昨年の雪辱(昨シーズンは同じカードでバルセロナが敗退している)を果たす形で、アウェーのスタンフォード・ブリッジで勝利を収めた。

迎えた2nd.Leg、策士モウリーニョが追い詰められた中どういう采配をしてくるのか、選手達がそれをどのような形で見せてくれるのか注目が集まったが、始まってみると、些か「拍子抜け」のする展開だった。

バルセロナは、ホームの利もあり、いつも通りボールをキープしながら前線のメッシ、ロナウジーニョらが個人技でアクセントをつけチャンスを演出する。一方点を取りにいかなければいけないチェルシーも、「不気味」なほどいつも通りで、それなりにプレッシャーをかけボールを奪いにいくものの、ボールを奪ってもそこからWGのダフ、ロッベンやトップ下に入ったジョー・コールが個人技で突破したり早いパス回しで局面打開をすることができず、むしろ焦りなのかパスミスを連発しリズムを作れない。

1st.Legでチェルシーを一人でかき回していたメッシが前半25分に負傷交代してしまうが、特に流れが変わることもなく、盛り上がらないスコアレスで前半終了。デコの献身的な守備だけが目立っていた。

後半になっても、「ホームで恥ずかしい試合はできないが無理にリスク冒す必要もない」バルセロナがボールをキープして主導権は渡さず、淡々と時間だけが進む。モウリーニョはドログバとダフに代えクレスポとグジョンセンを投入するが、チャンスらしいチャンスは、ジョー・コールにアーリークロスにクレスポが飛び込んだ一度だけ。流れは変わらない。

そして78分、途中からポジションチェンジで中央に入っていたロナウジーニョが、卓越した個人技を披露。ドリブルでつっかけ2人をかわし、その後飛び込んできたテリーも弾き飛ばしながらグラウンダーの速いシュート、一人で先制してしまう。
試合はほぼこれで決まり、後半ロスタイムにチェルシーはラッキーなPKを与えられランパードが決めるが余りに遅すぎ、すぐに試合終了、バルセロナがチェルシーにきっちりと昨シーズンの借りを返す形になった。


元気がなく予想以上に「盛りあがらなかった」2nd.Legだったが、逆に、バルセロナがそれだけ強いということも言えるだろう。
中盤はボール配給役のシャビを長期離脱で欠いているが、バックラインと前線のつなぎはデコが十二分に行えており、そのデコも守備を怠らず、中盤の残り2枚のエジミウソンとモッタも守備的なバランサーとして動き、かえって全体のバランスは良くなったように感じる。そもそも、前線のロナウジーニョ、エトー、メッシは一人でも仕事ができる攻撃的な選手だからだ。


次のベスト8では、負傷したメッシも間に合いそうもなくDFの要プジョルも累積警告で欠いてしまうが、やはりロナウジーニョかデコがいなくなる方のがよりダメージが大きいので、1st.Legホームで戦うことができれば優勝も見えてくるだろう。