ねこやしきさらのおうち

最近は別宅の保管庫になっています
動物たちは相変わらず元気です

Bんぽあん(3-11)

2008年06月29日 | 温泉と蕎麦
こちらは3回目の訪問だ。いや、ここのところ人生に疲れてしまって、質が見たくなったのだね。外野が何をごちゃごちゃ言おうと一徹して質を求めたものが。今日は1人で夜の部を予約。1人で静かにしていたかったので、終始ぼーっとしていた。

今日のお目当ては、辛味ぶっかけ。で、その前に酒を飲もうと決めた。酒は「夜明け前」。で、とりあえずたまご焼きを頼む。出てくるまで、女将が出してくれたのがこれ。小アジの南蛮揚げ。



これがまた、酒に合うわ、それ自体がうまいわ。堪能してしまった。1匹食べたところで、出てきたのは、ふうわふわのたまご焼き。



湯気がたって、うまそうであった。実際うまかった。どうやったらこんなやさしい味になるのかと不思議に思う。たまご焼きと南蛮揚げで1時間ほど酒をちびちびやったあと、お目当てを頼むことに。



どんぶりの中には、天かす、小ねぎ、かつおぶし(正確に言うと、かつおではなかったそうだが)、中央に辛味大根が乗っている。大将がやってきて、辛味大根の説明をしてくれる。これはどうしようもないほど辛いのだそうである。産地は信濃南部。肥えた土地の大根は甘く、やせた土地だと辛くなるのだそうで(ロシアのビーツと同じ原理だな)、わざわざ辛味大根をその産地に求めるということだ。いや、やはりそうでなくてはならぬ。で、隣にちょこんと添えられてきたのは普通の大根で、まあ、普通でした。辛味大根ですか?ええもうそりゃ、辛かったですよ。

しかしまあ、このぶっかけの味と言ったら。この取り合わせが何とも言えぬ。ねこやしきは天かすがちょっと苦手なのだけど、それを除いたらこりゃなんじゃって味。とにかく黙ってしまったね。あとはため息、ため息。今日は黙りまくりの日だった。

あのさ、やっぱりどこそこに行くよりも、自分がここだと思ったところに行くのがいいよね。最近そう思う。ああ、今日はおいしかった。こういうのもたまにいい。人生に悩んだら、いい蕎麦屋だね。

訪問記その1は、こちらからどうぞ。(1-1)から(1-5)が出ます。
訪問記その2は、こちらからどうぞ。(2-6)から(2-10)が出ます。
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Tん笑(3)

2008年06月24日 | 温泉と蕎麦
今日はおとりがいた。いましたよう、辛汁さん。→リンクはっちゃいました。



うちのおとりも元はこんな箸置きなのに、どうしてああなってしまったのかと困惑する。箸置きに戻ってくれたらなあ、ねこやしきは何と静かになるだろうかと、考えてしまった。

さて、訪問も3度目ともなると、ちょっと余裕が出てくる。今日は帰りに西日が強くて何だか暑かったから、おろしそばにしようと思った。ふとテーブルの上を見ると、こんなメニューが。



そういえば、東京にいた頃は夕方に豆腐売りが自転車でやってきて、ラッパを吹いて回ったもんだった。その豆腐屋は西ヶ原銀座にあって、そこに直接買いに行くことも多かった。で、そこではところてんも買うことができた。長細い寒天みたいなのを、その場でうにゅっとしぼってもらって、ところてんの形にしてもらうのである。豆腐屋にしてみれば何でもないことなんだろうけど、それが非日常に属する学生には何だか目の前でショーを見せられて、その景品がはいと手渡されるような感覚だった。ふとそんなことを思い出して、ところてんを頼むことにした。

おろしそばはこんな具合である。



大根は2種類あって、白いのが普通ので、緑のが辛いのだと大将。なるほど。



やっぱりおろしそばで正解である。店の中はクーラーがほどよくきいていい感じ。でも外が蒸し暑かったから、やっぱりぴりっとくるのがほしくなる。胡椒の辛さではなく。今日は細打ちのほうを頼んだ。いや、いい香りがする。ため息つきながら、一息つきながら食べる。大根やらかつおぶしやらでそばの香りが消されないかしらんと思って、気をつけていたが、そんなことはない。よい具合にそれぞれが主張してくる。いい感じ。質の高さを感じるね。こういうの、目指してみたいと思った。

で、お待ちかね、なつかしのところてん。



私は酢醤油で食べるのが好きだ。久しぶりにうにゅっと出した形態のところてんを見た。スーパーなんかで買うと、液の中を泳いでいるんだもの。やっぱりところてんはこれでなきゃ。なつかしかった。

店の前に咲きかけのキキョウがあった。初めて見るつぼみ。箱みたいだ。びっくり箱かな?

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疲れたときは蕎麦がいい

2008年06月06日 | 温泉と蕎麦
今日は仕事でものすごく疲れた。何がって、人間を相手にすることがだ。自分が通ってきた道とはいえ、それをまた再現されたら、しかもキャストを変えてだ、それはあまり気分のいいことではない。しかし、それを克服していくのがプロだ。私情は脇にやって、相手本位で考えた。お陰で、帰りのバスに乗り込んだときには、もうすっかり疲れてしまっていた。

家で食事を作る気力もなかったので、バスを降りて、足を引きずるようにしていつもの蕎麦屋へ。「まだ、やってますかね。」時間も下がっていたし、もう客がいなかったので、まず聞いた。大将と女将は暇だったのか、笑顔で出迎えてくれた。今日は、また天ざるにした。いや、それのうまかったことといったら。満足そうにためいきつく私の反応を見て、二人とも何だかうれしそうだった。天ぷらは季節の野菜が食べられるから楽しい。揚げたてだから、なおさらだ。これがまた一人だと作らない献立だから、余計重宝する。蕎麦はいつもの香りのいい蕎麦。大将によると二八にもなっていないというのに、どうしてこんなに蕎麦の香りがするのか、私には不思議でならない。誰か教えてほしいといつも思う。

支払いのときに、「今日は遅いんですね」と大将に言われたので、「いや、今まで仕事で」と答えると、突然「中学校の先生ですか」と女将に言われた。私は自分の職業のことをこの店で言ったことはない。一体どこから見たら私は中学校の先生に見えるんだろう。謎だ。確かに寺子屋では中学生を教えているが。本業は違う。「遅くなってもう疲れちゃうと、家で作るどころじゃなくなっちゃうから、また来ますねえ」と言って店を出た。片づけを始めていたから、ほんとうは私が入った時間も営業時間外だったのかなとふと思った。もうけにはなっていないんだろうが、こんなふうにふらっと夕食を食べに寄る客を待って開けているのかもしれない。

おいしいもの食べて元気になって、ほんとによかった。出なかった言葉が浮かんできたから、帰ってきてメールを方々に書いた。これで、いい。自分の歴史によく似たものの再現だろうが、その人にとって自分の答えが出せるきっかけになるものが言えたらそれでいい。おいしいお蕎麦と天ぷらと、そんなものをさらっと出す、町のお蕎麦屋さんのお陰である。
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