最も贅沢な休日の過ごし方は、温泉と蕎麦三昧である。久々に九州に帰省したねこやしきは、贅沢を極めるべく、朝もはよからお出かけした。
4月5日。まず向かったのは、温泉。朝湯である。お気に入りの、鷹取(たかとり)の湯。福岡県久留米市田主丸(たぬしまる)町にある。今日は硫黄臭がうっすらとした。するときとしないときがあるが、するときはよく効くので、すっかり浸かってぼーっとした。あの広い露天風呂を独り占めであった。おお何と贅沢な。今頃みんな花見をしているのだろう。
http://www.tanushimaru.com/tokusanhin/gentiku/genchikuonsen.htm
で、同じ田主丸に十割蕎麦の蕎麦屋の看板があったのを思い出して、そっちに行ってみることにした。近くに桜があったから、食後に散歩でもと思い。
蕎麦屋は農(みのり)という。入口はこんな感じ。
部屋は3つあって、1つは円卓で10人ぐらいが掛けられる。2つ目はテーブルで6人掛け、3つめは予約専用のようで、お座敷。ちらっと見たところ、4人掛けの台が4つぐらい。農家をそのまま使っているんだか、再現したんだか忘れたが、中には囲炉裏まであって、なかなかの懲りようである。壁時計もあって、ぼーんぼーんと鳴っていた。ちなみに、温泉のあとなので、細部はもうどうでもよくなっており、写真もそんなにばしばしは撮っていない。悪しからず。これを休日と人は言うなり。
3時までのところを2時30分ぎりぎりに入ったのだが、2人前ぐらいなら何とかなるとのこと。ああよかった。メニューはこんな具合。
焼き味噌を頼む。
九州の味噌。甘い、甘い。懐かしい味がする。でも実はあまり好きではない。私は味噌は信州の辛口が好きなのだ。甘い味噌で焼き味噌というのは、予想外だったが、まあこんなもんかなと思わせた。中にはそばの実とねぎが入っているのはわかったが、女将の話によると、何か企業秘密が入っているそうだ。
ねこやしきが頼んだざる。
つけ汁は醤油の味だけだったように思えた。かつおだしの味が聴こえてこない。その代わり、甘いということはなくて、その点では蕎麦に集中できた。醤油の塩辛さに加えて、ちょっと苦味があるのかななどと思ったりもした。
麺のアップ。
青臭い麺というのが正直な感想だ。この青みがいいのだと通は言うのかななんて考えていた。Bんぽわんの白い蕎麦のような気品のある蕎麦ではないし、黒い蕎麦のような香り立つ蕎麦でもない。つけ汁の苦味はこれと調和するようにできているのかと思ったりもした。黒い点が入っていなくて、どうも赤い点がぽつぽつとところどころついている。帰りにもらった名刺には「外皮を取り除いた丸実を石臼により自家製粉し、そばの実の甘皮の色と香りを生かした生粉打そば(そば粉十割のつなぎなし)です」とある。そういえば、隣の部屋に辛汁さんよろしく電動式の石臼が見えた。今日のそば粉は富山から仕入れ。九州のそば粉はだめだということだった。むーしかし。大人の味だなあと思った。ねこやしきには十年早い味といったところだろうか。
連れが頼んだおろし蕎麦。辛味大根がうまかったらしい。
で、とどめは蕎麦掻。2人で分けて食べた。このもっちり感。私はついBんぽあんを思い出し、辛味大根を分けてもらおうかとまで思ったほど。それはやめておいたが。
帰るときにはもう昼の部は終了になっていた。
今度帰省したら、予約していったほうがいいかなあと思ったり。帰りに大将と少しお話をしたが、いや、思ったとおりの偏屈爺さん。蕎麦屋はこうでなくてはならぬ。関西はBん愚だというのが持論のようだった。
ここは車でもいけるし、JR田主丸駅から徒歩でも…多分行ける。
ここはひとつ、いってみてはいかがでしょう、辛汁先生。温泉にも、ぜひ。