ねこやしきさらのおうち

最近は別宅の保管庫になっています
動物たちは相変わらず元気です

Bんぽあん(2-6)

2008年03月02日 | 温泉と蕎麦
この記事は標題の店の訪問記その2です。この店の感想を1つの画面で読むには、こちらをクリックして下さい。(2-6)から(2-10)が出ます。訪問記その1はこちらからどうぞ。(1-1)から(1-5)が出ます。

夜の部を予約して行ってきた。まあ、今日ぐらいは贅沢してもいいやね。辛汁さんのご指摘のように体調悪いので、脂っこいものはとにかくダメだから、うまい蕎麦を食う、これが今の最上の贅沢。

女将さんは私のことを覚えてくれていた。江戸から来た客のことも、それから何とみやびのことまで覚えていた。

「えっへん」

あーあなたはちょっと黙っててください。まず私がしゃべりますからね。

こないだ書いた記事をご覧下さったという。冷や汗ものである。まあでも悪いことは書いていないのでいっかと思って(ねこやしきはいい加減な人です)、店内を見回す。こないだとは様変わりしている。聞けば、鍋の時期には少し配置が違うのだという。なるほど。そういえば、こないだは鍋の客が何人かいたかな。で、床の間には三味線。女将の愛器であろう。むむ、趣深い。

部屋の左端には、何やら由緒正しき風情のお雛様が飾られている。ロシアの伝統的な農民の家屋ならば、ちょうどクラースヌイ・ウーゴルといって、イコン(聖人の肖像)を掲げておくのだが、それをちょっと思い出した。東西南北の方向がちょっと違うが、入り口から見たらそうなる。そこはロシアでは上座になっているが、別段そのこととは関係なしに、お雛様に引き寄せられて、そのそばに座った。

女将の嫁入り道具だったというそのお雛様は、プラスチック製ではなく、どうやら布製である。私が注目したのは後ろの屏風のほうで、これがまた入念な作で、年季が入っている。大正時代の作だというが。お膳の雛だとかで、5客同じものがあるそうだ。女将は名家の出なのであろう。身のこなしもそうだが、この雛から何となくそれを感じた。私は物質文化は専門外なので、どうもよくわからないのだが、どうもこれはただものではないなと思った。その前には貝合わせの貝があった。「お店で使った貝の残りですのよ」と女将は言っていたが、しかしそれで普通こんなの作るか?つくづくいとをかし。むー、日本文化の専門家と行ったほうがいい店のようであった。

で、みやびが記念撮影をしたいというので、撮ってあげました。タイトルはもちろん、「私とお雛様」。

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Bんぽあん(2-7)

2008年03月02日 | 温泉と蕎麦
私の今日のお目当ては、白い蕎麦であった。前回味がしなかったのは、舌の鈍さがあったのかもしれないと思ったからだ。で、白いのと黒いのと両方を食べようと決めていた。で、日本酒を飲もうと。だからお腹をすかせて行ったのだ。女将に相談したら、蕎麦掻食べてそれやると食べきれなくなるだろうとのことだったので、蕎麦掻はあきらめて、辛汁さんちに載っていた子持ちこんにゃくを頼んで、それを日本酒のアテにすることにした。写真は、日本酒「夜明け前」と、わさびの芽と、いぶがりっこ。あー、みやびはその辺に写っていますが、無視してくださいね。



どちらも、酒のアテには最上である。わさびの芽のあおさと、いぶがりっこの燻製の風味が何とも言えず、よい。

「今日は誕生日なんですよ。だからここに来ようと思って」と正直なところを言うと、女将は「ハッピーバースデー」と、お手製の鴨の燻製を出してくれた。いや、そういうつもりではなかったのだけど。で、鴨だったので、趣味の悪いさらねこは、ねこなで声でみやびを呼び、例のごとくみやびとツーショットにしてみた。題はね、えーと、「おとりとおとりの燻製」ってのはどう?



この風味は、ロシアを思い出させた。悪いが、あの国はこと肉(とじゃがいもと麦類)にかけては日本より質量ともにはるかに上である。変なものが入っていない、純度100%の質を誇る。質のいいものは、主婦たちの厳しい目を経た市場の競争を勝ち抜いて売れていく。それを髣髴とさせる味だった。やっぱり手作りが一番である。女将の腕を感じた。燻製はいい香りがする。

で、子持ちこんにゃくが来た。



こんにゃくとめんたいが何かのだしと一緒になっている。上に味噌がちょんと乗っている。これは自家製ではなくて、出来合いのものを仕入れているのだそうだ。辛汁さんが書いていたが、これだけで随分酒が進みそうだ。味はうまいが、でも、私には甘すぎるように感じた。うーむ、やはりここまでの他のアテがすごすぎたってことだろうか。
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Bんぽあん(2-8)

2008年03月02日 | 温泉と蕎麦
さて、蕎麦である。まず白い蕎麦が来る。



今日はこれ目当てだったので、まずじっと観察。横から女将が、つけ汁に麺をいっぱいつけないようにと促してくれる。また、薬味を汁に入れてしまうとその味ばかりになるので、麺に載せて食べるのがよいとのこと。そうか、なるほど。夢八さんが以前いろいろ世話を焼いてくれる女将の話を書いておられたが、これは必要だと思った。

薬味はこんな感じである。



黒い小鉢に辛い大根、白いほうにはねぎとわさび。私はいろいろ試してみたが、ねぎだけ載せることにした。心なしか、つけ汁が甘くないように感じた。気のせいだろうか。こないだは甘かったように思った。今日はかつおだしが前面に出た、いい感じのつけ汁だと思った。

今日はゆっくり食べようと思い、少しずつ味わいながら、いつもより遅めに食べる。一すべ、二すべ。味がある。何やら風味がする。どこぞの蕎麦屋とは違うぞ。む、これを追いかけていくのだな。で、半分ぐらい食べたところで、あっと気づく。蕎麦の香りだ。わかった、ねこやしきは舌が鈍いのである。半分食べないとわからないのだ。こないだは2人で分けたから、この地点に至ったところかその前でおしまいだった。だから味がないように思えたのだ。しかしこの味は。何とも微妙である。それに、青っぽい。でもそれが、どこぞの蕎麦屋で食べたような生くささではなく、黒い蕎麦のように主張してくるような風味ではなく、何とも優美で上品なのであった。ああこれは、心に余裕があるときでないと感じられない風味だなと思った。聞くと、女将も大将も、今日は白の気分とか黒の気分とかいうのがあるそうである。なるほどなあ。

書き忘れていたので加筆。私は辛汁さんちのブログからここは黒だと思っていたが、女将さんによると、お店を訪れる人は白目当てに来るのだそうだ。現に、今日も私の後に白を頼んだ人がいて、その人で白は終わってしまって、黒が残ったのであった。
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Bんぽあん(2-9)

2008年03月02日 | 温泉と蕎麦
白い蕎麦を平らげて、蕎麦湯を飲む。はあ、うまいこと。で、黒い蕎麦が来るのを待つ。「夜明け前」はなかなか主張する酒で、今日の私には強すぎた。まあでも、うまいことには変わりない。で、アテをつまんで、酒を飲んでいるうちに、黒い蕎麦がきた。



麺のアップ。



まあ、ノックアウトだね。一口流し込んで、はああーとため息ついた。いやこれはわかりやすいよ。すごい風味。で、一口ごとにため息ついてしまった。で、酒をちびっとやる。またため息。

女将は白い蕎麦を公家の蕎麦だと形容した。なるほどね。で、黒いのは田舎蕎麦。どっちを食べるかは、心の状態にもよると私は思った。ああそうだ、形容するならば、黒いのはオバマの演説みたいだと思った。だって、部外者の私が聞いたってあの英語はわかりやすい。白いのは、事故を起こしたイージス艦の艦長みたいだと思った。あの人の言葉からにじみでてくるものって、あるもの。いや、これらは最近私が目にした言葉の中でぱっと思いついたものなので、あまり深い意味はないですが。

満腹、大満足で会計を済ませたら、ちょっと余裕があったので、誕生日だからいいかと思って、おはしを買うことにした。この店特性の特注の箸である。700円也。おいしい燻製を出してくれた女将へのお礼だな。
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Bんぽあん(2-10)

2008年03月02日 | 温泉と蕎麦
さて。みやびが何か言いたいそうです。



「みやびよ。今日はさらねこを連れて、蕎麦屋へ行ってきたわ。いろいろ写真を撮ったので、見て頂戴。で、これは箸置きをしもべにして撮った写真よ。どう、えらいでしょう」

あー。えらいというか、あなたもそのまま箸置きでいてくれたらよかったのにと思いますけどねえ。

帰り道はちょっと別の道を通ったんだが、夕闇の中で何だか芳香が。梅だ。道路の脇に畑があって、どうやらその畑の向こうに梅の木が何本かあるらしい。「闇はあやなし」だな。掘り返した畑の土の匂いもした。何だかすっかり春だ。春の始まりの日と誕生日。「いざ生きめやも」ってところかな。
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