今も昔も個性的なものに惹かれる私。もちろんそれはクルマにも言えることであって、個性的なスタイリングを持つ車種は、私にとっても特別な存在です。
各自動車メーカーの意欲がそのままマスクに現れていた魅力的な60~70年代と違って、80年代の半ばから現代にかけてのカーデザインは、どこも似たような印象のものばかりに落ち着いてしまっているのがとにかく残念でなりませんが、そんな個性に対する意欲が希薄になってしまった時代の中にも、何台かのキラリと光るクルマが、私たちのようなタイプのクルマ好きの心を癒してくれていました。
人と同じようなカタチのものを所有することで安心したり、ボディカラーも結局ホワイトかシルバーに落ち着いてしまう日本の国民性からすると、これらの異端なクルマたちはごく少数派のために世に誕生したとも言えますが、個性派重視の人達には大いなる拍手で受け入れられたであろうクルマが、80年代の半ばの日産パイクカーシリーズでしょう。
当時大学生だった私は、個性の感じられない当時のクルマたちの中にどうしても魅力を感じることが出来なくて、てんとう虫の相性でお馴染みのスバル360(後期型)に乗っておりましたが、日産が発表したマーチベースのBe-1(写真)をはじめとするパイクカーには大いに心を揺さぶられました。90年代から乗り続けている愛車ルノー・キャトルのシルエットを感じさせるパオはもとより、フィガロに関しては真剣に購入を考えたという思い出があります。これからももっとこのような個性的なクルマが登場して欲しいと願うばかりです。