オフィスに隣接した我が家の和室は、ボートが行き交う琵琶湖の入り江に面した静かな空間。窓を開ければ爽やかな浜風がたっぷりと入り、この季節はどこからともなくキンモクセイの香りも流れてきたりして、仕事の休息で仮眠をとるとき等、畳という落ち着ける環境も手伝って、我が家でももっとも快適な場所となっています。
そんな和室に唯一設置されている家具が、私の母が嫁入りの時に特注で作らせた和服専用のキャビネット、通称「キモノキャビネット」。腰の高さ程のコンパクトなこのキャビネットは、以前このブログで紹介した通り、現代の目で見ても充分魅力的な家具なのですが、その上にディスプレイされたものたちも、実は年季の入った、馴染み深い逸品ばかり。
今日の写真の時計は、私が物心ついた時には、実家のリビングに存在していたものなので、事実上、私が生まれてはじめて目にした時計…ということになる、ちょっとした記念すべきアイテムのひとつ。ところどころ傷がついたり剥げたりもしていますが、ネジを巻けばまだまだ現役で時を刻んでくれる、元気な時計です。
ものには必ず「購入の瞬間」というものが存在しますが、この時計がどういう経緯で、父と母の新婚生活の舞台であったおウチにやってきたのか、とても興味深いところ。そんな感じで「身近ものとの最初の出会い」を想像しながら記憶を辿ると、とってもロマンを感じることができるので、何もすることのない時間など、私の頭の中はそんなことでいっぱいです。