NORIFUMI ADACHI IllustrationWorld

漫画とイラスト発表のブログです。写真も少し。

ENBAN USAGIえんばんうさぎ年3:レトロな版ズレ漫画の作り方

2022年11月21日 08時15分49秒 | えんばんうさぎ

■レトロな版ズレ漫画の作り方■

さて、えんばんうさぎのアメリカンコミック風イメージの追求ですが、いよいよ2冊目にて実現します。

◆ENBAN USAGI2 昭和のオフセット印刷解説◆

「この本はこうして作りました」

 

1987年にこの本を作りました。

なんと最近荷物整理をしていたら、この本を作った時の「版下」が出てきまして、

基本に戻れという、これは神のお告げか!単なる粗大ゴミか・・・いえいえ、やはり

コミティアでも、なかなか説明しずらい、この本のコンセプトをお話しする良い機会なので

ブログにまとめることにしました。

 

まずはこれが表紙↓

 

そして中面

寄るととこんな感じ、

印刷もそうですが、紙もアートではなく、ザラ紙を使ってます。

そのザラ紙も30年の時を経て、さらにいい感じになってます!!

 レトロな古いアメコミ風といえば簡単ですが、

未完成美、瑣末美といったコンセプトでもあります。

 

 こちらは1984年に作った前作。(現在在庫無し)

そもそもこの「えんばんうさぎ」という漫画は、私のアメリカンコミックや外国漫画へのオマージュとして

作った様式化された漫画(自費出版)で、当時の自分としてはコンセプチャルアート気分だった思います。

運よく第14回日本漫画家協会賞優秀賞をいただきその後の制作活動の出発点となりました。

これは、どちらかといえば、ユーロ漫画 “バンド・デシネ(bande dessinée)”を意識してるかな?

https://blog.goo.ne.jp/nekonofuriosuruhi/e/fe6ef78ffe23360dd9da8a557cc3b850

 

そして2作目の「ENBANUSAGI2」は、そのコンセプトをさらに押し進めに、もっとアメコミ風にするためと、

当時考えていた、オフセット印刷での版画的な手法を試すことにしたものです

つまり、アメリカンコミックや外国新聞漫画、あるいは、

昭和初期の未熟な印刷技術時代の色付き漫画のレトロな感覚の漫画の再現を試みました。

 

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まず基本的なオフセット印刷について、この動画を参考に見ていただくとわかりやすいです

 

わかりやすいカラー印刷のしくみ

松本印刷株式会社 Official channelより

https://www.youtube.com/watch?v=nNzX7FI_Fns

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さてここから発見された版下の登場です!!

 

上記のカラー印刷の仕組みにもあった、今ではデータをシアン、マゼンダ、イエローの色版をデジタルで分けますが、

80年代まだアナログで色版を版下というケント紙に線をひいたもので作っておりました、版画でいう多色刷りというやつで、これがそれです

懐かしい〜人には懐かしく、なんだかわかんないほとにはわかんない「版下」

オフセット印刷の解説にもあったシアン(青)・マゼンタ(赤)・イエロー(黄)の三版

ブラック(黒)版がないのは、3つの色の合わせが黒になる計画で、仕上がりがボヤッと

する感じにしたかった・・・

 

もう少し版下の構造を見てみましょう

 

 

これがイエロー(黄)版

赤いシールはベタと同じ効果のシールを貼ってます

 

 

そして、C(シアン青)版

グレーの部分は荒い(20%ぐらいかな〜)ドットになってます

当時のドット指定は、丸い円の大きさと、配列の密度を指定して、濃い薄いを決めます。

今でも、スクリーントーンにそれがありますよね・・・

これはマゼンタ(赤M)版

 

もっと寄ってみましょう(O_O)

イエロー版

シアン版

マゼンタ版

 

これが合わされて印刷されると、こうなります!!

 

キャラの輪郭は、赤+青で黒に近い色、他はそれぞれ、赤也青、黄色の配色になってます。

線とベタがズレてるルのは、意図的ではありませんが、作者の性格のいい加減さが出てます(笑)

↓これは版を性格合わせるためのトンボですが、このバラバラ加減酷すぎる!!!

 

これぞ、粗雑美と言いますか・・・

 

そもそも、作者の表現を離れて、別の無名の人間が手を加えて、作者の意図とは別の表現が生まれる

このハブニング的な造形こそ私の意図した、コミック表現なんですね〜〜(偉そうに〜)

 

といった感じで、若い頃は野心的に色々試してみたり、楽しかったのですが、

今の時代、安価なデジタルで、なんでもできる時代です・・・

エリック・クラプトンが、ブルースブレッカーズ時代、50年代のレスポールを、マーシャルアップに突っ込んで歪ませて、ロックの新しい道が開かれた・・・

とまではいきませんが、なんかやってて楽しかった・・・そんな印刷話でした。

 

今度の2022年11月27日(日)コミティア142にて、30冊ほど用意しました。

1冊1000円ですが、「ブログ見たよ」と言っていただけたら、

おまけの「絵葉書」1枚進呈します。

よろしくお願いします。

 

 

 


ENBAN USAGI えんばんうさぎ年2:荏柄天神社

2022年11月18日 14時45分21秒 | えんばんうさぎ

本日久しぶりに鎌倉に行ってまいりました。

「鎌倉殿の13人」ブームもあって、朝一でも観光客、修学旅行と人混みでした。

昨日のアップと同じ題名にしたのは、ここに行くためでした。

鎌倉、荏柄天神社

ここにはこんなものがあります。

もう少し寄ってみると・・・・

そうなんです、平成元年にここに建てられた、この絵筆塚に参加しておりました。

1985年に日本漫画家協会会員になって、4年後の話になりますが、カッパもやはりえんばんに乗っております。

他の先生方の作品

などなど

ここにも、初心忘れるべからずの布石があり、本日お参りに行ってきたと言う次第です。


ENBAN USAGI えんばんうさぎ年

2022年11月17日 19時16分29秒 | えんばんうさぎ

来年2023年は卯年です。1984年に『ENBAN USAGI」の初版自費出版して38年経ちました。

4回目の卯年です。

今年2022年は人生をリセットした年でもあるので、来年は初心に帰る年にしたく

またえ「ENBAN USAGI」から初めてみようかと思ってます。

そもそもの出発点は、会社に入社してデザインの仕事し出したところから始まります。

当時まだ紙媒体盛んな頃、雑誌社から新しいマガジン発刊が目白押しの時代。

雑誌広告も毎週送り締切の嵐でした。

ただし、写真メインの広告は、写真の再現性重視、レタッチなどほぼない時代でしたので、

印刷立ち合いは毎日のようにやってました。

肌の色が出ない、商品の色はこんなじゃない・・・など、色々お得意からクレームやオーダーがあって

新米デザイナーに私はてんてこ舞いでした。

 

そんな仕事の中、黄色べたをバックひいたら綺麗なのに・・・とか、色々考えるようになり

いっそのこと、外国漫画や、外国の新聞漫画のようなカラーの漫画を自分で作ったら・・と思うようになり

一念発起して「ENBAN USAGI」制作の着手したわけです。

つまり、デザイン実験のつもりで作ったもので、決してキャラクターマンガありきではなかった

わけです。

今のデジタル世界では、フォトブックなるもので、ネット上でレイアウトして格安で本ができますが、

当時はケント紙に版下作って、色指定して、入稿、校正、紙指定やらプロセスも長く

大変でした(しかも自腹←ここがキツイ)でも、結構楽しく自由に作れるので最高でした。

完成して・・なんだか、入社して霧の中にた自分が、やっと霧が晴れて、進む道が見えた気がした

そんな気分だったように思えます。

翌年1985年、学校の先輩が、日本漫画家協会に所属していて、これいいね、推薦しておくよと、

第14回日本漫画家協会賞に推薦していただき、幸運にも優秀賞をいただいた事も、大きな励みに

なりました。その初心を忘れず、何よりデザインやもの作りの醍醐味を忘れずに

今後も頑張って描いていきたい・・・と思う11月です。

取り止め無くなった・・・ハハハヾ( ゚∀゚)ノ゙

そして、この11月27日のコミティア142にて、ENBAN USAGI3をtsくりました!

ぜひ、ブース:I-16bにお立ち寄りください。

よろしくお願いします。

本日から、しばらく「えんばんうさぎ」ネタでブログアップします。ではでは