大盛商店、ケンチャンストアー、仲程商店が従来からある離島の典型的な雑貨店とするならば、与儀商店は近代的な雑貨店と言えます。与儀商店は島の住宅地から少し離れた丘の上にあり、歩いて行くには不便な場所にあります。そのため、店舗の前は駐車場になっていて、島のあちこちから来店する客の車を駐車できるようになってました。ちょうど、アメリカの片田舎にある雑貨店を連想させるような外観でした。店内は床張りとなっていて、照明も明るく、買い物には便利かもしれませんが、田舎独特の人情が薄いものです。ただ、観光客にとっては土間形式で雑然とした店内のある従来型の雑貨店が楽しいのですが、島民にとってはこちらの方がいいかもしれません。
内地の田舎に突如イオンの巨大ショッピングモールができると、周囲の商店街は売上げが減少してシャッター通りと化します。すると、島での与儀商店は、在来型の雑貨店の経営を圧迫するのではないか、と思うかもしれません。しかし、両者は全く競合しないのです。与儀商店の入り口付近には多少の野菜や食料品が置いてあるのですが、販売のメインは雑貨であり、それも比較的大きなものです。クギ、チェーンソー、針金などの農家や工務店が使うハードウエア関係が多く、ホームセンターのようなものでした。自転車まで売ってました。こうして、与儀商店は島内の建設会社、農家などに材料を販売するのが主力となって、飲食物や食品が主力の雑貨店とは棲み分けができているのです。