集落のメインストリートから少し外れた場所で運営しているのが仲程商店です。外観は木造平屋モルタル造りで、外部も内部も典型的な離島の雑貨店です。店舗と住宅が隣接し、店の奥が居間となっていて、来客があれば奥から店主が出てくる形態なのです。この店では、おばあちゃんが店番してましたが、その後ろにある棚をよく見ると、防犯カメラのモニターが入ってました。こんな小さな店でも万引きがあるのでしょうか、それともマナーの無い客へのこけ威しでしょうか。モニターはちゃんと動作していましたので、単なる飾りではなさそうです。
職住が接近した田舎の雑貨店の形態は、内地の山奥でも見かけられますが、島の雑貨店の特徴は商品の種類と量が極端に多いことです。店内には人がやっと歩ける程度の通路を確保して、両側に棚を設けてあります。棚には缶詰、調味料、菓子などのあらゆる商品がギッシリと積まれてました。これは商品の入荷があてにならないための自衛策です。内地であれば、商品が足らなければ電話で注文すると、どんな山奥であっても1、2日で配達されます。しかし、ここは絶海の孤島であり、定期便は月に数回あるだけです。それも台風シーズンになれば欠航するため当てになりません。万一のことを想定し、店では常に商品をギッシリと溜め込むことで商品の欠品を防止しているのです。これらの商品は全て買い取りのようで、委託販売のような生易しいものはなさそうです。従って、雑貨店を運営していくには相当の軍資金が必要となります。
店の奥の上がりカマチで女性2人が雑談してました。店の人かと思ったら、近所の住人なんだそうで、暇つぶしに来店したとのこと。店内は一年中クーラーをかけてあり、涼しくなっているので住人の社交場となってました。都内のコンビニでも、昨今はコーヒーコーナーを設けるようになり、町内の住人の社交場となっています。離島の雑貨店では、ずっと昔から周囲の住人のためのお喋りの場を提供してきたのです。
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