朝日新聞1999検証
日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連の社説が5本あり、ガイドライン関連法成立阻止に向けた怨念が感じられる。
そのなかで、1999年(平成11年)3月13日の社説「ガイドライン法案審議に 『日米中』の将来を語れ」において、
中国との関係の重視を提言している。しかし、具体的方策は述べられていない。
その他のガイドライン関連社説においても、従来の主張と変わらない。
日本はアメリカに軍事協力すべきでない、
平和に向けた予防外交を、
といった実現性のないものである。
1999年5月21日の社説「TMDが緊張をつくる ガイドライン法案審議に」では、
「中国、ロシア、韓国の反対」
「TMDの技術的実現性」
「相互確証破壊理論の崩壊の危機」
「アジアへ緊張をもたらす」
との理由で反対している。
核の傘という抑止力を非難してきた朝日新聞が、ここにきて核の傘抑止力という考えの大元である相互確証破壊理論をもちだしている。日本のTMD研究を阻止するためなら手段を選ばないとの意思表示のようである。
1999年7月19日の社説「空中給油機 導入は間尺に合わない」において、
「冷戦期ならともかく」
「脅威のない今、航空機による大規模侵攻はなく、空中給油機は必要ない」
との主張であるが、
冷戦期においても空中給油機はおろかマクドネル・ダグラスF-4ファントム戦闘機導入の反対し、F-15イーグル戦闘機の装備削減を主張してきた朝日新聞は、過去の言質を問いただす必要があろう。
ミサイル基地への先制攻撃については、周辺国家の警戒があると社説では述べられているが、日本の危機と周辺諸国の警戒のどちらが重要なのか、認識が問われる。
1999年10月20日の社説「これはひどすぎる」では、
西村慎吾防衛政務次官の核保有論議推奨を
「核の保有や製造、持ち込みを禁じた非核三原則は、唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を目指す国民合意の結実であり、東アジアや世界の平和の土台のひとつである。それを西村氏は踏みにじった。」
と、強い調子で非難している。
非核三原則は核兵器の保有を論じることまでは禁止しておらず、これを禁止しようものならば、それは言論の自由に反する。
そして、非核三原則は国会決議に過ぎない。核兵器保有に反対する、TMDにも反対する、それでは日本はどのように核社会から身を守ればいいのか。
1999年の朝日新聞は日本の先行軍縮による国際情勢の緊張緩和という妄想、日本の防衛弱体化をすすめるため、手段を選ばず、論理も破綻して、迷走している。