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フィルムカメラの黄金時代--CONTAX RTS II QUARTZ

2007-01-01 | カメラ
 今回は「CONTAX RTSⅡ QUARTZ」を取り上げてみました。昭和50年(1975年)ヤシカとカールツァイス財団のカメラ部門が提携しポルシェデザインによる初代コンッタックスRTSを発売しましたが、ボディ価格も高価でした。当時は、ツアイスT*レンズ群も二系列ラインナップされていて、高級タイプはまだ西ドイツで生産していました。
 シャッターは、電磁レリーズを採用したため通常の一眼レフを使っている人には、戸惑うくらい軽く、指を乗せただけでシャッターが切れてしまいます。リアルタイムシステムというネーミングで日本のカメラ市場に登場した。しかしこのカメラはメインスイッチがなく、電源のOFFができず不便でした。発売当時国内ではニコン、キャノン、ミノルタ、オリンパス、ペンタックスなど各社が鎬を削っていました。初代はトラブルに悩まされ、今でもまともな中古はなかなか珍しいと思います。
 写真の「CONTAX RTSⅡクォーツ」は昭和57年(1982年)に発売され、デザインも初代を踏襲していますが、中身の配線がゴチャゴチャしていてトラブルの原因だった電気系統を整理し、電子基板化され、メインスイッチもついて、信頼性も向上しています。操作性は他社とは少し違い、シャッターダイヤルは左手側に配置されています。絞り優先を意識しているための配慮だと思います。発売当時、国産のNIKON F2 ASよりも高価でしたので、余り売れていないようです。状態のよいものは希少です。特筆すべきはファインダーが明るく優秀で見やすく、各種表示もわかりやすいことです。金色に輝いているのは「CONTAX50周年記念」のシンクロキャップです。電子シャッターですがレリーズが使用できバルブ撮影に便利で、それに緊急用に1/50の機械シャッターも搭載され、まさにプロ仕様です。
ヤシカは、いち早くカメラの電子化に取り組んでいたメーカーのひとつで、「Electro 35」シリーズなどは、電子制御の分野では他社をリードしていました。当時のフィルム撮影タイプの防犯カメラ分野でもロータリーシャッター+モータードライブ+長尺フィルム(TX 400)で優秀なシステムを供給していました。

CONTAX RTS Ⅱ QUARTZ 性能諸元(使用説明書参照)

形式 電子制御式AE35mmフォーカルプレーンシャッター一眼レフカメラ

画面サイズ 24mm×36mm

レンズマウント コンタックス/ヤシカマウント

シャッター型式 横走りチタン幕フォーカルプレンシャッター(クォーツ制御)

シャッタースピード オート時…16秒~1/2000秒

マニュアル時…X(1/60秒)、B、4秒~1/2000秒の16段階

機械シャッター:1/50秒及びB

シンクロ接点 X接点(1/60秒で同調)

ダイレクトX接点及びシンクロターミナル付

セルフタイマー 作動時間10秒(クォーツ制御)、LEDによる作動表示付(シャッターレリーズ2秒前に点滅サイクルが変わる)、途中解除可能

レリーズ 電磁レリーズ(専用レリーズソケット付)及び機械レリーズ

一般撮影測光 TTL中央重点開放測光(受光素子SPD)、絞り優先AE方式

測光範囲 ASA100でF1.4レンズ使用時EV-1(f1.4・4秒)~EV19(f16・1/2000秒)

フィルム連動範囲 ASA12~3200

ストロボ測光 TLAフラッシュシステム時:TTL中央重点ダイレクト測光による自動調光(受光素子-専用SPD)

同調シャッター速度 1/60秒(充電完了と同時に自動切替え方式)

露出の表示 ボタン式(ワンプッシュで16秒間表示)

露出補正機構 ダイヤル切替え式、+2EV~-2EV(1/2EVごとにクリック付、中間も可)

AEロック レバー式(像面光量記憶方式)

ファインダー ペンタプリズム使用のアイレベル型

視野率…97%

倍率…約0.87倍(50㎜標準レンズ)、アイピースシャッター内蔵

フォーカシングスクリーン マイクロプリズム型を標準装備、他7種のスクリーンと交換可能(レンズマウント部より交換)

ファインダー内表示 絞り表示、露出補正表示(LEDデジタル表示…赤色)、シャッター速度表示、露出オーバー/アンダー表示(LED文字アレー表示…赤色)、TLAストロボ充電/調光確認マーク(LED表示…緑色)

フィルム巻上げ レバー式(巻上げ角120°予備角20°)、小刻み巻上げ可能

フィルム巻戻し 巻き戻しボタン(自動復元)及び巻戻しクランク(クラッチ内蔵)による回転式 巻戻し時指を離しても逆廻りしない

フィルムカウンター 自動復元順算式、カウンター1まではシャッターダイヤル位置に関係なくカメラは1/60秒に自動セット(Bを除く)

多重露光 巻戻しボタン利用により可能

アクセサリーシュー ダイレクトX接点及びTLAフラッシュシステム連動接点付

裏蓋 巻戻しノブ引上げによる開閉式、メモポケット付、着脱可能

絞り込み機構 ボタン式(メカニカルシャッターボタン兼用)

電源 6.2V銀電池JIS 4SR44(4G13タイプ)、または6Vアルカリ電池JIS 4LR44を1個使用 メインスイッチ付

電源チェック ファインダー内LED表示の点灯、点滅で確認

その他 モータードライブ/ワインダー接続機構付、データバック用LED付

大きさ 142mm(幅)×89.5mm(高さ)×50mm(奥行)

重量 約735g(電池別)

発売年月 1982年4月

発売時価格 ボディのみ138,000円

50㎜F1.4付181,000円、ケース7,000円、プロフェッショナルモータードライブW-6・80,000円、リアルタイムワインダーW-3・32,000円、データバッククォーツD-4・19,000円、フラッシュシステムTLA30・32,000円

 写真のレンズは「プラナー 85mmF1.4 MMJ」です。35mm判ツアイスレンズの中でも特に有名なレンズです。開放での描写には、特徴があるようですが、ピントが甘く感じられ思うように使いこなせず、手放す方が多いと聞きます。しかし撮影条件や、絞り値など色々な条件を考えながら使ってみると、なかなか奥が深いレンズです。このレンズは大変重く、石の塊が鏡胴に収まっている感じです。
ヤシカ製のMLレンズシリーズも、あまり知られていませんが、28mm、35mmなど大変優秀なレンズです。前述の防犯カメラに採用されて、優れた解像度で、金融機関などの強盗事件などで撮影されたフィルムを引き伸ばし、犯人の割り出しに活躍していたことはあまり知られていません。
これらのレンズは比較的安価でしたが、有名な「富岡光学」製で、ツアイスレンズを国内で生産組み立てをしている優秀な技術の会社でした。


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