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平群にある紀氏神社

2021-02-25 09:16:00 | 日記
平群に紀氏神社があると聞き、行って見ることにした。紀氏は紀伊国を地盤とする豪族であり、何故ここに神社があるのだろうか?
長屋王の墓に近く、田園の中にこんもりと林に覆われたところに神社はあった。正確には平群坐紀氏(へぐりにますきし)神社という。創建年は不明だが、8世紀にはその名が文献に見えるらしい。
参道は玉砂利に敷石が拭かれている。右手は社務所兼宮司の居宅らしく、宮司の常駐する神社は平群に2社しかないという。


祭神は天照大神、天児屋(アメノコヤネ)命、都久宿禰、八幡大菩薩の4柱と、何ともチグハグな印象を受ける。
まず、本殿は西向きであり、これでアマテラスが主神というのは無理がある。アメノコヤネは春日神であり、八幡大菩薩に至っては神仏混淆の名残だろうか。
元々は都久宿禰を祭ったのではないのだろうか。都久(つく)はミミズクの古称であり平群木兎とされる。平群、葛城、紀氏は武内宿禰の子とされ、漸くここでリンクが繋がる。
しかし祭神に紀氏は出てこない。何故紀氏神社なのだろうか。


拝殿前は、3つの小屋に囲まれている。座小屋というらしい。左右(南北)の小屋は土間だが、西の小屋は板張りになっており、なんのためにこうなっているのか分からない。

本殿を覗いてみると、階段に菰がかけられていた。

結局、何も分からなかったが、不思議な神社だった。外界から取り残されたという感がある。

神社を出ると、老弱男女20人ぐらいの集団が喋りながら道を歩いていた。何なんだろうか、この地は。






三輪名物「ふし」を味わう

2021-02-21 16:50:00 | 日記
日曜日、大神神社に行くと大勢の人で賑わっていた。ここの駐車場は第六駐車場まであり、恐らく千台ぐらいは駐車できる。その駐車場がほぼ満杯だった。
今日だけでなく、土日は大体これぐらいの参拝客が押し寄せる。こんな神社、見たことがない。

さて、参道には露天や店が並び、ユリネなどの珍しい食材が並ぶ。その中で目を引いたのが「ふし」だった。

ここ辺りは三輪素麺の産地。素麺は2本の棒で引き伸ばして乾燥させるが、棒の近くは屈曲し平たくなり、製品にはならない。これを纏めて商品化したのが「ふし」ということらしい。
参道の食堂で出しているようなので早速入ってみた。釜飯定食を頼んでみる。まず付き出しのように小皿4皿が出される。

左から「ふし」の揚げ物、ふし入りのお吸い物、大和菜のお浸し、自家製豆腐だそうで、どれも美味しい。
次ににゅうめんが来た。

流石に関西、薄味で出汁が効いている。スダチのアクセントもとてもよい。因みに奥の丸い水槽は冷たい素麺を注文した時に使われる回し素麺器で、隣のテーブルではこれを使っていた。
最後にアサリの釜飯と香の物が出てきた。

これで税込990円は安い。三輪以外では中々味わえないであろう。
ところでこの店の前にはクレープの自動販売機があった。甘いものは苦手なので手を出さなかったが、数分間見つめてしまった。







宇佐美りんの 推し、燃ゆ

2021-02-17 16:25:00 | 日記
「推し、燃ゆ」とは、「応援しているアイドルがネット上で炎上」という意味だ。
この題名から、何かコミカルな学園小説?ぐらいな印象を持っていたが、2021年1月、芥川賞を受賞したと聞き、読んでみることにした。


15才の高校生「あかり」は、アイドルの「真幸」に入れ上げている。CDが出れば100枚以上買い込んで握手券を手に入れ、彼が出た番組は皆録画し、発言を書き取りネットに上げる。バイト代は全て彼関係に消えるといった具合だが、その彼が女性を殴ったとしてネットで炎上した。
それでもあかりの入れ上げは変わらない。「真幸はあたしの背骨だ」という。自分がこの世に繋がるただ一本の糸「推し」。やがてあかりはガリガリに痩せ、学業も不振で留年になったのを機に退学する。そのうち真幸は芸能界引退を発表しその左手の薬指には指輪があった。

この小説では、状況の説明が全くない。何故真幸が女を殴ったのか、その女とは誰なのか、あかりの「病気」とは何なのか、天候や季節も省略され、ただただあたし視点で推しの日常が綴られていく。

読後の第一感は、これは紛れもなく文学だ、だった。
ボオっとして呆れると共に、作者の鋭い感性と想像力に戸惑った。
芥川は、「文芸的な、あまりに文芸的な」で小説の物語性に重きを置かない立場を表明した。小説にストーリーを求めないとしたら何があるのか、この小説はその答えの一つを明快に出している。
昔は作家は50過ぎで漸く駆け出し、と言われたが、作者は21才の大学生。すごい人が出てきたものだ。