従軍慰安婦問題をめぐり強制性と日本軍の関与を認めた河野談話について、菅官房長官が見直すとも受け取れる発言をした。「学術的観点からさらなる検討が重ねられることが望ましい。踏襲するとか、しないとかではない」と慎重な言い回しではある。しかし、安倍首相自身が河野談話の修正論者で“前例”もあるだけに、いずれまた本性を現すのではないか、との懸念は拭い切れない。
衆院選大勝のおごりか。「タカ派路線」を前面に押し出すのなら看過できない。自制を求めたい。前回の安倍内閣は慰安婦問題について「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」として、河野談話を見直す趣旨の政府答弁書を閣議決定している。しかし、その後に起こった反響を思い起こしてもらいたい。同年7月に米下院本会議は「慰安婦制度は日本政府による強制的売春」として、日本政府に公式謝罪を要求。オランダ、カナダ、EUの議会も同様の決議を採択した。欧米をはじめとした国際社会が、慰安婦問題に向ける視線は極めて厳しい。日本政府は「強制性」にこだわるが、国際社会は「人道に対する罪」と受け止め、日本政府に真摯な対応を求めている。外務省OBの東郷和彦氏は最近の論考で、慰安婦問題への対応を誤れば、日本は韓国だけでなく欧米諸国との間にも計り知れない対立を生んで「完全な国際的孤立に陥り」「(戦後)最大の外交敗北」を引き起こすと指摘している。
菅官房長官は「安倍内閣としては、まず政治、外交問題にさせない」とも述べたが、今後の対応次第では日韓だけでなく、重要な同盟国であるはずの米国との関係も深刻になる事態も予想される。政府は今後、慰安婦問題については有識者会議などの形式ではなく、学術的な見解を内々に聴くなどして検討を重ねる方針という。
慰安婦問題での学術的な調査、研究は確かに必要だろう。しかしそれは、日本と国際社会との間に深まった溝を埋めるためのものでなくてはなるまい。自らの歴史認識に固執するあまりに国際的孤立と「外交敗北」を招き、国益を損ねるようなことがあっては断じてならない。(琉球新報より)
まず何より重要なのは、政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかったことである。何の根拠もない中でろくな調査もせずに、時の首相である宮沢喜一が韓国大統領との首脳会談で何度も謝罪し、また歴史家の現地調査によって強制連行が虚偽であることが明らかになったにも拘らず、河野官房長官の事実無根の作文である「河野談話」を発表したことで、現在の慰安婦問題が形成されていったというのが実際の経緯であるということだ。
「嘘も100回重ねれば真実になる」という言葉を地で行っているとんでもない問題であるが、この嘘の部分を嘘であると公的に証明した上で、「河野談話」を撤回することは何一つ間違いではない。この記事を端的に訳せば、「事実ではないが日本は韓国に対して不利益であるのが望ましい」ということか。最も重要な事実性を無視して、根拠のない「河野談話」を金科玉条のごとく掲げ、それを根拠に事実に仕立て上げるなど、過去の日本を侮辱するに等しい行為である。
また、欧米の各国が日本国政府に謝罪を要求したという部分であるが、まず米国では「アメリカ合衆国下院121号決議」と呼ばれるのがこれであるが、10人ほど議員が出席して投票ではなく声による反対意見無しが確認された上で、満場一致で採択されたものであり、法的拘束力はなく、また上院に送られるようなものでもない決議である。しかもこの決議が採択された後、下院が対日友好決議をあえて行い、最も精力的に活動していたマイク・ホンダ議員が中国の献金を受けていたことが報道され、また、議会の最終的な報告書では前回のものと異なり、慰安婦の強制連行の有無については日本政府の立場を支持し、政府としての強制連行は無かっただろうと結論づけており、また決議案もかなりトーンダウンしており、日本政府による強制連行などについては言及が無くなっているのが事実であり、都合のよい一部分だけを抜き取って事実を捻じ曲げた報道を行っているのである。
オランダでは、オランダ議会下院で日本政府に対し「慰安婦」問題で元慰安婦への謝罪と補償などを求める慰安婦問題謝罪要求決議がなされたが、法的には解決済みであることを認めているし、カナダの決議案では「日本政府は日本軍のための『慰安婦』の性的な奴隷化や人身売買は実在しなかったとするような主張は明確かつ公的に否定していくこと」と明記されている。あくまで真実を明らかにすべきということであって、日本に謝罪賠償を繰り返すようには言っていない。EUに関しては、27カ国議員定数785名中、委員会には57名の出席し、賛成54、棄権3により可決されたものであるが、ここでは慰安婦問題というよりは人権問題として捉えられているようである。事実ではない話を基にした決議であるので、日本としては事実関係を正しく伝えていけばいいと思うが、それ以上に、EU各国の中には同時期に慰安所を設置していた国家(イギリス、ドイツ、フランス)があることを忘れてはいけないということだ。日本だけがなぜ責められなければならないのだろうか。
欧米の慰安所はいい慰安所で、日本の慰安所は悪い慰安所とでもいうのか?否、一番大きいのは韓国がすでに解決済みの問題を蒸し返してあちこちでロビー活動を繰り広げていることだろう。加えて宮沢喜一や河野洋平の政治的不手際こそが問題なのだ。日韓の間では、日韓基本条約において両国とその国民との間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたことが確認されているし、当時の韓国政府に対し、韓国国家予算の3倍以上にあたる11億ドルを、「個人ではなく政府に」という韓国政府の要求にしたがって支払っている。当然この中には慰安婦問題に対する保障も含まれていることになる。
日本として必要なのは、日韓基本条約で保障問題はすべて解決していることと、そもそも事実としての強制連行等の行為はなかったことを証明した上で河野談話を破棄することであろう。非難決議を行った国でさえ、日本にそれを求めているということをもっと重視すべきである。その先にあるのは、この記事の言うような「国際的孤立」などでは決してないのだから。

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衆院選大勝のおごりか。「タカ派路線」を前面に押し出すのなら看過できない。自制を求めたい。前回の安倍内閣は慰安婦問題について「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」として、河野談話を見直す趣旨の政府答弁書を閣議決定している。しかし、その後に起こった反響を思い起こしてもらいたい。同年7月に米下院本会議は「慰安婦制度は日本政府による強制的売春」として、日本政府に公式謝罪を要求。オランダ、カナダ、EUの議会も同様の決議を採択した。欧米をはじめとした国際社会が、慰安婦問題に向ける視線は極めて厳しい。日本政府は「強制性」にこだわるが、国際社会は「人道に対する罪」と受け止め、日本政府に真摯な対応を求めている。外務省OBの東郷和彦氏は最近の論考で、慰安婦問題への対応を誤れば、日本は韓国だけでなく欧米諸国との間にも計り知れない対立を生んで「完全な国際的孤立に陥り」「(戦後)最大の外交敗北」を引き起こすと指摘している。
菅官房長官は「安倍内閣としては、まず政治、外交問題にさせない」とも述べたが、今後の対応次第では日韓だけでなく、重要な同盟国であるはずの米国との関係も深刻になる事態も予想される。政府は今後、慰安婦問題については有識者会議などの形式ではなく、学術的な見解を内々に聴くなどして検討を重ねる方針という。
慰安婦問題での学術的な調査、研究は確かに必要だろう。しかしそれは、日本と国際社会との間に深まった溝を埋めるためのものでなくてはなるまい。自らの歴史認識に固執するあまりに国際的孤立と「外交敗北」を招き、国益を損ねるようなことがあっては断じてならない。(琉球新報より)
まず何より重要なのは、政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかったことである。何の根拠もない中でろくな調査もせずに、時の首相である宮沢喜一が韓国大統領との首脳会談で何度も謝罪し、また歴史家の現地調査によって強制連行が虚偽であることが明らかになったにも拘らず、河野官房長官の事実無根の作文である「河野談話」を発表したことで、現在の慰安婦問題が形成されていったというのが実際の経緯であるということだ。
「嘘も100回重ねれば真実になる」という言葉を地で行っているとんでもない問題であるが、この嘘の部分を嘘であると公的に証明した上で、「河野談話」を撤回することは何一つ間違いではない。この記事を端的に訳せば、「事実ではないが日本は韓国に対して不利益であるのが望ましい」ということか。最も重要な事実性を無視して、根拠のない「河野談話」を金科玉条のごとく掲げ、それを根拠に事実に仕立て上げるなど、過去の日本を侮辱するに等しい行為である。
また、欧米の各国が日本国政府に謝罪を要求したという部分であるが、まず米国では「アメリカ合衆国下院121号決議」と呼ばれるのがこれであるが、10人ほど議員が出席して投票ではなく声による反対意見無しが確認された上で、満場一致で採択されたものであり、法的拘束力はなく、また上院に送られるようなものでもない決議である。しかもこの決議が採択された後、下院が対日友好決議をあえて行い、最も精力的に活動していたマイク・ホンダ議員が中国の献金を受けていたことが報道され、また、議会の最終的な報告書では前回のものと異なり、慰安婦の強制連行の有無については日本政府の立場を支持し、政府としての強制連行は無かっただろうと結論づけており、また決議案もかなりトーンダウンしており、日本政府による強制連行などについては言及が無くなっているのが事実であり、都合のよい一部分だけを抜き取って事実を捻じ曲げた報道を行っているのである。
オランダでは、オランダ議会下院で日本政府に対し「慰安婦」問題で元慰安婦への謝罪と補償などを求める慰安婦問題謝罪要求決議がなされたが、法的には解決済みであることを認めているし、カナダの決議案では「日本政府は日本軍のための『慰安婦』の性的な奴隷化や人身売買は実在しなかったとするような主張は明確かつ公的に否定していくこと」と明記されている。あくまで真実を明らかにすべきということであって、日本に謝罪賠償を繰り返すようには言っていない。EUに関しては、27カ国議員定数785名中、委員会には57名の出席し、賛成54、棄権3により可決されたものであるが、ここでは慰安婦問題というよりは人権問題として捉えられているようである。事実ではない話を基にした決議であるので、日本としては事実関係を正しく伝えていけばいいと思うが、それ以上に、EU各国の中には同時期に慰安所を設置していた国家(イギリス、ドイツ、フランス)があることを忘れてはいけないということだ。日本だけがなぜ責められなければならないのだろうか。
欧米の慰安所はいい慰安所で、日本の慰安所は悪い慰安所とでもいうのか?否、一番大きいのは韓国がすでに解決済みの問題を蒸し返してあちこちでロビー活動を繰り広げていることだろう。加えて宮沢喜一や河野洋平の政治的不手際こそが問題なのだ。日韓の間では、日韓基本条約において両国とその国民との間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたことが確認されているし、当時の韓国政府に対し、韓国国家予算の3倍以上にあたる11億ドルを、「個人ではなく政府に」という韓国政府の要求にしたがって支払っている。当然この中には慰安婦問題に対する保障も含まれていることになる。
日本として必要なのは、日韓基本条約で保障問題はすべて解決していることと、そもそも事実としての強制連行等の行為はなかったことを証明した上で河野談話を破棄することであろう。非難決議を行った国でさえ、日本にそれを求めているということをもっと重視すべきである。その先にあるのは、この記事の言うような「国際的孤立」などでは決してないのだから。

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