アメリカ!編みんぐ_AMING

アメリカ/ 魅了された編み物生活

ロッキーのさすらい

2006-03-25 15:59:53 | Weblog



1999年8月、コロラドの夏のピークも過ぎ夜にはすっかり秋への様変わりを感じさせる虫の音が聞けるようになってきたところです。
夏休みの思い出にとアイダホスプリングからちょっと北に入ったクリアクリーク山系の渓谷にあるセントマリーズ氷河<英語ではglacier>へ息子とでかけました。
http://hikingincolorado.org/stmary.html
http://colorado.inmotion365.com/
11000フィート<およそ3300メートル>の標高に10エーカーの広がりを持つ万年雪があり、ロッキー国立公園の中でも珍しいスポットとして知られている所です。駐車場からガラ道を歩くこと30分。切り立った崖に囲まれたそれはそれは美しいセントマリーズ湖が松林の中から抜け出るようにして現れていました。なんとその美しい娘を抱くように切り立っている崖の上からセントマリーズ氷河が頭上から覆いかぶさるようにして湖へ落下してきています。湖の周囲は湿地帯で潅木が茂り、マリーズ湖底は氷河から押し流されてくるピートモスを一杯ためて濃いエメラルド色を呈しています。湖畔から氷河の滝を登り、エレベーションは11000フィートから一気に上がります。氷河の上を滑らないように慎重に息子と登って行きました。傍でサマースキーとスノーボードを楽しんでいる若人を横目で見過しました。あんまり見とれているとその氷河の勾配の急さに登る足が立ちすくんできます。ガラ場も過ぎ、全くのアイス一色になると11歳の息子は急激な標高の稼ぎと酸欠で半泣きになってきました。<マーム!マーム!>という息子の叫び声が段々に遠のいて聞こえてきます。私と息子の距離はそんなに開いていないのですが、氷河の谷を吹き降ろす強風に掻き消されてしまうのです。とうとう、足を止め、泣きじゃくりかけている息子を待ちました。息子は私に近ずくやいなや、私が薄情で待ってくれないとかゆっくり一緒に歩かないとかののしり始めたので、山のことについてちょっと説明を始めました。お母さんは決して息子より早く歩こうとしているわけではなく自分のテンポを酸素の希薄な標高で一定に補給できるよう、またエネルギーを均一に燃焼して頂上まで行けるように歩く速さを持続させていることを言いました。息子はちょっと楽な登りになると走ったり、急なのぼりになると立ち止まったりしています。私は只、足元を見つめ、一歩一歩自分のムラのないペースで歩くように言いました。沢山休みをとるのも良くないし、遅いと思える速さでもいいから歩き続けること。休みは呼吸を整えるだけの時間にすること。おかあさんから離れたといって焦らない。姿が見えなくなっても、道はひとすじだから必ず先で待っているということを言って再スタートしました。氷河を下から見た限りは小1時間で往復できるつもりでしたが意外にも、とても奥深い氷河です。先を歩いていた人々がどんどん引き返してくるのにすれ違うのでますます、錯覚してすぐだと思っていたのは間違いで、みんな途中であきらめて頂上までいかず引き返して来ていたのでした。もう誰一人ひとは見られず、氷河の終焉は私と息子の唯2人が登っていました。やっと氷河を抜け高原にたちましたが視界は広がりません。ピークはまだまだのようで、そこから歩くこと40分。やっと大きな岩のピークにたつことができました。意地の悪い風も止まり、前方にMt.Jamesの稜線が見えてきます。南の方角には美しい Mt.Evance。Yankee hillが青空の上に浮かび上がっていました。そのはるか彼方にコロラド州の東部、つまり大草原<prairie>が広がっています。コロラド州はロッキー山脈と大草原とに2分割されているのが良くわかります。コロラドはほぼ本州と同じくらいの大きさなので、本州の西半分がロッキー山脈であり東半分が大草原といった感じになります。そうして眺めていると、稜線が途切れたところから小さなウサギがピョンと飛び出てきたように見えましたが、段々、近ずいてくるに従ってそれがわが息子だと気付きました。おーい!と叫ぶとそれに反応してピッチを上げて歩きだしたのでこれは間違いなくわが息子に違いないと思い頼もしく、ピークの岩の上で待っていました。もう、ダウンして登って来ないだろうから、5分の休憩をとった後、引き返して助けにいこうと思っていた矢先でしたから、息子が頂上の最後の岩にしがみつきながら悲惨な顔を見せたときは、ほら!もう最後の1歩だよ!と言って励ましました。やっとピークに這い上がって来た息子からさんざんなののしり、泣き言を期待していましたが、意外にも<お母さん、僕やったねえ~!><うん、うん、すごいぞ!><すごいなあ!僕登れたなんて!すばらしい景色だねえ!>と忙しく感激している息子の言葉になんともいえない喜びを感じました。
12000フィート<およそ3600メートル>をこしていたでしょうか。登りは2時間弱だったから下りは40分くらいだからね。というと息子は元気を取り戻し、るんるんでした。下りの高原の潅木の間を忙しく飛び回っている目の覚めるようなロイヤルブルーの鳥を見かけました。おそらくマウンテインブルーバードでしょう。


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2 コメント

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お邪魔します (chieko)
2006-03-28 14:27:33
ご案内を見つけて早速~、

「こんにちは」



かなりお忙しいだろうに、ブログの公開なんて、またまた手間のかかることをしてしまうのが、なんとまあ、あなたらしい。

いつもすごいエネルギーに圧倒されます。



ほどほとに楽しませてくださいね。

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いや~~は!まいった。 (ななこ)
2006-03-28 15:04:45
アップしたものの複数画像がアップできなくて2時間もうらうらしている最中にコメントの表示がでてきたのでびっくり。さっそくご登場していただき感謝しま~~~~~~~す。たかが団塊、されど団塊でがんばってま~~す。
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