nagoya-fe PLUS

一度一度の機会を大切に。

9.6KL液糖タンクローリー

2015-01-31 12:16:26 | 特殊系トラック

2012年3月に福岡県で撮影した「9.6KL液糖タンクローリー」をご紹介します。

液糖とは液状の水飴や異性化糖、しょ糖類のことを指し、食品原料として輸送は専用のタンクローリーが用いられます。タンクは保温構造となっており、これにより液質の変化(温度低下による粘度の増加や結晶化)を防いでいます。タンク内は防波板で三室程度に区切られ、危険物のように完全な仕切りではなく防波板の上下が通っています(写真参照)。またタンクを新円形にすることで洗浄を確実のものとし、各配管や接続部は取り外して洗浄しやすいように工夫されているのが食品用タンクローリーの特徴です。

最大数量は9.6KL、最大積載量は12,000kgと積載性能はGVW25tの単車並ですが、ホイールベースの関係からキャブとタンクとの間に無駄なスペースが発生してしまう単車と比較すると、全長の短縮や取り回しの良さはトレーラの方が良いでしょう。比重は1.25と推測。トレーラー化することで架装量にも余裕があることから、車検取得の際に装備等を取り外す必要がなく、正しい車検を受けることができます。

積込は主にタンク上部のマンホールから流入し、排出は後部に設置された油圧駆動のポンプで実施します。自車ポンプを駆動させるにはPTOを備えたトラクターが必要となりますが、異物混入の防止や洗浄方法の観点から客先がポンプ本体の管理を実施するケースもあり、その場合は自車のポンプは使用せずに客先の設備を使用します。

これらの流入・排出作業を行う場合、タンク内圧力の過大な変化を防ぐため先頭のカマボコ状のカバー内には通気口とフィルターが装備されています。しかし、このショート尺のタンクにマンホールが大小合わせ、4ヶ所も必要なのか?と思ってしまいますが、マンホールに狂いなくセットできるような洗浄・積込の位置にシビアな出荷場所があるのでしょうか?

車台(タンク下)には通常の各ブレーキラインや電気ラインの他、油圧用の配管も引き通されています。タンク本体は細部の特徴から「青木製作所」製であると思われ、車台は「日本フルハーフ」製で間違いないでしょう。

後部は中央部分に吐出口バルブ、食品用のロータリーポンプを配置。左側部分にはロータリーポンプを駆動させるための油圧ポンプと減速機が設置されています。上部へアクセスするはしごはタンク側面に設置されることが多いのですが、この会社の液糖ローリーは基本的にはしごが後部設置されているのが特徴です。

フェンダーやサイドバンパーの形状、そして吐出口とポンプ周辺機器を被うカバーの形状からは“青木製作所らしさ”を感じ取れないことから、車台とタンクの結合(載せ換え)やタンク本体以外に関わる部分の製作が泥除けタレゴムに明記された「矢野特殊自動車」であると思います。このように各部から「青木製作所」「日本フルハーフ」「矢野特殊自動車」と、それぞれの特徴を見出すのも楽しみのひとつです。矢野特殊自動車がライセンス生産しているのであれば内容は変わってきますがねぇ。

それと少し扁平気味のタイヤも気になりますね。