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一度一度の機会を大切に。

国際航業 移動体計測車両(ROADMAN)

2016-11-20 12:41:52 | 特種用途自動車

先日、名古屋市内でみかけた車両です。
調べてみますと国際航業の移動体計測車両という車両らしく、走行しながら路面の状態を確認(評価)し、依頼元へ路面データを提供している車両のようです。撮影時も路面調査稼働中のようで実際に光を路面に当てている様子が知れます。
ベースはいすゞエルフのエアサス車。受注納品はいすゞ首都圏。主要計測機器等のメーカーは不明ですが、車体架装は細部の特徴からコーワテック製だと推測します。複数台所有しているのでしょうか、車体には「RM7」と表記されています。

▼昼間でも認識できる光を放ちながら計測している。発光器具自体の見た目は蛍光灯のようであるが、路面に映し出される配光具合からして特殊な器具であるのだろう。

▼車軸からエアサスの一部が伺える。制動灯類も地上から高い場所に設置されているのだが計測機器等への干渉等、何らかの理由があるのだろうか。

▼拡大明暗画像調整後の後部。日中でも配光視認できる発光器具はなんだろう。
 


記事作成にあたり、参考にさせていただいたリンク先

→国際航業>路面性状調査>走行車両による路面データ等の取得
 http://www.kkc.co.jp/service/infra/roadman.html


中部電力 空輸仕様高圧発電機車

2016-11-11 21:51:39 | 特種用途自動車

先日、実施された「平成28年度愛知県・弥富市津波・地震防災訓練」で撮影した中部電力保有の高圧発電機車(電源車)について取り上げます。

当訓練では「孤立地域に対する個別送電訓練」として項目に組み込まれ、陸上自衛隊の輸送ヘリコプターにて高圧発電機車を吊り下げ空輸するという訓練が実施されました。正直、「発電機を吊り上げる」と事前情報では聞いておりましたが、定置式発電機を吊り上げるというイメージで撮影に望んでいたため、車両を吊り下げるという訓練内容には非常に驚かされました。



―空輸仕様、開発の簡単な経緯
情報によれば、この空輸仕様となった高圧発電機車は平成17年に九州電力が災害時、道路寸断等により孤立した停電地域に迅速な電力供給が行えるようと開発。平成18年には陸上自衛隊との共同訓練で空輸に成功。平成22年には実災害において実施された輸送方法です。一方で中部電力における「高圧発電機車の空輸」は近年、展開実施されたようで、公の場における飛行訓練(空輸)は今回が初めてとのことです。

―発電機車について
車体表記によれば当高圧発電機車は“空輸仕様”とされ、通常の高圧発電機車と比較し、車両寸法の小型化や車両重量約1,000kgの軽量化。またヘリコプターから吹き降ろされる風圧荷重を低減するため、曲線を描いた屋根構造となっていることが特徴のようです。また架装元の神鋼造機のウェブサイトによれば発電出力300kVAのみ空輸仕様が設定されており、通常仕様との重量差は約1,150kgとなっています。

▼架装は神鋼造機。ベースは軽量化を図るためか2トン車(日野XZU710)を用いる。

▼ヘリコプターからの風圧を逃すために曲線構造とした屋根。

▼同等出力を持つ一般型車両との比較。
屋根構造は平面である。また一般型はひと回り大きい4トン車に架装されている。

▼曲線を描いた車体形状、そして“空輸仕様”と聞いて航空自衛隊C-130H型輸送機で搭載空輸可能な「IV型救助工作車」を思い浮かべる方も多いだろう。初見、私もそう思ったのだが遠距離かつ滑走路を必要とする空輸や航空機に搭載した空輸は想定されてはいない。あくまでもヘリコプターによる吊り下げのみ。

▼吊具の一部である車体干渉防止棒を設置固定するためのルーフキャリア。前後左右には吊具の中心位置を出すためであろう赤印。九州電力の車両は吊具形状(方法)が異なるためか設置されていない。

▼車両各部に粘着テープによる目張りが実施されているが、目的が風圧によるバタツキ防止策なのか、部品等の落下防止策なのかは不明である。

▼車両上部後方のみに設置された検知器らしき機器。車体接触防止用検知器の一部か。

▼さらなる軽量化、若しくは空輸時の落下防止策なのか、それとも地切・接地した際の干渉接触防止なのか…理由は不明であるが空輸時には取り外された後部突入防止装置本体。

―地切から接地、空輸の一連の流れ
空輸を担った航空機は陸上自衛隊航空学校の大型ヘリコプター(CH-47JA/JG-2951)。このCH-47JAには機体下部に3ヶ所のカーゴフックが備えられていますが、今回は機体中央部のカーゴフック(能力約11,000kg)を使用して高圧発電機車を吊り下げました。

▼高圧発電機車に据え付けられた吊金具。前後の車軸に荷重をかけるように設置されている。ルーフキャリアの用途はご覧の通り。屋根上の赤印は干渉防止棒の位置合わせのようだ。

▼CH-47JAが隊員の誘導により目標物後方に位置。

▼機体下部中央のフックにかけられたスリング。機体中央部には直下確認用の開口部が設けられており、機内の隊員が中心位置や対象物を確認しながら誘導することが可能のようだ。

▼前進・上昇しながら中心位置を定める。

▼地切。

▼訓練会場上空付近を旋回。背後では統制機アスコット(U-125A)が飛行。

▼飛行(空輸)を終えて着地。

▼気になる車両の吊り下げ方法。判りやすいように写真暗部を明るくしてみた。

▼前軸拡大。前軸はホイールと円盤状の黄色金具をホイールナットで共締めすると共に、J型ボルトを飾り穴に引っ掛けてナットで固定している。ちなみに九州電力の動画では円盤状の黄色金具を装着したままの走行も可能のようである。

▼後軸拡大。ホイールの飾り穴にリンクチェーンを通して固定。前軸と比較すると簡易的な方法で固定しているのが判る。

▼空輸仕様を実現するには吊金具が必要となるが、空輸される高圧発電機車には積載することができないので輸送車が随伴する。吊金具本体だけではなく、設置するための脚立や工具、そして人員も必要となる。

▼高圧発電機車の空輸を見守る中部電力関係者。

ちなみにこの空輸仕様高圧発電機車は中部電力では一台のみの製作・配置であるとのこと。配置先は通常の高圧発電機車が配置されている営業所等ではなく、愛知県日進市の研修センター内に配置されているようです(車両外観より判断)。空輸仕様高圧発電機車はまだ研究段階なのかもしれないが、今後、中部電力の管轄内で実施される大規模防災訓練では高圧発電機車の空輸訓練が盛り込まれるかもしれません。


記事作成にあたり、参考にさせていただいたリンク先一覧

→神鋼造機 製品紹介>エネルギー装置
http://www.shinko-zoki.co.jp/product01.html

→神鋼造機 移動電源車

http://www.shinko-zoki.co.jp/pdf/pwrescue1.pdf

→九州電力 大型ヘリコプターで輸送可能な高圧発電機車の開発及び空輸訓練の実施について
http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/press/2007/h070919b-3.pdf

→大型ヘリコプターによる特殊車両の懸吊空輸技術を確立
http://www.fukuoka-keizai.co.jp/content/asp/fukuoka/detail_ex.asp?PageID=33&id=197&k_id=2007&word=