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OP戦の打率.364
ロッテの平沢大河がオープン戦に入ってから“バット”でアピールを続けている。
今季を迎えるにあたってシーズンオフの自主トレでは「体力強化ももちろんそうですし、バットを振る数を多く、例年以上に多く振ろうかなと思ってやっていました」と徹底的にバットを振り込んできた。
2月14日以降の練習試合では捉えた打球が多かったものの、正面をついたり、相手の好守備に阻まれるなど、打率.138(29-4)、1打点だった。それでも、オープン戦初戦となった3月4日のヤクルト戦、『2番・左翼』で出場すると、0-0の初回の第1打席に先発・エスピナルが2ストライクから投じた3球目の145キロインコースストレートをライトへ先制2ラン。翌5日のヤクルト戦では第1打席にライト前に弾き返すと、3打席目にセンター前に安打を放ちマルチ安打を達成した。
今年初めて遊撃での実戦出場となった7日の日本ハム戦では、4-1の6回の第3打席にセンター前に安打と、オープン戦は出場した3試合全てで安打。ここまで打率.364(11-4)、1本塁打、2打点だ。開幕一軍、レギュラーポジションを掴み取ろうと、存在感を示す。
左中間への長打
世界中で新型コロナウイルスが流行し、コロナ禍で取材制限もあり2020年春季キャンプ以降、平沢を取材できていなかった。時計の針を3年前の春季キャンプに巻き戻すと当時、体の内側を意識して打っていた。この3年で意識するポイントは変わったのだろうかーー
「今は足からパワーをもらって、バットに伝えられるようにというのを意識しています」。
この3年で左中間への強い打球が増えた印象だ。昨年でいえば、7月12日の日本ハムとの二軍戦で、根本悠楓の外角のストレートを逆らわずに放った左中間への本塁打、7月27日のヤクルトとの二軍戦で石山泰稚が投じた真ん中高めのスライダーを左中間スタンドへの本塁打は素晴らしかった。
平沢本人も「右中間、左中間に強い打球がいっているときは状態がいい時」と分析。「それがもっと多く、確率良く打てればいいかなと思います」と、左中間、右中間に強い打球を打てる確率をもっと増やしていきたいと考えている。
「まずはバッティングで打てないと話にならない。打つことと、どこでも守れるように全ポジションチャンスがあればと思ってやっています」。
平沢は内野手登録だが、石垣島春季キャンプでは内野だけでなく外野でも守備練習を行い、練習試合は全て外野で出場するなど、どこのポジションでもやっていく覚悟。マリーンズファンの平沢に対する期待値は大きい。その期待に今季こそ“結果”という形で応えたい。
取材・文=岩下雄太
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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新球種カーブ
2021年6月14日に有吉優樹とのトレードでロッテに加入し、今季移籍3年目を迎える国吉佑樹。
国吉はこれまでストレート、カットボールで追い込み、最後はフォークや縦気味に変化するカットボールで空振りを奪うのが投球パターンだった。今年のオープン戦を見ると、早いカウントでカーブを投げたり、追い込んでからカットボールで見逃し三振を仕留めるなど、昨季までとは少しイメージが違う印象だ。
2月28日のソフトバンクとの練習試合では栗原陵矢の初球に114キロのカーブで見逃しストライク、柳田悠岐の初球にもカーブでファウル。さらに3月7日の日本ハムとのオープン戦では、ボールになったが江越大賀に投じた初球は121キロのカーブだった。
江越との対戦では早いカウントでカーブを投げ、1ボール2ストライクから投じた4球目のフォークを見送られるも、最後は3ボール2ストライクからフロントドアのカットボールで見逃し三振を仕留めた。
「今年からカーブは投げようと思っているボールです。江越の時は初球カーブを投げてボール、1ボール2ストライクのカウントを作れてフォークを振ってくれればなと思ったんですけど、それを振らずに次カットボールを投げて2ストライク3ボールになって、カットボール。カーブが1球入ることによって、カットボールとフォークの2種類、もちろんストレートでもいいんですけど、勝負する選択肢が増えるのでバリエーションとしてはカーブというボールは効果的かなと思います」。
今季から公式戦でも投げようと考えているカーブは、国吉の投球を助けるボールになっていきそうだ。
今季から公式戦でも投げようと考えているカーブは、国吉の投球を助けるボールになっていきそうだ。
投球を支えるカットボール
これまで投げていた球種を見ると、カットボールは昨年まで140キロ以上のボールを投げることが多かったが、ここまでの実戦では130キロ台が多い。
「7日はカットボールが140キロそこそこ出ていたので、速い日もあれば緩い日もあったりする。ストライク取りにいく時と振らせに行く時とで多少、強弱をつけたりしている。その差じゃないかなと思います」と分析する。
振らせにいくカットボールは、「低めにいったら僕のカットボールは落ちていく。それを振ってくれればいいですし、よりストレートに感じてもらえれば、ストレートできて最後曲がって振ってくれるのが理想。それを目指して投げている」と、縦気味に落ちるボールだ。7日の日本ハム戦でも江越に1ボールからの2球目、空振りを奪ったカットボールがそうだ。
カットボールは国吉にとって、「軸にはしていきたいボールではありますね。ストレートだけではどうしても苦しい部分があるので、カットボール、フォークと軸になるボールのひとつではあります」と投球を支える生命線だ。
カットボールは国吉にとって、「軸にはしていきたいボールではありますね。ストレートだけではどうしても苦しい部分があるので、カットボール、フォークと軸になるボールのひとつではあります」と投球を支える生命線だ。
「貢献できれば」
国吉は移籍1年目の21年、東京五輪明けから勝ち試合の7回を担当し、守護神・益田直也が連投の時には抑えを務めるなど、25試合に登板して、2勝0敗17ホールド2セーブ、防御率1.44と、2年連続2位入りに大きく貢献したが、昨季はセットアッパーとして期待されながら、わずか6試合の登板にとどまった。
「去年が本当にとても不甲斐ないシーズンだったので、去年できなかったところを今年は少しでも取り戻して貢献できればと思います」と意気込む。
巻き返しを図るべく「(シーズン)オフのトレーニングの方法とかもトレーナーをつけて、より細かくしっかり見てもらってきた。自分ではなかなか気づけない細かい部分、また新しい発見があったり、パフォーマンスにつながってきていると思う。すごくいいオフを過ごせたと思います」と納得のいくトレーニングを積んできた。
あとは、今季結果を残していくだけ。「チームとしても優勝を目指してやっているので、9月、勝負所でチームに貢献できるような存在になっていたいですし、9月にいい順位で勝負していきたいと思います」。国吉の力強いストレートにフォーク、カットボールは魅力的。そこにカーブが加わっていけば、国吉が話したように投球のバリエーションも広がっていく。まだまだ老け込む年齢ではない。熾烈な競争を勝ち抜き、去年の悔しさを晴らす1年にしてみせる。
取材・文=岩下雄太
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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