≪2018/12/18≫
【千葉魂】スタンド観戦で気付いたこと 鈴木、母校の試合で見た原点
悩んだ結果、車に乗り込んだ。秋晴れとなった10月23日。鈴木大地内野手は車のハンドルを握っていた。中央自動車道に入り、甲府南インターで降りた。約2時間のドライブ。目的地は山梨県内の小瀬スポーツ公園山日YBS球場だった。自分でチケットを買ったが入り口が分からずスタッフに聞き、ようやくスタンドに入ると、ちょうどシートノックが始まる時間だった。三塁側の最上段。そこから試合を観戦した。秋季関東地区高校野球大会準々決勝、桐蔭学園対佐野日大戦。鈴木は母校の後輩たちを応援した。
「ずっと行こうかどうか悩んでいて。その日の朝まで決めかねていた。最後は奥さんから『悩んでいるなら、行ってくればいいじゃん』と背中を押してくれたことで、ようやく決意したんです」
スタンドに座ってすぐにこの決断が正しかったことに気が付いた。いつもグラウンドでプレーをしている立場の男にとってスタンドから見るグラウンドの景色は新鮮だった。試合は8-1で母校が快勝し春の選抜出場が有力となった。「カッコいいなあ」。躍動する後輩たちの姿に思わず独り言が口から出た。
「スタンドから野球を普段見ることがないので新鮮でした。一生懸命にガムシャラにプレーをしている選手たちの姿がとてもカッコよく感じました。キラキラと輝いていた。応援も盛り上がっていて本当に感動した」
□ ■ □
いつしかスタンドで試合観戦をしながら、自問自答を繰り返していた。果たして2018年シーズンの自分の姿はチケットを買ってスタンドで見てくれていたファンの人たちにとってカッコいいものだったのだろうか。答えは否。後輩たちを応援する野球観戦は自分を見つめ直す時間に変わっていた。
「打てなかったり、ミスをしたりしてクヨクヨしたり、自信がなくなり不安そうにプレーをしている自分の姿はきっとファンの人にとっては面白くなかっただろうなあと思いました。こうやって自分の足で遠くまで野球観戦に来て、自分でチケットを手に入れて、スタンドから見ていて、それを痛感しました。よく子供たちに夢や希望を与えたいと言うけど、試合観戦をしたこの自分の気持ちの高揚に、ああ、あれって試合観戦している人たちに、こういう気持ちにすることを言うのだろうなあと思いました。今年の自分のプレーに心が動かされた人は少ないと思う」
今季は3年連続5度目の全試合出場を果たし、打率2割6分6厘、8本塁打、49打点。成績こそ昨年と遜色はないものの試合途中に代打を出されることが増え、ここぞというチャンスで凡打をするなど不完全燃焼の苦しい一年となった。いつしかトレードマークの笑顔は消え、下を向くことが多くなっていた。シーズン後、全試合出場したこともあり秋季練習と秋季キャンプへの参加の免除が決定。首脳陣からは「自分で考えて、しっかりと調整をしてほしい」と言葉をかけられた。
一人、今年の欠点を補うように自主練習を行っていた時に母校が順調に勝ち進んでいるという一報を耳にした。練習をするか、めったにない機会なので、ここは気分転換を兼ねて試合を見に行くべきか。導き出した先に答えはあった。
「秋季練習が免除だったから見に行くことができた。行って自分の原点を思い出すことができた。プロでやれている幸せも感じたし、自分がどういう姿をスタンドにいるファンに見せないといけないのかも気付かされた。今年は弱い自分に負けていた。来年はカッコいい自分を見せたいと思いました」
□ ■ □
帰りの車中。そこには前向きな気持ちを取り戻した鈴木がいた。行きと同じ中央自動車道。同じ景色のはずだが不思議とまったく違って見えた。秋の夕焼けは、なんともいえないほどきれいで身に染みた。来る2019年シーズン。新たに選手会長に就任した背番号「7」は奮い立つその姿でファンの心を動かす。もう下は向かない。ただ上だけを見つめ、上を目指す。スタンドで見届けるファンをプレーで魅了する。秋の空に鈴木は誓った。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
(千葉日報)
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≪2018/12/19≫
現役引退、1軍コーチ就任のロッテ根元 3年目の殊勲打は「オレ、やっちゃったよ!」
プロ通算13年で通算583安打、204打点をマークした根元
自宅で部屋の片付けをしている時だった。いくつかの写真が出てきた。サヨナラ打を放ち、右手を大きく突き上げガッツポーズをしている写真。チームメートたちが駆け寄り抱き合っている写真。今シーズン限りで13年の現役生活に別れを告げた根元俊一はプロ通算で583安打を放った。打点は204。チームのために打ったそのすべてが思い出深いが、ふと見つけたそれらの写真に、あの日の記憶が昨日のことのように鮮明に蘇った。
2008年4月13日のファイターズ戦(当時千葉マリン)。13時1分試合開始。曇り空の少し肌寒いデーゲームで根元は「1番・遊撃」でスタメン出場。プロ入り初のサヨナラ打を放った。
「思い出深いですね。その時、同期入団の細谷がプロ入り初めてスタメン起用された。一緒にお立ち台に上がったんです。お互い初めてのお立ち台。一緒に上がれたのは思い出深いです」
試合が緊迫した投手戦であったことも記憶を鮮明にしている。ファイターズ先発のグリン投手は9回1失点。負けじとマリーンズ先発の渡辺俊介も9回を1失点。そして10回のマウンドにも上がり、無失点に抑えた。その裏の攻撃。この回からファイターズのマウンドには武田久投手。先頭の今江敏晃(現楽天)が中前打で出塁すると続く細谷圭の犠打が野選となりチャンスは広がる。さらに田中雅彦も犠打を試みて、これまた野選。珍しい形で無死満塁と好機は広がった。
打席にプロ3年目の根元が向かった。「オイオイオイという感じ。無死満塁のチャンスで打席が回ってきちゃったよと」。当時の事を根元はそう振り返った。初球、ベルト付近に来たストレートをはじき返し、流し打ちした。打球は三塁手の頭上を越えていった。
「あの時は本当に集中をしていた。凄い集中力。打てるゾーンに来たらなんでも打ってやろうと考えておもいっきりスイングした。集中力の大切さを痛感した試合でしたね」
1塁をまわるとチームメートが駆け寄ってきた。ベンチからは先輩の大松尚逸と竹原直隆が猛ダッシュで走り寄り抱き合って喜んでくれた。二塁走者だった細谷が続く。そして同じ年で仲のいい三塁走者の今江が満面の笑みで駆け寄り、抱きついてくれた。思わず口から出た言葉は「オレ、やっちゃったよ!」だった。
本拠地での初のお立ち台には先発で10イニングスを投げて完投勝利の渡辺俊、同期で7回にプロ初打点となる貴重な同点右前適時打を放った細谷と一緒に上った。今も鮮明に思い出す幸せな瞬間だった。
「3年目でようやく1軍に定着できた。最初の2年間はファームでは結果を出せたけど1軍では思うようにはいかなかった。開幕から1軍で自分に勢いがあって、ただガムシャラに生きた日々だった」
この年は110試合に出場して打率.296、3本塁打、29打点。シーズン前から取り組んでいた打席でのタイミング(間)の使い方が功を奏した形となった。ただ、反省もした。その状態が、シーズンを通しては維持できなかったからだ。長いシーズンを戦い抜く厳しさを知った1年でもあった。
コーチ業の難しさに直面し自問自答を繰り返す日々
引退後、根元はすぐに1軍内野手守備・走塁コーチに就任した。その実直な人柄が評価されての大抜擢だった。秋季練習、秋季キャンプ、台湾遠征を終えて今、コーチ業の難しさと向き合っている最中だ。
「同じ野球でこんなにも見方が違うのかと思う。自分は選手に寄り添ってあげる存在になりたい。こっちの自己満足では意味がない。自分がどういう選手になりたいのか。そのためにどうすればいいのかをしっかりと説明できるコーチになりたい」
コーチ修行の身。先輩コーチ陣から色々なアドバイスをもらっている。「一番、ダメなのは分からないまま進めてしまうこと。だから分からないこと、悩んでいることは先輩コーチの皆様に素直に話をして意見をもらうようにしています」。そう話すように練習の合間に、宿舎の食事会場で、色々な人に意見を求める根元の姿が見受けられた。
シーズンオフになった今もZOZOマリンスタジアムには根元の姿がある。誰よりも早い時間。選手に迷惑をかけないようにと選手がまだ姿を見せる前に室内練習場でノックの練習を重ねる。選手にとって有意義なノックを打つためにはどうすればいいか。2019年春季キャンプに向けて自問自答を繰り返す毎日だ。「体を動かさないのは気持ち悪い。もうウェートをガンガンすることはないけど、ランニングとかはしてしまいますね」と笑う。
第2の人生は指導者「プロは技術だけではなく人としても模範とあるべき」
現役時代から大事にしてきたのは人間力。技術はもちろん大事だが、プロとして人間力が大事だと思って生きてきた。人としてどうあるべきか。その点ではいつもブレなかった。自分にも他人にも厳しい男だ。
「野球を辞めてからの人生の方が長い。今は野球をやっていればいいと思うかもしれないけど、そうではない。多くの人に見られるプロは技術だけではなく人としても模範とあるべき。マリーンズの選手はしっかりしているなあと言われるように指導をしていきたい」
2018年9月27日、根元は引退を発表した。そして10月7日のホークス戦。本拠地にて引退試合が盛大に行われた。あの日、先輩たちに祝福され抱き合い、初めてのお立ち台に導かれた若者はいつしかベテランと呼ばれる存在となっていた。
試合後のセレモニー。場内一周をする際にライトスタンド前で立ち止まり、耳を澄ました。スタンドのファンは根元のために応援歌を歌い続けていた。こんなにスタンドから近い距離で自身の応援歌に耳を傾けるのは初めてのこと。一生忘れないようにと目を閉じ、聞き入った。応援歌は愛に溢れていた。「俺たちとこのチームで、いつまでも根元 今こそ見せてくれ 勝負に賭ける思いを」。
根元はファンに愛されユニホームを脱いだ。人間としてどうあるべきか。自らが貫いた姿勢が評価されていたからファンは慕い応援をした。幸せな野球人生はこれから第2章に突入する。人生はこれからの方が長い。
(マリーンズ球団広報 梶原紀章)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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≪2018/12/19≫
ロッテが全球団ワースト初回105失点/データ連載
<データで見る18年:ロッテ編>
ロッテは前半戦終了時に40勝38敗2分けと勝ち越していたが、球宴後は19勝43敗1分け、勝率3割6厘。後半戦の勝率は両リーグ最低だった。
立ち上がりの悪い投手が多く、ロッテ投手陣の初回は被打率3割1分の105失点で、イニング別では被打率、失点とも初回がワースト。今季、初回の被打率が両リーグで唯一3割を超え、100失点以上もロッテだけ。初回に失点した試合は20勝31敗1分け、勝率3割9分2厘だった。逆に、初回の得点は楽天の61点に次いで少ない63点しかなく、ロッテの先制試合は両リーグ最少の63度。後手に回った試合が多かった。
(日刊)
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≪2018/12/19≫
ボルシンガー、昼試合12戦10勝無敗/データ連載
<データで見る18年:ロッテ編>
来日1年目のボルシンガーが13勝2敗、勝率8割6分7厘で勝率1位のタイトルを手にした。外国人投手の勝率1位は6人、7度目で、来日1年目は15年マイコラス(巨人)に次いで2人目だ。ボルシンガーの投球回数は117回2/3で規定投球回に到達できなかった。勝率のタイトルはパ・リーグが86年、セ・リーグは13年から規定投球回に関係なく13勝以上が条件。規定投球回に到達していない勝率1位は95年平井(オリックス)99年篠原(ダイエー)17年薮田(広島)に次いで4人目だった。
5月4日日本ハム戦から7月21日オリックス戦にかけて11連勝した。外国人投手の11連勝は64年スタンカ(南海)15年マイコラスに並ぶタイ記録だが、連勝中にスタンカは勝敗なしを4試合、マイコラスは2試合挟んでいるのに対し、ボルシンガーは登板した11試合にオール白星。11戦11勝以上は、24連勝した時の13年田中(楽天)が6月9日~9月21日に15戦15勝して以来10人目。外国人投手では初めてで、ロッテでも70年成田、85年村田に並ぶ球団タイ記録だ。6月23日西武戦は0-3から逆転するなど、11連勝中に逆転勝ちが5度。連勝中は防御率2・08と安定していたが、外国人投手初の11戦11勝には打線の援護も見逃せない。
ボルシンガーの黒星は4月6日日本ハム戦と7月29日西武戦。2試合とも午後6時開始のナイターで、デーゲームは12試合に登板して10勝0敗、防御率2・80と、1度も負けなかった。ロッテのデーゲームは19勝26敗だから、ボルシンガーを除いたロッテ投手は9勝26敗。デーゲームではチームの白星の半分以上を1人で稼いだ。デーゲームで10勝以上は14年中田(ソフトバンク)以来で、70年以降は7人しかいない。10勝するだけでも珍しいのに、ボルシンガーは黒星なし。デーゲームで無敗の2桁勝利は、11勝0敗の75年鈴木啓(近鉄)以来、43年ぶりだった。【伊藤友一】
(日刊)
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≪2018/12/19≫
ロッテ新外国人バルガス、母国プエルトリコの本塁打競争イベントで優勝 WLでの好調維持
同地WLで打率.403、4本塁打、16打点
来季、千葉ロッテマリーンズでプレーする期待の大砲ケニス・バルガス内野手が、母国プエルトリコでそのパワーを見せつけている。17日(日本時間18日)、プエルトリコ紙『エル・ヌエボ・ディア』は、同地で行われたチャリティーホームラン競争でバルガスが優勝したことを報じている。
このホームラン競争は、プエルトリコ野球連盟と地元チームのクリオージョス・デ・カグアスが小児がん患者支援のために開催したチャリティーイベント。
バルガスはファーストラウンドで15本塁打を放ちファイナルへの進出を決めると、決勝では、現在プエルトリコ・ウインターリーグで本塁打王の座を分け合っているダビド・ビダル内野手を11本対4本で降し優勝したということだ。バルガスは「優勝できて光栄だ。リラックスしてプレーできるかが問題だったのは分かっていた」と優勝を振り返る。
このイベントには、今季MLB最多セーブをマークし、先日シアトル・マリナーズからニューヨーク・メッツへ移籍したエドウィン・ディアス投手や、MLB通算473発を誇るカルロス・デルガド氏といった新旧プエルトリコのスター選手たちも参加し、盛況に終わったということだ。
バルガスは、現在同地でのウインターリーグに参戦しており、出場23試合で打率.403(リーグ2位)、4本塁打(同1位)、16打点(同3位)、OPS1.192(同1位)と絶好調だ。
先月6日にロッテ入団が発表されたバルガス。今季はミネソタ・ツインズ傘下の3Aロチェスター・レッドウイングスで21本塁打という成績であった。身長196センチ、体重133キロという巨体を誇る長距離砲の海の向こうでの活躍は、ロッテファンには何とも嬉しいニュースであろう。
(ベースボールチャンネル)
【千葉魂】スタンド観戦で気付いたこと 鈴木、母校の試合で見た原点
悩んだ結果、車に乗り込んだ。秋晴れとなった10月23日。鈴木大地内野手は車のハンドルを握っていた。中央自動車道に入り、甲府南インターで降りた。約2時間のドライブ。目的地は山梨県内の小瀬スポーツ公園山日YBS球場だった。自分でチケットを買ったが入り口が分からずスタッフに聞き、ようやくスタンドに入ると、ちょうどシートノックが始まる時間だった。三塁側の最上段。そこから試合を観戦した。秋季関東地区高校野球大会準々決勝、桐蔭学園対佐野日大戦。鈴木は母校の後輩たちを応援した。
「ずっと行こうかどうか悩んでいて。その日の朝まで決めかねていた。最後は奥さんから『悩んでいるなら、行ってくればいいじゃん』と背中を押してくれたことで、ようやく決意したんです」
スタンドに座ってすぐにこの決断が正しかったことに気が付いた。いつもグラウンドでプレーをしている立場の男にとってスタンドから見るグラウンドの景色は新鮮だった。試合は8-1で母校が快勝し春の選抜出場が有力となった。「カッコいいなあ」。躍動する後輩たちの姿に思わず独り言が口から出た。
「スタンドから野球を普段見ることがないので新鮮でした。一生懸命にガムシャラにプレーをしている選手たちの姿がとてもカッコよく感じました。キラキラと輝いていた。応援も盛り上がっていて本当に感動した」
□ ■ □
いつしかスタンドで試合観戦をしながら、自問自答を繰り返していた。果たして2018年シーズンの自分の姿はチケットを買ってスタンドで見てくれていたファンの人たちにとってカッコいいものだったのだろうか。答えは否。後輩たちを応援する野球観戦は自分を見つめ直す時間に変わっていた。
「打てなかったり、ミスをしたりしてクヨクヨしたり、自信がなくなり不安そうにプレーをしている自分の姿はきっとファンの人にとっては面白くなかっただろうなあと思いました。こうやって自分の足で遠くまで野球観戦に来て、自分でチケットを手に入れて、スタンドから見ていて、それを痛感しました。よく子供たちに夢や希望を与えたいと言うけど、試合観戦をしたこの自分の気持ちの高揚に、ああ、あれって試合観戦している人たちに、こういう気持ちにすることを言うのだろうなあと思いました。今年の自分のプレーに心が動かされた人は少ないと思う」
今季は3年連続5度目の全試合出場を果たし、打率2割6分6厘、8本塁打、49打点。成績こそ昨年と遜色はないものの試合途中に代打を出されることが増え、ここぞというチャンスで凡打をするなど不完全燃焼の苦しい一年となった。いつしかトレードマークの笑顔は消え、下を向くことが多くなっていた。シーズン後、全試合出場したこともあり秋季練習と秋季キャンプへの参加の免除が決定。首脳陣からは「自分で考えて、しっかりと調整をしてほしい」と言葉をかけられた。
一人、今年の欠点を補うように自主練習を行っていた時に母校が順調に勝ち進んでいるという一報を耳にした。練習をするか、めったにない機会なので、ここは気分転換を兼ねて試合を見に行くべきか。導き出した先に答えはあった。
「秋季練習が免除だったから見に行くことができた。行って自分の原点を思い出すことができた。プロでやれている幸せも感じたし、自分がどういう姿をスタンドにいるファンに見せないといけないのかも気付かされた。今年は弱い自分に負けていた。来年はカッコいい自分を見せたいと思いました」
□ ■ □
帰りの車中。そこには前向きな気持ちを取り戻した鈴木がいた。行きと同じ中央自動車道。同じ景色のはずだが不思議とまったく違って見えた。秋の夕焼けは、なんともいえないほどきれいで身に染みた。来る2019年シーズン。新たに選手会長に就任した背番号「7」は奮い立つその姿でファンの心を動かす。もう下は向かない。ただ上だけを見つめ、上を目指す。スタンドで見届けるファンをプレーで魅了する。秋の空に鈴木は誓った。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
(千葉日報)
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≪2018/12/19≫
現役引退、1軍コーチ就任のロッテ根元 3年目の殊勲打は「オレ、やっちゃったよ!」
プロ通算13年で通算583安打、204打点をマークした根元
自宅で部屋の片付けをしている時だった。いくつかの写真が出てきた。サヨナラ打を放ち、右手を大きく突き上げガッツポーズをしている写真。チームメートたちが駆け寄り抱き合っている写真。今シーズン限りで13年の現役生活に別れを告げた根元俊一はプロ通算で583安打を放った。打点は204。チームのために打ったそのすべてが思い出深いが、ふと見つけたそれらの写真に、あの日の記憶が昨日のことのように鮮明に蘇った。
2008年4月13日のファイターズ戦(当時千葉マリン)。13時1分試合開始。曇り空の少し肌寒いデーゲームで根元は「1番・遊撃」でスタメン出場。プロ入り初のサヨナラ打を放った。
「思い出深いですね。その時、同期入団の細谷がプロ入り初めてスタメン起用された。一緒にお立ち台に上がったんです。お互い初めてのお立ち台。一緒に上がれたのは思い出深いです」
試合が緊迫した投手戦であったことも記憶を鮮明にしている。ファイターズ先発のグリン投手は9回1失点。負けじとマリーンズ先発の渡辺俊介も9回を1失点。そして10回のマウンドにも上がり、無失点に抑えた。その裏の攻撃。この回からファイターズのマウンドには武田久投手。先頭の今江敏晃(現楽天)が中前打で出塁すると続く細谷圭の犠打が野選となりチャンスは広がる。さらに田中雅彦も犠打を試みて、これまた野選。珍しい形で無死満塁と好機は広がった。
打席にプロ3年目の根元が向かった。「オイオイオイという感じ。無死満塁のチャンスで打席が回ってきちゃったよと」。当時の事を根元はそう振り返った。初球、ベルト付近に来たストレートをはじき返し、流し打ちした。打球は三塁手の頭上を越えていった。
「あの時は本当に集中をしていた。凄い集中力。打てるゾーンに来たらなんでも打ってやろうと考えておもいっきりスイングした。集中力の大切さを痛感した試合でしたね」
1塁をまわるとチームメートが駆け寄ってきた。ベンチからは先輩の大松尚逸と竹原直隆が猛ダッシュで走り寄り抱き合って喜んでくれた。二塁走者だった細谷が続く。そして同じ年で仲のいい三塁走者の今江が満面の笑みで駆け寄り、抱きついてくれた。思わず口から出た言葉は「オレ、やっちゃったよ!」だった。
本拠地での初のお立ち台には先発で10イニングスを投げて完投勝利の渡辺俊、同期で7回にプロ初打点となる貴重な同点右前適時打を放った細谷と一緒に上った。今も鮮明に思い出す幸せな瞬間だった。
「3年目でようやく1軍に定着できた。最初の2年間はファームでは結果を出せたけど1軍では思うようにはいかなかった。開幕から1軍で自分に勢いがあって、ただガムシャラに生きた日々だった」
この年は110試合に出場して打率.296、3本塁打、29打点。シーズン前から取り組んでいた打席でのタイミング(間)の使い方が功を奏した形となった。ただ、反省もした。その状態が、シーズンを通しては維持できなかったからだ。長いシーズンを戦い抜く厳しさを知った1年でもあった。
コーチ業の難しさに直面し自問自答を繰り返す日々
引退後、根元はすぐに1軍内野手守備・走塁コーチに就任した。その実直な人柄が評価されての大抜擢だった。秋季練習、秋季キャンプ、台湾遠征を終えて今、コーチ業の難しさと向き合っている最中だ。
「同じ野球でこんなにも見方が違うのかと思う。自分は選手に寄り添ってあげる存在になりたい。こっちの自己満足では意味がない。自分がどういう選手になりたいのか。そのためにどうすればいいのかをしっかりと説明できるコーチになりたい」
コーチ修行の身。先輩コーチ陣から色々なアドバイスをもらっている。「一番、ダメなのは分からないまま進めてしまうこと。だから分からないこと、悩んでいることは先輩コーチの皆様に素直に話をして意見をもらうようにしています」。そう話すように練習の合間に、宿舎の食事会場で、色々な人に意見を求める根元の姿が見受けられた。
シーズンオフになった今もZOZOマリンスタジアムには根元の姿がある。誰よりも早い時間。選手に迷惑をかけないようにと選手がまだ姿を見せる前に室内練習場でノックの練習を重ねる。選手にとって有意義なノックを打つためにはどうすればいいか。2019年春季キャンプに向けて自問自答を繰り返す毎日だ。「体を動かさないのは気持ち悪い。もうウェートをガンガンすることはないけど、ランニングとかはしてしまいますね」と笑う。
第2の人生は指導者「プロは技術だけではなく人としても模範とあるべき」
現役時代から大事にしてきたのは人間力。技術はもちろん大事だが、プロとして人間力が大事だと思って生きてきた。人としてどうあるべきか。その点ではいつもブレなかった。自分にも他人にも厳しい男だ。
「野球を辞めてからの人生の方が長い。今は野球をやっていればいいと思うかもしれないけど、そうではない。多くの人に見られるプロは技術だけではなく人としても模範とあるべき。マリーンズの選手はしっかりしているなあと言われるように指導をしていきたい」
2018年9月27日、根元は引退を発表した。そして10月7日のホークス戦。本拠地にて引退試合が盛大に行われた。あの日、先輩たちに祝福され抱き合い、初めてのお立ち台に導かれた若者はいつしかベテランと呼ばれる存在となっていた。
試合後のセレモニー。場内一周をする際にライトスタンド前で立ち止まり、耳を澄ました。スタンドのファンは根元のために応援歌を歌い続けていた。こんなにスタンドから近い距離で自身の応援歌に耳を傾けるのは初めてのこと。一生忘れないようにと目を閉じ、聞き入った。応援歌は愛に溢れていた。「俺たちとこのチームで、いつまでも根元 今こそ見せてくれ 勝負に賭ける思いを」。
根元はファンに愛されユニホームを脱いだ。人間としてどうあるべきか。自らが貫いた姿勢が評価されていたからファンは慕い応援をした。幸せな野球人生はこれから第2章に突入する。人生はこれからの方が長い。
(マリーンズ球団広報 梶原紀章)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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≪2018/12/19≫
ロッテが全球団ワースト初回105失点/データ連載
<データで見る18年:ロッテ編>
ロッテは前半戦終了時に40勝38敗2分けと勝ち越していたが、球宴後は19勝43敗1分け、勝率3割6厘。後半戦の勝率は両リーグ最低だった。
立ち上がりの悪い投手が多く、ロッテ投手陣の初回は被打率3割1分の105失点で、イニング別では被打率、失点とも初回がワースト。今季、初回の被打率が両リーグで唯一3割を超え、100失点以上もロッテだけ。初回に失点した試合は20勝31敗1分け、勝率3割9分2厘だった。逆に、初回の得点は楽天の61点に次いで少ない63点しかなく、ロッテの先制試合は両リーグ最少の63度。後手に回った試合が多かった。
(日刊)
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≪2018/12/19≫
ボルシンガー、昼試合12戦10勝無敗/データ連載
<データで見る18年:ロッテ編>
来日1年目のボルシンガーが13勝2敗、勝率8割6分7厘で勝率1位のタイトルを手にした。外国人投手の勝率1位は6人、7度目で、来日1年目は15年マイコラス(巨人)に次いで2人目だ。ボルシンガーの投球回数は117回2/3で規定投球回に到達できなかった。勝率のタイトルはパ・リーグが86年、セ・リーグは13年から規定投球回に関係なく13勝以上が条件。規定投球回に到達していない勝率1位は95年平井(オリックス)99年篠原(ダイエー)17年薮田(広島)に次いで4人目だった。
5月4日日本ハム戦から7月21日オリックス戦にかけて11連勝した。外国人投手の11連勝は64年スタンカ(南海)15年マイコラスに並ぶタイ記録だが、連勝中にスタンカは勝敗なしを4試合、マイコラスは2試合挟んでいるのに対し、ボルシンガーは登板した11試合にオール白星。11戦11勝以上は、24連勝した時の13年田中(楽天)が6月9日~9月21日に15戦15勝して以来10人目。外国人投手では初めてで、ロッテでも70年成田、85年村田に並ぶ球団タイ記録だ。6月23日西武戦は0-3から逆転するなど、11連勝中に逆転勝ちが5度。連勝中は防御率2・08と安定していたが、外国人投手初の11戦11勝には打線の援護も見逃せない。
ボルシンガーの黒星は4月6日日本ハム戦と7月29日西武戦。2試合とも午後6時開始のナイターで、デーゲームは12試合に登板して10勝0敗、防御率2・80と、1度も負けなかった。ロッテのデーゲームは19勝26敗だから、ボルシンガーを除いたロッテ投手は9勝26敗。デーゲームではチームの白星の半分以上を1人で稼いだ。デーゲームで10勝以上は14年中田(ソフトバンク)以来で、70年以降は7人しかいない。10勝するだけでも珍しいのに、ボルシンガーは黒星なし。デーゲームで無敗の2桁勝利は、11勝0敗の75年鈴木啓(近鉄)以来、43年ぶりだった。【伊藤友一】
(日刊)
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≪2018/12/19≫
ロッテ新外国人バルガス、母国プエルトリコの本塁打競争イベントで優勝 WLでの好調維持
同地WLで打率.403、4本塁打、16打点
来季、千葉ロッテマリーンズでプレーする期待の大砲ケニス・バルガス内野手が、母国プエルトリコでそのパワーを見せつけている。17日(日本時間18日)、プエルトリコ紙『エル・ヌエボ・ディア』は、同地で行われたチャリティーホームラン競争でバルガスが優勝したことを報じている。
このホームラン競争は、プエルトリコ野球連盟と地元チームのクリオージョス・デ・カグアスが小児がん患者支援のために開催したチャリティーイベント。
バルガスはファーストラウンドで15本塁打を放ちファイナルへの進出を決めると、決勝では、現在プエルトリコ・ウインターリーグで本塁打王の座を分け合っているダビド・ビダル内野手を11本対4本で降し優勝したということだ。バルガスは「優勝できて光栄だ。リラックスしてプレーできるかが問題だったのは分かっていた」と優勝を振り返る。
このイベントには、今季MLB最多セーブをマークし、先日シアトル・マリナーズからニューヨーク・メッツへ移籍したエドウィン・ディアス投手や、MLB通算473発を誇るカルロス・デルガド氏といった新旧プエルトリコのスター選手たちも参加し、盛況に終わったということだ。
バルガスは、現在同地でのウインターリーグに参戦しており、出場23試合で打率.403(リーグ2位)、4本塁打(同1位)、16打点(同3位)、OPS1.192(同1位)と絶好調だ。
先月6日にロッテ入団が発表されたバルガス。今季はミネソタ・ツインズ傘下の3Aロチェスター・レッドウイングスで21本塁打という成績であった。身長196センチ、体重133キロという巨体を誇る長距離砲の海の向こうでの活躍は、ロッテファンには何とも嬉しいニュースであろう。
(ベースボールチャンネル)
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