ちょこっとGUM

今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム備忘録【8/17】

2018年08月17日 16時28分22秒 | マリーンズ2018
≪2018/8/17≫

藤岡vs岡 「トレード対決」を巡るロッテナインの思い

 トレード期限直前の7月26日にロッテから日本ハムに移籍した藤岡貴裕投手(29)が、古巣相手に移籍後初登板した16日の日本ハム―ロッテ戦(札幌ドーム)。遊軍記者の私は、ロッテ担当の代役として現場で取材した。ロッテもトレード相手の岡大海外野手(27)を9番・中堅でスタメン起用。どちらが“恩返し”を果たすか注目された一戦は、ロッテ打線が藤岡を攻略して快勝した。

 試合前から、ロッテの井口資仁監督(43)やロッテナインの間には、様々な思いが錯綜していた。挑発するかのように藤岡を古巣にぶつけてきた日本ハム・栗山監督に対し、岡をスタメン起用した井口監督は「出さないわけにはいかない。みんなが見たいでしょう」と、堂々と受けて立った。試合前の練習では岡に「構えが小さくなってる」「もっとゆったりとタイミングを取った方がいい」と直接指導するなど、指揮官自ら気合十分だった。

 今回の3連戦で初めてビジターの一塁側ベンチに座った岡。地元メディアなどに囲まれ、「意識しないのは無理。ガッツリ意識します」と鼻息が荒かった。試合では3回に逆転劇につながるエンドランを決めるなど、藤岡から2打席連続安打。「(日本ハムファンからも送られた)声援に感謝したい。チームの勝利に貢献できてうれしい」と、感慨深そうに語った。

 藤岡と投げ合った土肥星也投手(23)は、6回途中まで2失点で、プロ2年目で念願の初勝利。試合後、藤岡との投げ合いについては「意識しなかった」と語った。だが、登板前日の囲み取材では、同じ質問に「う~ん…」と言葉に詰まった後、「僕は僕なりに、1人1人の打者を打ち取るだけです」と、言葉を選ぶように答えた。同じサウスポーの先輩。「う~ん…」と首をかしげた数秒の“間”に、複雑な思いが透けて見えた。

 ロッテの打者も難しかったはず。手の内を知っているけど知られている。そんな中で、試合前に「忘れられない1日になる。楽しみです」と話していたのが鈴木大地内野手(28)。藤岡とは東洋大の同期生で、11年のドラフトでは藤岡が1位、鈴木が3位の同期入団でもある。プロ入り後はやや伸び悩んだ藤岡に対し、ベストナインを2度獲得するなどチームの顔になった鈴木だが、「自分がプロ野球に入れたのは、あいつがすごく頑張ってくれたから」と、大学野球選手権Vに導いてくれたエースへの感謝を口にした。「今までは紅白戦くらいしかなかった」という真剣勝負は、内野ゴロ2つ。ここは藤岡に軍配があがった。

 藤岡を打ち崩し、岡も活躍と、理想的な勝利を手にした井口監督は「相手が相手だけに、みんな負けられないって気持ちだった」と会心の笑みを浮かべた。3連戦も勝ち越し決定。「負けられない」試合での白星は、5連敗で5位まで沈んだチームが再浮上するきっかけになるかもしれない。

 試合直前に相手チームにトレードなんてこともあるドライなメジャーに比べ、日本のトレード事情はまだネガティブなイメージがある。でも、ドライじゃないからこそ生まれる人情ドラマも日本のプロ野球の魅力のひとつではないかと、改めて感じた試合だった。

(報知)

***************************************************

≪2018/8/17≫

ロッテ井上の急成長を支える“引きつける打撃” ロッテ打線にも同じ傾向?

見極めの向上により、苦戦していた1軍レベルの投手に対応

 ロッテの井上晴哉内野手が7月のパ・リーグ月間MVPを受賞した。昨季までは和製大砲としての大きな期待を背負いながら、思うように結果を残せなかったが、今季はすでに19本塁打を記録。シーズン30本も狙える飛躍のシーズンとなっている。

 過去数年の井上は、2軍で十分な実績を残しながらも1軍では力を発揮しきれなかった。その様子は1軍と2軍での四球と三振の傾向に現れている。BB%(打席に占める四球の割合)を見ると、2016年、2017年と2軍では一定以上の割合で四球を獲得していたが、1軍では4.7%、4.2%とリーグ平均の半分程度しか獲得することができていない。2軍と違い1軍では投球についていけていない様子が数字からも見えてくる。2017年には2軍でBB%、三振の割合を表すK%を大幅に改善させたが、それも1軍の舞台で発揮することはできなかったようだ。

 パワーに関する指標も確認しておこう。打者の長打力を表すISO(Isolated power)に目を向けると、2016年、2017年は2軍では.275、.225と平均を上回る高い値を記録しているにもかかわらず、1軍ではその値が半分以下に低下。長所である長打力の面でも1軍では力を発揮できていなかったようだ。





 なかなか殻を破れなかった井上だったが、今季は1軍で四球、三振、長打を改善させ、リーグ屈指の打者へと変貌を遂げた。この変化の裏側にあるのがボール球の見極めだ。井上のボール球スイング率は2016年から2017年に34.1%→39.8%と推移してきた。今季のパ・リーグ平均が28.0%であることを考えると、非常に悪い数字である。

 しかし井上は今季、このボール球スイング率を24.8%にまで改善させている。ボール球に手を出す確率が非常に高かった打者が、見極めに優れた打者に変化したのだ。さらにボール球に手を出さないことは空振りの減少も生んだ。投球全体に占める空振りの割合を表す空振り率は昨季の14.2%から9.0%に低下。いくらパワーがあっても空振りをしてしまっては長打の可能性はなくなる。この数字も長打の増加につながっているだろう。選球眼の向上が打撃全体の好循環を生んだのだ。

低めに手を出さないロッテ打線

 それでは具体的に井上のどういったボールの見極めに変化があるのかを見るため、投球コースを高め(高めボール・ストライク)、真ん中、低め(低めストライク・ボール)の3つに分け、それぞれのスイング率を見る。




 井上の今季の値を見ると、どの高さの投球に対しても大幅にスイング率を下げている。コースにかかわらずスイングをすること自体が減っているようだ。高めは昨季から15.9%、低めは13.8%スイングする確率を下げている。

 またこの傾向はロッテ打線全体に共通するものだ。チーム全体の高めスイング率は2017年から4.0%、低めは6.6%低下。ロッテとNPB平均とを比較すると高め、真ん中に対するスイング率は同じような値であるにもかかわらず、低めに対するスイングは5.0%も少ない。チーム全体で低めのスイングを控えているようだ。

 ロッテの打撃コーチには今季から金森栄治コーチが就任している。金森コーチといえばボールを引きつけ捕手寄りでボールを捉えようとする打撃指導を行うことでも有名である。金森コーチは昨秋のキャンプから、チームに低めの球を捨てて肘の高さを打つ意識を植え付けたという報道もあった。これらのデータはこういった報道とも符合する。

引っぱり方向に飛びやすい低めもセンターや逆方向に

 ただ、ここまでのデータでは低めに手は出してはいないものの、実際に引きつけて打っているかどうかはわからない。そこで打球方向を見てみたい。引きつけて打つことができているならば引っぱり方向に打球が飛ばず、センターや逆方向に飛ぶはずだ。

 先ほどスイング率を見る際に使った投球の高さ別に、今度は打球が引っぱり方向に飛んだ割合を見てみよう。NPB平均は高めから31.5%、34.8%、36.6%。投球が低めに向かうほどに引っぱり方向に打球が飛ぶ割合は上昇するようだ。それに対してロッテ打線は高めの引っぱり割合が30.1%とNPB平均並であるのにもかかわらず、真ん中、低めと投球が低くなっても引っぱり割合に大きな変化が見られない。低いボールに対しても引きつけてスイングしている様子がうかがえる。

 井上はどの高さに対しても引っぱる割合が変わらないということはないが、やはりNPB平均より引っぱりが少ない。こうした引きつけてスイングをする姿勢が選球眼向上に一役買っているのだろう。前述の通り、井上の選球眼の向上は長打の増加にもつながっていると思われる。センターから逆方向に強い打球を打てる井上に、引きつけるバッティングが上手くマッチした形と言えるだろう。

 昨季のロッテはシーズン序盤のチーム打率が2割を下回るなど極端な得点力不足のシーズンを送った。長打力に欠けるチームにもかかわらず、出塁率もリーグ最下位の.297と低迷したため得点が増えないのも当然の状況だった。しかし今季は選球眼が向上し、出塁率はパ・リーグ2位の.332まで上昇。得点力不足を解消した。今後、井上のほかに長打力のある打者をラインナップに加えられれば、さらに得点力は増加しそうだ。(データはすべて8月13日終了時点)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~5』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(http://1point02.jp/)も運営する。

(フルカウント)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 備忘録【8/14~8/16】 VS 日... | トップ | 備忘録【8/17~8/19】 VS 楽天  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

マリーンズ2018」カテゴリの最新記事