MZの手下の日記

なんということもなく、このたび、日記を開設しました。昔の文章のいくつかも、すこし手を入れて移しています。

五月の雲場池

2019-05-12 12:00:00 | 軽井沢の景色
御代替わりの10連休が終わり、翌週の軽井沢は、連休中の混雑が嘘のように静かだった。そんなわけで、家からブラっと雲場池へ出かけた。桜の季節が終わった軽井沢は、いよいよ新芽の季節で、緑が映えてきれいだ。



雲場池は、紅葉の名所として知られるが、新緑のころも素晴らしいと思う。深紅に紅葉した楓も、確かに美しいが、このころの楓の若葉もまた美しいと思う。



雲場池は雲場川を堰き止めて作られた人工の池で、雲場川は、この池のすぐ下流で、三笠から流れてくる精進場川に合流する。ちょうど池の水が精進場川に合流するあたりに、レストランが建っている。



もっとも、「堰き止めて作られた人工の池」と書いたが、「池」は、湖沼学的な定義に従えば、人口的に作られたものを指すらしいから、少し文章としてはおかしいかもしれない。



池の周囲の古くからある別荘には、池の水を引き込んでいるところもあり、そういう小さな水の流れを眺めるのも、何やら涼しげで良い。この水は、ホテル鹿島の森の敷地内にある湧水を源泉とするらしい。なんでも古くからの湧水で、軽井沢宿の本陣などでも使われていたとのことである。



10連休の混雑は去ったが、雲場池は多くの外国の観光客でにぎわっていた。最近観光地に来ると、日本語が聞こえないなと思いながら、雲場池の上流から、恵シャレ―の小径へ抜けたのである。



萌黄色(もえぎいろ)の桜と高峰温泉

2019-05-11 19:05:36 | 佐久を訪ねる
5月のある日、小諸の高峰温泉へ出かけた。高峰高原にあるこの温泉は、2000mの標高にあり、ランプの宿として知られる。信濃追分から浅間サンラインを通り、高津やトンネルの入り口の手前で、チェリーパークラインに入り、車坂峠を越えたところにある。

チェリーパークラインの入り口近くに、桜並木観光道路完成記念碑はあり、その傍らにひっそりと珍しい桜の木が立っている。萌黄色というか、淡緑色の珍しい花をつける桜である。御衣黄(ぎょいこう)という品種である。温泉へ向かう途中、車を止めて見に行った。



ものの本によると、緑色は葉緑素によるもので、咲き始めがもっとも色が強く、花が開くにつれ、薄紅色になるらしい。写真のように、まだ満開ではなく、七分咲きぐらいではあるが、それがかえって、萌黄色の花の美しさと珍しさを際立たせている。



御衣黄とは、貴族の萌黄色の衣服に由来するという。昔は黄桜とも呼ばれていたという説もあるらしい。ただし、黄桜が御衣黄を指すのか、別の樹木の花を指すのかは諸説あって判然としないらしい。タイムマシンで江戸時代に行き、取材をしてみれば、本当のところがわかるかもしれない。



山の上の高峰温泉は、車坂峠を越えたところに位置し、篭ノ登山(かごのと)の登山道の入り口にある温泉宿である。標高2000mにあるランプの宿として知られる。日帰り入浴は10:00から16:00までだった。以前、来た時の記憶では、もう少し透明な湯だったように覚えていたが、白濁したにごり湯だった。硫黄の香りがほのかにする温泉である。



この日は湯ノ丸高峰林道が開く日でもあったので、林道を抜け、湯ノ丸から東御へ抜け、帰ったのである。帰ってからも、体がポカポカして、ひと眠りした。そして目覚めると肩こりが治ったような気がしたのである。



松原湖の枝垂れ桜

2019-05-02 12:00:00 | 佐久を訪ねる
平成から令和へ移る10連休の中ほどに、軽井沢へもどり、のんびりと過ごした。天候が不順で雨が降ったり、晴れたりが、一日ごとに繰り返される休日だったが、思い立って、南佐久郡の海ノ口温泉へ出かけた。海ノ口温泉は八ヶ岳の西麓にある炭酸泉である。古い昭和時代に取り残されたような温泉がポツンとある。 
 


海ノ口まで向かう途中に、松原湖に立ち寄り散策した。中部横断自動車道が八千穂高原I.C.までつながり、軽井沢から比較的アクセスが良くなったと思う。松原湖は仁和3年(887年)の仁和地震によって生じた岩屑流により、千曲川支流の大月川がせき止められてできたとされる。小さなとても美しい湖である。 
 

  
湖畔には、松原諏訪社の上社と下社が、湖を挟んで向かい合っており、湖畔の説明書きによると、松原七不思議のひとつには、諏訪湖のように御神渡りも見られたらしい。



下社の境内には、御柱もあり、ここは信州なのだと感じる。稲荷社や弁天社も祀られており、ぶらぶらと散策をしながら湖畔を一周した。
 

 
少し盛りを過ぎているが、湖畔の枝垂れ桜が美しい。桜に見惚れていると、その上を鳶が青い空に吸い込まれるように周回していた。何ということもないが、新しい時代の幕開けが、のどかな一日から始まったことを、少しうれしく思いながら湖畔を後にしたのである。


温泉はえらく繁盛していた。前に訪ねた時には、時間が止まったような空気で、地元の住民の生活に溶け込んだような温泉だったのだが、この連休中は泊り客で満室らしい。温泉でくつろいだのだが、人が多いせいか以前より炭酸の量が減ったような気がして、少し残念に思ったのである。本当のところはよくわからない。それでも松原湖の枝垂れ桜と八ヶ岳を見て、温泉に浸かり、少しはリフレッシュしたような気になったのである。