
マーちゃんは最近レッスンに通ってきている中学2年生。今まで使っていたエチュードはそのまま継続し、ブルグミュラー「25のやさしい練習曲」と将来保母さんになりたいという準備にバイエル併用程度の曲集を初見の教則本として使用しています。
今回のエチュードの課題はヘ長調の音階です。音部記号の横にフラットが1つ、シについていることに注目してもらい、まず弾いて見せます。
「ほら、シ♭の指づかいを見てごらん。左手は2、右手は4の指になるよ。これをまずしっかりおぼえようね」
「でもね、この指づかいは実はハ長調と同じなんだよ、気がついていた? ハ長調と同じだから、シはフラットがついても左手は2、右手は4の指になるし、ドは必ず1の指、ミは3の指になるわけ。簡単におぼえられるでしょう」
こうして、ヘ長調の黒鍵の位置、指づかいを覚えてもらって観察しながら、ゆっくり弾いてもらいました。
また、スケールにつづくカデンツ、Ⅰ・Ⅳ・Ⅰ46(第2転回形)・Ⅴ7についても説明し、他の調で移調して弾いてもらいました。
出てくるたびに丸暗記するのではなく、どういう仕組みになっているかを理解してもらえれば、応用が利くし、弾くこともずっと易しくなります。
さて、今日のレッスンの曲はブルグミュラー「25のやさしい練習曲 作品100」の第10番「せきれい」です。
「まず、和音を転回するということを知ってもらいましょう」
ド・ミ・ソと両手で弾いてもらいました。
「では、一番下のドをオクターブ上げるとどう変わります。そう、ミ・ソ・ドとなりますね。これが和音を転回するということです」
さらにミ・ソ・ドからソ・ド・ミに転回し、もう一度転回すると、もとのド・ミ・ソに戻りました。
「では、ド・ミ・ソを『せきれい』の譜面の高さで両手を使って弾いてください。できたら、一つ下へ転回しましょう」
こうして、転回しながら1オクターブ下のド・ミ・ソまで和音を弾きました。
「実は2小節目まではこうして出来ています。次は和音を両手で弾いたら、左手は下から上に、右手は上から下に順番に弾いてみましょう。ほらたちまち、2小節まで弾けますね」
こうして、音階や半音階的進行の和音で出来ている部分を除くほとんどを、和音弾きや同一和音の転回で弾けることを体験してもらいました。
「はじめに、まず和音を弾いてそれから書いてあるリズムで弾いてごらん。譜面通りの曲にはなりませんが、どういう仕組みで出来ているか理解できれば、ずっと易しく弾けるよ」
「もう一つこの練習で身につけてほしいことは、一つ一つの細かい音を独立して見るのではなく、分散和音としてみること。はじめの音を弾くときは、すでにそこのフレーズを弾く和音の手の形を準備できるようにすること、そして、その手の形にはめ込んでリズムを弾くことを勉強してほしいのです」
和音の形に手を作ってそれをはめ込んで弾くからこそ、せきれいの鳴き声を模倣した音型を軽やかに弾くことが出来るのです。
「もう1週間、和音弾きの練習をしてください。空中で、次の和音の形をしっかり作れるよう、勉強してみてね」
「はい! わかりました」
マーちゃんは素直に返事してくれました。
ゆっくり、ゆっくり、確実に進もうね。それが上達のいちばんの近道です。(なおき)
レッスン日 2006年4月27日(木) 18:00
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