mm先生とマラーホフ先生の2ショットを見つつ、キューピッドの大成功を寿ぎつつ、私は今日も窓を拭き、一ドルの本を売る。セール三日目ともなると、売れ行きがやや下火。仕事帰りにスポーツバーのカウンターでビールとハンバーガーを食べ、ボーディ七位の滑りを見る。カウボーイ&カウガールのアイスダンスを見る。日本人の姿を見たのはスピードスケートのみ。当たり前だが、公共のテレビはアメリカチームの活躍ばかり流す。隣のスツールに、さっき背広を脱いできたばかりですよ、みたいなこぎれいなTシャツ姿のガイがきて、スリムなハイネケンライトの薄緑のびんを、冷えたグラスに手酌でついで、口もつけずに電話を始める。彼と私との間の空間に、黒人のブラザー達がぐいぐい来て、へネシーを頼み、まるで彼ら自身みたいに太った丸いグラスを打ち合わせて乾杯、立ったまま一気に飲み干す。素晴らしい香がここまでくる。左隣の年配のご婦人がたはベルギービールの試飲をいくつもしてから、やっと一つ選んで、泡を吹きながら飲んでる。彼女らがその前に飲んでいたのは、レモンを沈めたブラディメリー。コニャックを飲む太った黒人と、呑み助の尼僧みたいな人々に挟まれて冬季オリンピック中継を見てるのは自分じゃないみたい。夢のようだ。前回は朗善先生の奢りだったので、今日は私が奢る。初給料が出た。