ミセスローゼンの上人坂日記

窓開けて夏霧そつと招き入れ


お別れ花火会をして、娘達はNYへ帰った。長女はシュローモを暖かい良い音で弾いた。今回初めてガット弦に挑戦した。最初は指に水ぶくれを作っていたが、すぐ慣れて、「スチール弦では限界のある表現がガット弦ならできる!」と感激していた。借りてる楽器が良かった。音程とボーイングとビブラートはかなり出来ていると思う。耳がよく、音程のずれを直す動作もまた曲の味わいにする、というニックの裏技をマスターしてるし、ビブラートが細かくて早過ぎるという事がなく、指を揃えた暖かいゆったりした大人ビブラートができるし、ボーイングは子供の頃ニックにしつこく鍛えられたおかげで自然とブリッジ寄りに弾けている。残るは(瀕死の白鳥と私が名付けた)ピアニシモビブラートだけ。音程とビブラートとボーイングなんて基礎じゃない、大学卒業してやっと基礎?と思うかも知れないが、これから大学を出て人生経験を積んで内面が豊かになっていけば、音楽表現もそれに自然とついてくる。ニック自身も、僕は神童じゃなく晩熟だった、人生経験を積み始める頃ちょうどチェロの基礎が出来ていた、それが良かったと言っている。
今回フィンガリングで感心したのは、ブラームス一番を習っている生徒が、ピアティゴルスキーフィンガリングを完璧に守って弾いた部分は、まるで小さなニックのように聞こえた。曲調を決めるのは、やはりフィンガリングだなあ、と感心した。中国の生徒達は、ニック流(実践チェロ)レッスンに慣れるまで大変だと思うが、休みの度に今度はママ抜きで通って来るらしい。ピアティゴルスキー&ローゼンの演奏を守って行くチェリストが一人でも増えてくれるのが楽しみだ。
あと、私の念願の、ニックにインタビューしたピアティゴルスキーとニックの交情を日本語で書くという仕事に、将来良いアシスタントが見つかった。長女の彼氏は聞き上手で文章が上手い。ピアニストなのだが、大学の文章の授業で常に最高点を貰い他のお手本にされている。ニックも彼が気に入って、ミュージシャンの彼には私に言わないことも深く話していた。彼がインタビューとテープ起しを手伝ってくれたら、私達がボケるまでにその本は完成するかもしれない。後は出版社を探すだけだ。
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