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井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

映画「グランド・ブダペスト・ホテル」 -まるで宝石箱や~!-

2014-06-17 03:38:37 | Weblog
 父の死去から8年,命日の6月15日(日)は夕方から墓参りをし,そして,老舗そば屋の「峰亀」にて家族で夕飯を食べました。その後は,この福島の地では今週で上映が終わりそうな危機感を感じ私はフォーラム福島2へ。

 よくティム・バートン監督の映画が「おもちゃ箱をひっくり返したような」と形容されますが,ウェス・アンダーソンのこの映画はまるで洋菓子店のようなパステルカラーにあふれた可愛らしい映画でした。一言で言うと,伝説のコンシェルジェと彼を慕う若いロビーボーイとの固い絆の物語です。新人ボーイの回想を,作家が語るという入れ子型の作品構造で,その際,古い時代ほど映画画面の縦横比が正方形(←今の映画ってかなり横長ですが,「独裁者」「第三の男」の時代って画面が正方形に近かったでしょ!)に近づいており,芸の細かさを感じさせます。職人と新人の葛藤と友情の物語はいろいろな職業で描かれていると思いますが,プチグロ,プチエロ,プチシックな空間で進められる波瀾万丈な物語は独特の世界観を持っています。

 でもねぇ,はっきり言って小ネタ集なのですよね。「探偵!ナイトスクープ」で桂小枝さんがやっていた小ネタ集みたいな。大爆笑は期待しちゃいけないのかもしれませんが,殺人事件が起きてからも起伏が少なく,若干ダレてしまいました。ボーイのヒゲの手入れはペンで線を1本書くだけだったり、大した意味もなく同じような繰り返しの電話の場面が出てきたり,猫の死体や切断された指が出てきたり,突然銃撃戦が始まったり,生命の危機なのに香水を欲しがったりと確かにくすりとする場面が連続(!)しますが,決定打がないように感じました。唯一,雪山での追いかけシーンはそのだるさを吹っ飛ばしてくれました。スキーで雪山を逃走する殺人犯を,コンシェルジェと新人ボーイが教会に置いてあったそり(乗っていたキリスト像を壊してやんの!)でチェースするのですが,スキースラロームやボブスレーなどの冬季スポーツの会場に入ってしまい,ここは館内もやや受け状態でした。やっぱり私らの年代は映画館で「ピンク・パンサー」シリーズを見たり,テレビで「グレート・レース」とか「おかしなおかしなおかしな世界」とかの大掛かりコメディーを繰り返し繰り返し見てきたから,コメディだったら大掛かりにという思いが心のどこかにあるのかもしれません。

 ☆ 総合得点 78点